小説販売サイトBOOKPORTは成功するのか?クラウドファンディング時点の問題点を考える

本屋

 

ショウヘイ

どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ(@shohei_creator)です。

ふーちゃん

ブログアシスタントのふーちゃんです。

 

2019年8月23日、オタクペンギンさん(@NovelPengin)が合同会社BOOK PORTを設立しました。

合同会社BOOK PORTは、小説家・絵師・漫画家などの創作家が作品を個人販売しやすい出版プラットフォーム【BOOK PORT】を開発するために、クラウドファンディングを展開しています。

 

ふーちゃん

小説家さんや漫画家さんが作品を個人販売しやすい出版プラットフォームですか!

しかも、最大印税率が87%みたいですし、創作家にとっては ありがたい作品販売サイトになりそうですね。

ショウヘイ

『小説家を稼げる仕事に変えることで、小説が生まれやすい環境を作り、面白い小説がどんどん湧き出てくる世界とする』という理念は素敵だし、ひとりの創作家として、賛同するところは多いのだけれど。

ビジネスモデルとして、問題点だらけな気がするんだよね。

ふーちゃん

えっ、そうなんですか!

ショウヘイ

クラウドファンディングページの情報しか分からないけれど、競合他社と充分な差別化を図れていないように感じたし、主流とされるビジネスモデルに逆行しているんだ。

成功して欲しい気持ちはあるけれど、失敗する危険性が高いように感じている。

今回の記事では、BOOKPORTのビジネルモデルの問題点を取り上げていこうと思う。

 


小説販売プラットフォームサイトBOOKPORTとは

 

BOOKPORTの問題点に触れる前に、どのようなプラットフォームサイトなのかについて、大まかに説明しておきます。

 

BOOKPORTは、誰でも自作の小説を投稿したり、有料化して販売したりできるサイトです。近藤雅斗さんと窪陽平さんによって企画が立ち上げられました。

出版不況によって、小説家が作家業によって生計を立てづらくなってきている現状を問題視して、小説家が稼ぎやすい環境を作り上げることを理念に掲げています。

 

 

BOOKPORTの特徴は、販売作品が売れた時の作者に対する印税率の高さです。クラウドファンディングページの説明によると、最大で87%になるようですね。

たとえば、500円で小説を販売したとなると、作者の利益は最大で435円となります。

出版社を通して販売した小説の印税率は、8~10%と言われています。出版社経由に比べると、BOOKPORTは8倍以上の印税率というわけです。

 

 

ひとまずは、小説販売プラットフォームとして、サイトを構築するようです。やがて、絵師や漫画家も対象として、イラストや漫画を投稿・販売できる仕組みも導入することが触れられています。

将来的には、投稿・販売作品を翻訳して海外ユーザーに販売したり、投稿・販売作品を原作として映像化を図ったりすることも視野に入れているようですね。

 

 

 


BOOKPORTの問題点1:娯楽コンテンツの有料販売は時代遅れ

 

致命的と言える問題点の1つは、BOOKPORTが電子書籍による作品の有料販売を前提にしていることです。

 

あなたの普段の生活であったり、あるいは他人の生活を見ていたりすれば分かる通り、現代は無料の娯楽コンテンツに満ちあふれています。

たとえば、YouTubeに投稿されている動画やスマホゲームです。

上記の娯楽コンテンツは、広告やユーザー課金による収益を前提にしたビジネスモデルです。コンテンツを販売して利益を得るわけではないので、良質なコンテンツでありながら無料で提供されています。

インターネット動画

 

 

ショウヘイ

小説・ラノベの衰退する未来という記事にも書いたけれど、今後の時代は、動画コンテンツとゲームコンテンツが主流になっていくんだ。

しかも、広告収入やユーザー課金を前提にしたビジネスモデルだから、無料あるいは格安で提供される。

情報媒体の娯楽コンテンツを有料で販売するという発想は、もはや時代遅れなんだ。

ふーちゃん

単位時間あたりの刺激量や受動性の高さは、動画コンテンツやゲームコンテンツの方が圧倒的に有利ですからね。

しかも、基本的に無料……有料でも格安となると、強敵すぎますよね。

ショウヘイ

ノベルバやカクヨムのように、『投稿作品のPV数に基づいて、作者に広告収入の一部を還元する』という方式なら、まだ分かるのだけれど。

『作品を有料販売できるようにして作者を稼がせる』という方式は、今の時代は通用しないんじゃないかと思うんだよね。

もちろん、実際にやってみないと、どんな結果になるか分からないけれど。

 

 

 

BOOKPORTの問題点2:広告収入の還元や投げ銭の仕組みを導入した投稿サイトが乱立している

 

広告収入の還元や投げ銭の仕組みが導入された投稿サイトが多く存在する現状において、作者がBOOKPORTに作品を投稿・販売する旨味はありません。

 

堅実な利益を重視するのであれば、多くの小説家は、広告収入の還元がおこなわれるノベルバやカクヨムを利用します。

また、読者からの投げ銭を期待するのであれば、作者と読者が交流しやすい環境が整っているノベルアッププラスの方を利用します。

 

BOOKPORTが既存の投稿サイトと競争して勝つためには、広告収入の還元と投げ銭の仕組みは必須です。

それに加えて、作者の利益となる仕組みが存在しなければ、先行している投稿サイトには勝てません。

 

ふーちゃん

でも、作品を有料で販売しやすい仕組みは、既存の投稿サイトと差別化できていませんか?

ショウヘイ

投稿サイトからは差別化できているけれど、Kindleのような電子書籍の販売サイトとは差別化できていない。

それとは別に、そもそも作品を有料で販売したところで、売れないと思うよ。

詳しくは、次の見出しで説明するね。

 

 

 

BOOKPORTの問題点3:無名の小説家の有料作品は、売れる見込みが低すぎる

 

BOOKPORTの売りの1つは、どんな小説家でも気軽に作品を投稿・販売できることです。

ただし、根本的な問題として、無名の小説家の有料作品を買いたいと思う人は、ごくごく限られています。

有料作品については、その作者に対する熱狂的なファンが買うに留まります。大半の作品販売者は、まったく売れないという状態が普通になるでしょう。

 

ショウヘイ

ネットビジネスを実践している立場から言わせてもらうと、『その道で何も実績を残していない人物が販売する、中身の分からない商品』なんて、誰も買わないからね。

『無料サービスの販売』と『有料サービスの販売』では、売れる難易度に天地の差があるよ。

自分で自作サービスを販売した経験のある人なら、嫌ってほど痛感する事実だね。

ふーちゃん

面白いかどうかも分からない作品にお金を払うことは……ちょっと ためらっちゃいますね。

有名作品を数多く書いてきている作家さんなら、「この人の新作なら、きっと面白いだろうな」って期待できますけれど。

ショウヘイ

そもそも、BOOKPORTの最大印税率87%なんて、どうだっていいんだ。

自分の作品が売れる見込みがあると思うなら、電子書籍にしてKindleで販売したり、あるいはココナラで販売してみたりすればいいんだ。

どちらも大量にユーザーが集まっている販売サイトだから、そこで売れないようだったら、BOOKPORTで販売したって売れるわけがない。

ショウヘイ

それ以前の話として、有料で販売するに値するほど面白い作品なら、小説投稿サイトに投稿すれば、大量のブックマークと評価を獲得できるじゃないか。出版社の編集者から声がかかって、書籍化に向けて一直線だ。

「最大印税率87%のBOOKPORTで作品を販売すれば、小説から利益を得られるかも!」なんて期待している時点で、根本から勘違いしているね。

ふーちゃん

し、辛辣……。

 

 

 

BOOKPORTの問題点4:読者にとってのBOOKPORTを利用する価値はあるのか

 

小説を投稿するサイトにしても、販売するサイトにしても、作者と読者の両者がいて、はじめて成り立ちます。

たとえ作者を優遇する仕組みを導入していたところで、読者がBOOKPORTを利用する動機がなければ、投稿・販売サイトとして成立しません。

お金の流れが生まれなければ、サイト運営のための経費をまかないきれず、いずれ潰れます。

 

ショウヘイ

BOOKPORTが作家を稼がせることを念頭に置いていることは素晴らしいのだけれど、読者がBOOKPORTを利用する動機が思いつかないんだよね。

だって、ちまたには、小説や漫画を無料で読める投稿サイトが乱立しているじゃないか。

たとえ有料の作品だとしても、サイコミのように、『待てば無料』というビジネスモデルを採用しているところも多いし。

ふーちゃん

う~ん……ちょっと思いつかないですね。

無料の作品を読むだけなら、私なら昔から馴染みのある投稿サイトの方に行きますね。使い勝手が分かっていますし。

有料の作品を読むとしたら、出版社が運営しているサイトの作品の方を読みたいですね。編集者さんが関わっていますし、出版社の名前を使って販売している以上、一定の品質は期待できますから。

ショウヘイ

新規読者を獲得して、しかも定着率を高めるという戦略については、ノベルアッププラスが上手い。

アカウントのランクアップ・応援ポイントのデイリーボーナス・感想スタンプ……。どれも定期的にサイトを訪れたり、作者と親密に交流したりできるようにするための仕組みだよ。

ショウヘイ

BOOKPORTが既存の投稿サイトや販売サイトと競争して勝つつもりなら、『いかにして読者がBOOKPORTを使う動機を与えるか』という点を重視する必要がある。

もしも新規読者の獲得が上手くいかなければ、サイト内でお金の循環が生まれなくなる。作家は稼げず、運営者も経費ばかりが飛んでいき、やがて共倒れだね。

 

 

 

BOOKPORTの問題点5:どうやって集客するのか

 

サイト集客をおこなうとなると、『SEOによってサイトコンテンツを検索結果で上位表示させる』か、あるいは『お金を支払って広告を打つ』かの2択となります。

 

『SEOによってサイトコンテンツを検索結果で上位表示させる』については、そもそもBOOKPORTというサイト名は不適切です。

同名のサイトとして、すでに書店サイトのBOOKPORT(www.bookport.jp)が存在します。

こちらの書店サイトは、2015年にドメインが取得されています。また、法人企業のサイトでもあるため、それなりにドメインパワーが強いことが予想されます。

Googleに【BOOKPORT ●●】と複合キーワードを入力して検索したならば、基本的に書店サイトの方のBOOKPORTが表示されることでしょう。

BOOKPORT

 

 

検索キーワード【小説投稿サイト】であれば、『小説家になろう』『カクヨム』『アルファポリス』などの大規模な小説投稿サイトに打ち勝つことが必要です(知名度とドメインパワーの問題で無理ですが)。

検索キーワード【小説販売サイト】であれば、個人ブログが多いので、勝機はありそうですね。

 

Googleに広告掲載を申し込んだり、アフィリエイトサービスプロバイダに案件の掲載を依頼したりするとなると、多額の広告費が必要となります。

しかし、BOOKPORTは、作家に多くの印税を割り振るということが売りです。多くの販売手数料を徴収できないため、サイトから得られる運営利益に期待できません。

広告費の捻出は、再びクラウドファンディングしなければ、事実上は不可能と言えます。

唯一の広告手段があるとすれば、有志のユーザーを募って、おのおのに無償の宣伝活動を依頼することでしょう。


 

ショウヘイ

ビジネスを回すとなると、集客できないと話にならないからね。

そうだと言うのに、集客こそ、ビジネスにおける最大の壁なんだよね。

ふーちゃん

開発者のお二方がSEOについて専門家並の知識と経験を有していれば……ですね。

広告については、多額の広告費を投じることは厳しいので、SNSによるユーザー拡散を募るしかなさそうですね。

ショウヘイ

集客できなかったら、文字通り、サービスとしては終わりだね。

これだけ大きな問題を抱えている以上、創作系ユーザーから積極的に無償で協力してもらわないと、かなり厳しいと思う。

 

 

 

BOOKPORTは難問を抱えすぎている

 

ショウヘイ

ひとりの創作家として、BOOKPORTには成功して欲しいところ。

でも、もしも自分が投資家であれば、BOOKPORTには出資できないかな。

時代の流れなども考慮すると、失敗の危険性の方が高いと感じるからね。

ふーちゃん

まだクラウドファンディングの段階なので、ここからいかにしてサービス内容を改良して、競合サイトに負けないための戦略を練られるか……そこが勝負ですね。

ショウヘイ

成功の可否はどうあれ、BOOKPORTの企画が立ち上がったこと自体は、時代の流れだな……と感じたね。

自分としても、既存の権威にあぐらをかいて、作家の利益を中間搾取しているような出版社は、どんどん潰れていって欲しいからね。

出版社の主な価値は『出版に関する他企業へのコネクション』だから、より細かな仲介サービス業が盛んになれば、出版社の存在価値は下がるし。

ふーちゃん

すでに印刷会社はあるので……編集・流通・広報・メディアミックスについて独自のサービスを低価格で提供する企業が現れれば、出版社は必要なくなりそうですね。

ショウヘイ

その分だけ、作家側が負担する費用は多くなるけれど。

……とは言え、出版社にベッタリと依存して作品を販売していた従来と比べると、健全化していることは間違いないね。

これからの時代は『個人で稼げること』が重要になるから、なんでもかんでも自分で出来るようにならないとね。

 


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