どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ( @shohei_creator )です。
世界中で愛されている人気物語を統計解析すると、なんと6つの型に分類できるそうです。
6つの型のうち、いずれか型に沿って物語の展開を組めば、多くの読者から喜ばれる作品を作れる可能性は上がりそうですよね。
今回の記事では、人気の物語に見られる6つの型を紹介します。
世界で愛される人気物語の型
下のグラフは、バーモント大学コンピュテーショナル・ストーリー研究所のアンドリュー・レーガン研究員のチームによって、とある物語の文章をコンピューターに読み込ませて、文章の意味に基づく感情分析を実行させた結果です。
コンピューターによる機械的な感情分析ですが、 1700 以上の物語を分析サンプルに使用しているので、統計的な信用価値は極めて高いと言えます。
上記の6つの型は、次のように説明できます。
- 継続的な上昇(立身出世型)
- 継続的な低下(悲劇型)
- 下降から上昇(起死回生型)
- 上昇から下降(失墜型)
- 上昇→下降→上昇(シンデレラ型)
- 下降→上昇→下降(オイディプス型)
物語の型:立身出世(継続的な上昇)
この型は、主人公が継続的に幸福になる物語です。
基本的に少し不幸な状態から始まりますが、さまざまな幸運に恵まれた結果、どんどん成り上がっていきます。
小説投稿サイトで流行っている『転生チート系』の物語は、この成り上がり型に該当するでしょうね。
立身出世型の代表的な物語は、一寸法師です。
とある村に生まれた、大人の小指ほどの大きさの男の子は、両親から一寸法師と名付けられました。生まれてから数年が経っても、一寸法師は、少しも大きくなりません。
ある日、一寸法師は、京に行って侍になると言い出します。両親は止めますが、一寸法師の意志の固さに折れて、針の刀とお椀の舟を持たせます。
一寸法師は、何十日もかけて、ようやく京の都に到着します。そして、三条の大臣の屋敷に行って、仕官を願いました。大臣は、小さいながらも元気な一寸法師を気に入り、娘の春姫の家来を任せます。
それから数年後、清水寺へお参りに行った春姫の前に、都を騒がしている赤鬼が現れます。他の家来が逃げ惑う中、一寸法師は姫を守ろうとして、赤鬼に立ちはだかります。しかし、あっけなく鬼に捕まって、そのまま食べられてしまいます。ところが、一寸法師は鬼のお腹の中を針で突いて回ります。これに参った鬼は、一寸法師を吐き出し「二度と悪さしないから許してくれ」と懇願します。
泣きながら逃げた鬼は、打ち出の小槌を置いて行きます。春姫は打ち出の小槌を拾い、一寸法師を叩いて、体を人並みに大きくしました。
一寸法師は、鬼退治の功績を認められて、名を堀川少将と改めます。そして、春姫と結婚して、故郷の両親を都に呼び寄せます。
こうして、一寸法師と春姫、両親は、いつまでも幸せに暮らしました。
物語の型:悲劇(継続的な下降)
この型は、主人公が継続的に不幸になる物語です。
貴族の悲劇・悲恋物語に多く見られる型であり、主人公はさまざまな困難に直面し、挫折して、非業の死を遂げます。
悲劇型の代表的な物語は、ロミオとジュリエットです。
お互いに仇と思っている旧家の生まれのロミオとジュリエットは、舞踏会で出会い、恋に落ちます。仇同士の家柄ということもあり、2人は秘密の結婚式を挙げて、夫婦となります。
その後、自分を庇って殺された友人の敵討ちのために殺人を犯したロミオは、街から追放されます。ジュリエットは、ロミオに会えない悲しみに嘆き暮らしました。
両親は、悲しみに暮れるジュリエットを慰めようと、名門貴族の子息と結婚できる機会を用意しますが、ジュリエットは縁談を拒みます。両親はジュリエットの態度に怒り「言うことに従わなければ勘当する」と宣言します。
家族からも孤立したジュリエットは、結婚式を取り仕切ってくれた修道僧に相談します。修道僧は「仮死状態になる薬を飲んで、霊廟(先祖の霊を祀る建物)に葬られた後、目覚めた時に迎えに来たロミオと共に逃げろ」と提案します。これに承諾したジュリエットは、恐怖を乗り越えて仮死薬を飲み、 42 時間の仮死状態になります。
しかし、修行僧の計画に手落ちがあり、ジュリエットが仮死薬を飲んだことがロミオに伝わっていませんでした。霊廟でジュリエットの仮死状態を見たロミオは、ジュリエットが死んだと思い込み、自分は毒薬を飲んで後追い自殺します。
仮死状態から目覚めたジュリエットは、自分のそばで死んでいるロミオの姿を目にして、絶望します。その後、ロミオの短剣を抜き取り、それを自分の胸に突き刺して、ロミオの後を追って自殺します。
物語の型:起死回生(下降から上昇)
この型は、主人公がいったん不幸に落ちた後、努力して這い上がる物語です。
身内が殺されて、殺した相手を敵討ちする展開は、まさに起死回生型の物語です。
起死回生型の代表的な物語は、猿蟹合戦です。
昔々、あるところに、おにぎりを持ったカニが歩いていました。
カニの元へ、ずる賢い猿がやって来て「そのおにぎりと柿の種を交換してくれ」と言います。カニが嫌がったので、猿は「種を植えれば、成長して柿がたくさんなるから、おにぎりより得だ」と言います。猿の言い分にカニは納得して、おにぎりと柿の種を交換しました。
カニは家に帰り、「早く芽をだせ柿の種、出さなきゃ鋏でちょん切るぞ」と歌いながら、柿の種を地面に植えます。すると、すぐに芽が出ました。カニがさらに歌うと、芽はどんどん成長して、あっという間に立派な木に成長しました。枝には、たくさんの柿の実がなっています。
カニが柿の実を取ろうとしましたが、手が届きません。そこへやって来た猿は「代わりに自分が取ってやる」と言います。猿は木に登りましたが、自分ばかり柿の実を食べ続けて、カニに柿の実を渡しません。怒ったカニが催促すると、猿は熟していない青くて硬い柿の実を取って、カニ目がけて投げつけました。柿の実がカニにぶつかると、その衝撃でカニの甲羅が割れて、子カニが産まれました。しかし、親カニは死んでしまいます。
親を殺された子カニは怒り、敵を討つために、猿の悪戯に困っていた栗と臼と蜂と牛糞を家に呼び寄せて、敵討ちの計画を練ります。
一行は、猿の留守中に、猿の家へ忍び寄ります。栗は囲炉裏の中に隠れ、蜂は水桶の中に隠れ、牛糞は土間に隠れ、臼は屋根に隠れます。
猿が家に戻って来て、囲炉裏で体を暖めようとすると、熱々に焼けた栗が体当たりします。火傷を負った猿は、水で冷やそうと急いで水桶に近づきましたが、今度は蜂に刺されます。びっくりした猿は、蜂から逃げようと戸口を出たところ、地面にある牛糞を踏んで、滑って転倒します。とどめに、臼は屋根から飛び降りて、猿を押し殺します。
こうして、子カニは親カニの敵を討てました。
物語の型:失墜(上昇から下降)
この型は、いったん主人公が幸福になった後、軽率や傲慢さによって、一気に失墜する物語です。
本人の実力に寄らず、幸運や他者の助けによって成り上がった主人公は、調子に乗った行動を起こして、結果的に富と地位と信頼を失います。
失墜型の代表的な物語は、ギリシャ神話のイカロスです。
ダイダロスは、細工の名人であった。
ダイダロスは、ミノス王のために、ラビリンス(迷宮)を造った。しかし、のちにミノス王から見放されて、息子のイカロスと共に、とある塔に閉じ込められてしまった。
塔を抜け出すために、ダイダロスは鳥の羽を集めて、大きな翼を造った。その翼は、大きい羽は糸で留めて、小さい羽は蝋(ろう)で固めたものだ。
ダイダロスとイカロスは、完成した翼を背中に付ける。塔から飛び立つ直前、ダイダロスは「「イカロスよ、空の中くらいの高さを飛ぶのだよ。あまり低く飛ぶと、霧が翼の邪魔をするし、あまり高く飛ぶと、太陽の熱で溶けてしまうから」と言った。
ダイダロスとイカロスは、塔から飛び立った。
農作業中の人々や羊飼いたちは、空を飛ぶ2人の姿を見て、神々が空を飛んでいると勘違いした。
イカロスは大空を翔る心地よさに気分が高揚して、父の忠告を忘れ、空高く飛び上がってしまう。イカロスは太陽に近づき過ぎたため、羽を留めた蝋(ろう)が溶けてしまった。
翼を失ったイカロスは、青海原に落ちた。
以後、その海はイカロスと名づけられた。
物語の型:シンデレラ(上昇→下降→上昇)
この型は、主人公に一時的な幸福が訪れた後、効果が切れて元の不幸な状態に戻ります。しかし、幸運に恵まれることで、再び幸福な人生を送る物語です。
シンデレラ型の代表的な物語は、名前の通りシンデレラです。
あるところに、美しくて優しいシンデレラという娘がいました。
幼い頃に母親を亡くしたシンデレラは、父親が再婚した継母と、その連れ子である2人の姉から、まるで召使いのように扱われていました。
ある時、国の王子様が舞踏会を開くことになりました。姉達は綺麗に着飾り、舞踏会へ出かけて行きます。
シンデレラは、もちろん舞踏会へ行くことが許されません。留守の間、家の掃除や片づけを命じられていました。
シンデレラが悲しみに暮れていると、そこに魔女が現れます。魔女は魔法を使って、かぼちゃを馬車に、ねずみを白馬に変身させます。美しいドレスとガラスの靴を用意して、それをシンデレラに着せて、舞踏会へ送り出してくれようとします。大喜びするシンデレラに対しては、魔女は「深夜0時を過ぎたら、魔法が解けてしまう。0時までに返って来なさい」と忠告します。
シンデレラが舞踏会に到着すると、あまりの美しさに、王子様はシンデレラの虜になってしまいました。王子様からダンスに誘われ、シンデレラは時間が経つのを忘れて、夢のような時間を楽しみます。
ふと、シンデレラが我に返り、舞踏会の時計に目を向けます。なんと、時刻は間もなく深夜0時になろうとしていました。シンデレラは、大急ぎで舞踏会を飛びだして、階段を駆け降ります。
王子様はシンデレラの行動に驚き、引き止めようと後を追いました。すぐにシンデレラの姿を見失ってしまいますが、シンデレラが履いていたガラスの靴が片方が落ちていることに気付きます。
その後、王子様はシンデレラを探し出すために『舞踏会に着ていたガラスの靴を履いた女性を自分の妻にする』というお触れを出します。
我こそはと町中の女性が名乗り出て、残されたガラスの靴を履いてみようとしましたが、ガラスの靴は小さく、ピッタリと履ける女性は現れません。もちろん、シンデレラの姉たちもガラスの靴を履こうとしましたが、足が大きすぎて、まったく入りません。
そこへ、シンデレラが進み出て「私にも試させてほしい」と王子様の家来に願い出ます。姉たちは「お前みたいな汚い娘に、ガラスの靴が合うわけがない」と嘲笑いますが、シンデレラがガラスの靴に足を滑らせると、ピッタリと履くことが出来ました。
シンデレラは、自分で持っていた片一方のガラスの靴を取り出して、両足ともガラスの靴を履きます。家来は、王子様のいる城へシンデレラを連れて行きます。
数日後、王子様とシンデレラは結婚して、幸せに暮らしました。
物語の型:オイディプス(下降→上昇→下降)
この型は、主人公に一時的な不幸が訪れますが、幸運や他者の助力によって、なんとか逃げ延びます。その後、しばらく幸福な生活を送りますが、より大きな不幸に直面してしまう物語です。
オイディプス型の代表的な物語は、名前の通り悲劇オイディプス王です。
テーバイのラーイオス王は「お前の子がお前を殺し、お前の妻との間に子をなす」という神のお告げを受けます。
父親殺しを恐れた王は、我が子を殺すよう家臣に命じます。しかし、それを不憫に思った家臣は、子どもを殺さず、森の中に捨て去りました。すると、その子は隣国のコリントス王夫妻に運良く拾われます。そして、オイディプスと名づけられて、大事に育てられます。
やがて立派に成長したオイディプスは、自分がコリントス王夫妻の実子ではないという噂を耳にして、神に真偽を伺おうとします。すると「やがて父親を殺すことになる」というお告げを聞きます。オイディプスは父親(コリントス王)を殺すことを恐れ、コリントスを後にします。
その頃、テーバイでは、スフィンクスという怪物が出現します。ラーイオス王は、スフィンクスに対処するための神託を得ようと、デルポイに向かいます。やがて、オイデュプスとラーイオス王はテルポイで行き会い、行き違いから、父とも知らずにオイディプスはラーイオス王を殺してしまいます。
その後、オイディプスはスフィンクスと対峙して、謎かけに勝利することで、スフィンクスを倒します。王を失ったテーバイの摂政は、オイディプス英雄として受け入れ、先王の跡を継がせようとします。そして、ラーイオス王の妻イオカテスーとオイディプスを結婚させます。この2人の間には、男女それぞれ2人ずつの子が生まれました。
オイディプスが王になって以来、テーバイでは不作と疫病が続きました。デルポイで神に伺ったところ「ラーイオス殺害の穢れによるものだから、犯人をとらえ、追放せよ」というお告げが聞こえます。
何も知らない不幸なオイディプスは、ラーイオス殺害者を捜索するように命令を出します。
その後しばらくして、オイディプスの元に、かつてラーイオス王が殺害されたことを報せた従者が連れて来られます。この従者の口から、オイディプスは真実を知ります。
狂乱したオイディプスは、イオカステーの着けていたブローチで自らの目を指して全盲にしました。もし目が見えていたら、自分が死んで冥府を訪れた時、どのような顔で父と母を見れば良いか分からなかったからです。
その後、オイディプスは自身をテーバイから追放するよう摂政に頼み、自ら乞食になりました。
6つの型に共通する『人気の物語の秘訣』
物語の6つの型は、どれもバラバラです。
しかし、どの型にも共通して言えることは、人気の物語に『大きな幸福も不幸も無い、平凡で退屈な展開』が無いということです。
良くも悪くも、主人公の運命に波がある物語は、多くの人々から好まれることは間違いありません。
あなたが物語を作る時は『平凡で退屈な展開』が続かないように注意しましょう。
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