どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ( @shohei_creator )です。
小説家やラノベ作家、あるいは Web ライターのような頭脳労働者にとって、脳が活発に動ける健康状態は、生産性を大きく左右する重要なことです。
より速いタイピング・より柔軟な発想力・より素早い情報収集力を実現するためには、日ごろの生活習慣から改善する必要があります。
さらに、作業環境を整えたり、脳の構造に基づいたテクニックを駆使して、高い集中力を維持できるようになれば……今までのあなたよりも数倍の生産力を実現できるようになります。
この記事では、頭脳労働を加速させられる有用な情報をまとめました。
小説・記事の執筆速度を上げる3原則
これから、普段の生活習慣や細かなテクニックも含めて、頭脳労働に役立つ情報を多く紹介していきます。
その前に、それらの情報に共通する執筆速度を倍増させる3原則を伝えます。先に原則を把握することで、各種の生活習慣やテクニックの重要性を理解しやすくなるからです。
小説・記事の執筆速度を上げる3原則は、次の通りです。
- 酸素量の多さ
- 血糖値の維持
- 集中対象の制限
脳が活動するために、多くの酸素を必要とすることは、今さら説明するまでもないでしょう。
しかし、血流が悪くなるような姿勢で頭脳労働に励んでいる人は、少なくありません。
また、脳の活動に血糖……すなわちブドウ糖が必要なことは、生物学の常識です。
とはいえ、頭脳労働前に甘い食べ物・飲み物を摂取しようという考えは、実は脳の働きを妨げることにつながります。
集中力の高さが生産性に直結することは、周知の事実です。
それにもかかわらず、机の周りが物で散らかっていたり、視界にスマホを置いていたり、 BGM として歌や人口音楽を使っていたりするようでは、集中力が散ってしまいます。
上記の3原則を踏まえた上で、これから紹介する各種の生活習慣やテクニックの重要性を理解していってください。
小説・記事の執筆速度を上げる食生活
食生活については、加工食品を避けることが基本になります。
脳が活動するためには、ブドウ糖は必須です。だからと言って、糖分の含まれた加工食品(菓子パンや清涼飲料水など)を口にすると、血糖値の乱高下が起きます。
健康な人の空腹時の血糖値は、 80 ~ 90mg/dl です。
たとえば、缶コーヒーや炭酸飲料のような「水に溶けた糖分」は、摂取後から 30 分~ 60 分で、血糖値が 150mg/dl 前後まで高まります。ただし、そこから血糖値の急激な低下が起こります(血糖値スパイク)。
その結果、集中力が落ちたり、体の倦怠感を覚えたりします。
菓子パンを食べない
コンビニやスーパーマーケットで販売されている菓子パンは、食べないようにしましょう。
血糖値に関する問題は、精製された小麦粉と大量の砂糖が使われている点です。
精製された小麦粉……すなわち表皮や胚芽などを取りのぞいた真白な小麦粉は、人体に素早く吸収されます。これにより、血糖値の急激な上昇が起きます。
また、菓子パンには、多くの砂糖が練りこまれています。たとえば、菓子パンとして人気なメロンパン 1 個( 100g )の糖質量は、約 20 個の角砂糖に相当すると言われています。
菓子パンは手軽に食べられるので、小腹が空いた時の間食にピッタリです。昼食として2個前後の菓子パンを食べる人もいるでしょう。
しかし、頭脳労働する人にとっては、菓子パンは大敵です。血糖値の乱高下により、確実に仕事の能率が落ちてしまいます。
また、菓子パンには、トランス脂肪酸の塊であるマーガリンやショートニングも大量に含まれています。
トランス( trans )型の二重結合が 1 つ以上ある不飽和脂肪酸のこと。
人体の悪玉コレステロールを増やしたり、心臓病の発症率を上げたりすることが判明している。動物実験では、老化の加速も確認されている。つまり、早死にの原因になる毒物。
1000 人を被験者とした実験結果によると、1日に摂るトランス脂肪酸が1 g 増えるごとに、単語の記憶量が 0.76 語ほど少なくなる影響が見られたそうです。また、最もトランス脂肪酸の摂取量が多かった人は、 10 %も記憶力が悪くなったことも確認されています。
アメリカでは、トランス脂肪酸を多く含む「部分水素添加油脂」の使用が、原則として禁止されている。一方、日本の内閣府食品安全委員会は、「日本人の摂取量は少なく、健康への影響は小さい」として、野放し状態である。
マーガリンやショートニングは、液状の植物油脂に水素を添加することによって作られます。工業的に大量生産できることから価格が安く、無味無臭なので、バターの代用品として加工食品に利用されています。
マーガリンとショートニングの違いは、水分量と添加物です。マーガリンから水分と添加物を除去すると、ショートニングになります。
マーガリンとショートニングは、数々の実験によって、人体に悪影響を及ぼすことが証明されています。その意味においても、菓子パンは口にすべきではありません。
お菓子を控える
生菓子・焼き菓子などの種類を問わず、お菓子と呼べる食品は、穀物と糖分の塊です。口にすることで、血糖値の急激な上昇が危惧されます。
口にしないに越したことはありませんが、どうしても食べたい場合もあるでしょう。その場合は、なるべく食後のデザートとして楽しむようにしてください。
やってはいけない食べ方は、 3 時のおやつのように、小腹が空いた時に間食することです。空腹時に糖分の多い食品を口にすると、食後の場合よりも、血糖値の上昇が激しくなってしまいます。
お菓子の中でも、特に避けるべき危険な食品は、ポテトチップスです。医学の世界では、悪魔の食べ物などと呼ばれるほどです。
第1の問題は、糖分の過剰摂取です。ポテトチップス1袋( 60g )は、約8個分の角砂糖に相当する糖質が含まれています。
第2の問題は、発がん性の高い物質が含まれていることです。高温で調理した炭水化物には、アクリルアミドという発がん性物質が多く含まれています。また、このアクリルアミドは糖化最終生成物の1つであり、老化を促進します。
第3の問題は、酸化した油です。揚げてから時間の経った油は、変性して毒性が増します。変性した油には、過酸化脂質が多く含まれており、悪玉コレステロールの増加……ひいては動脈硬化につながります。
清涼飲料水を飲まない
清涼飲料水とは、炭酸飲料や果実ジュースなど、甘い味や香りの飲み物です。
清涼飲料水の定義には該当しませんが、コーヒー・ココア・茶飲料にも、多くの糖分が含まれている場合があります。
清涼飲料水のように、糖分が水に溶けている飲み物は、血糖値を急激に跳ね上げます。頭脳労働する人にとっては、最悪の飲み物と称しても過言ではありません。
清涼飲料水の問題点は、糖分が水に溶けている点です。
いちいち消化する必要がないので、小腸から素早く糖分が吸収されてしまいます。その結果、短時間で血糖値が跳ね上がります。
たとえ 100 %のフルーツジュースであろうと、例外ではありません。
市販のフルーツジュースは、舌触りの悪い食物繊維を除去してしまっているため、血糖値が上がりやすくなっています。
それに加えて、生で果実を食べるよりも、簡単に果糖を摂取できてしまうことも問題です。ゴクゴクと飲めてしまうので、果糖の過剰摂取になります。
100 %フルーツジュースのパックには、濃縮還元と記載されているものが多くあります。
濃縮還元とは、いったん絞った果実の水分を飛ばして粉末状にした後、再び水を加えて同程度の濃度に戻したものです。運搬に便利であったり、重量を減らして関税の金額を減らしたりといった事情により、このような措置が取られています。
濃縮還元は、果実の水分が消し飛ぶほど加熱処理しているので、果実本来のビタミンや酵素などの栄養素が吹っ飛んでいます。
加熱料理されたフルーツジュースを飲んだところで、たいした栄養素は期待できません。果実の味を香りのついた果糖水くらいに思っておきましょう。
水分を補給したい場合は、水道水またはミネラルウォーター、もしくは緑茶や紅茶のような無糖の茶飲料を選ぶようにしましょう。
加工食品を避ける
人の手が加えられている食品(いわゆる加工食品)は、無添加を売りにしているものでなければ、ほぼ間違いなく甘味料(砂糖や果糖ブドウ糖液糖)が加えられています。
脳の性能を最大限に引き出したいなら、あらゆる加工食品を避けるべきです。また、白米や小麦粉のように精製された穀物も口にしない方がいいです。
一口に加工食品と言っても、パッと具体例を想像しづらいでしょう。
多くの人々が普段から口にするであろう加工食品について、いくつか書き並べておきます。
- 加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコンなど)
- 加工魚肉(ちくわ・かまぼこなど)
- シリアル(コーンフレーク・フルーツグラノーラなど)
- インスタント食品(ラーメン・焼きそば・うどんなど)
- 冷凍食品(スパゲティ・餃子・焼売など)
- 精製された穀物(白米・白い小麦粉など)
- コンビニなどの弁当類
- ジャム類
1日1~2食にする
デスクワークの多い人たちの場合は、1日1~2食で充分です。1日3食は食べ過ぎになります。
1日の食事量が減れば、それだけ血糖値が上がり下がりする頻度が減ります。また、消化活動のために胃に血液が回される量も減るので、それだけ脳の方に血が回りやすくなります。
主に頭脳労働を生業とする場合は、1日の食事量を減らした方が利口です。日中の眠気に襲われにくくなるので、仕事の能率が格段に向上します。
1日3食がいかに食べ過ぎかについては、あなたの周囲の人々のお腹の出っ張り具合に目をやれば、一目瞭然でしょう。
もしくは、自身のお腹に手を当ててみてください。どれくらい脂肪が余っていますか?
日本で1日3食の文化が浸透し始めた時期は、江戸時代からと言われています。それが仮に正しいとしても、わずか 400 年の歴史にすぎません。
石器時代は、今から約 200 万年前から始まっています。江戸時代に至るまでに約 199.5 万年の隔たりがあります。その期間は、1日1食、多くても1日2食でしょう。
つまり、現代人の体は、1日3食の食生活に適応しているとは考えられません。
私は大学に入った初期から、ずっと1日2食の食生活を送っていました。別にガリガリではありませんでしたし、それどころか、お腹周りに ある程度の脂肪が余っているくらいです。
ここ最近は、1日 1.5 食(昼に果物主体の軽食、夜はガッツリと食べる)になっています。それでも、未だに体は痩せ細りません。むしろ、適度に筋肉がついてきているので、理想的な体型に近づいています。
頭脳労働が主体であるなら、1日1~2食で充分です。
厚生労働省や食品企業の言うことに耳を貸す必要はありません。大学の研究に基づいた、科学的な食事習慣を信じた方が利口ですね。
ベリーやナッツを食べる
軽食や間食する際には、ベリー類やナッツ類を食べましょう。
ベリーには色々と種類がありますが、とりわけブルーベリーがオススメです。コンビニでも入手しやすいうえ、栄養価が優れています。
ブルーベリーは、アントシアニンが豊富なことで有名です。眼精疲労に効くことから、パソコン作業の多いデスクワーカーには必需品と言えます。
また、ブルーベリーには、アンチエイジング効果も確認されています。研究論文としては、 DNA が受けた損傷の修復効果が有名です。
さらに、ブルーベリーを継続的に摂取することで、言語能力や記憶力の改善も確認されています。言葉を操る執筆業には、ありがたい効果です。
ブルーベリーを購入するのであれば、 Amazon の KIRKLAND 製の冷凍ブルーベリーもしくは冷凍ミックスベリーがオススメです。
私の場合であれば、お昼ごろになったら、解凍したブルーベリーにカカオニブと蜂蜜をかけて、軽食として口にしています。
クルミ・アーモンド・カシューナッツのような、いわゆるナッツ類には、不飽和脂肪酸(オメガ 3 脂肪酸やオメガ 6 脂肪酸など)が含まれています。
不飽和脂肪酸は、脳の神経細胞を構成する主な要素の 1 つです。そのため、不飽和脂肪酸を豊富に摂取することで、思考力や記憶力といった脳力が上がると考えられています。
ナッツ類の中でも、クルミはオメガ 3 脂肪酸が豊富に含まれていることで有名です。また、ポリフェノールも豊富に含まれているので、脳の炎症を抑えてくれます。
ナッツ類を食べる際は、無塩で添加物の入っていないものを選びましょう。
サラダにオリーブオイルや酢をかける
食事でサラダを食べる際は、ドレッシングとしてオリーブオイルや酢を使うことをオススメします。
オリーブオイルと酢には、血糖値の上昇を防ぐ効果があります。
もしもサラダを食べる際は、なるべく早めに食べましょう。
食物繊維の多い食べ物を先に胃腸に送ることで、その後に糖質の多い食べ物(白米や小麦粉など)を摂取しても、血糖値が上がりにくくなります。
こまめに水分補給する
人間の臓器は、その 80 %が水分で構成されていると言われています。脳にしても、例外ではありません。
脳機能と水分量には、密接な関係があります。平たく言えば、こまめに水分を摂取することで、反射速度や集中力などの脳機能を高められます。
「脳と水分」に関する過去の研究データから信頼性が高い 33 件をまとめた、ジョージア工科大学のメタ分析を紹介します。
過去に発表された統計的な分析研究の結果を集めて、さまざまな観点から比較分析する手法。いわば、分析の分析。
科学的に、最も信頼性の高い研究手法とされている。
メタ分析の対象となった過去の研究データは、以下の通りです。
- 実験の被験者は、総勢 413 人。
- 運動・サウナ・水断ちなどの方法によって、被験者の体重の1%~6%の水分を失わせる。
- 認知テストをおこなって、水分を失う前後で、どれくらい脳機能が落ちたのか調査する。
メタ分析の結果から、体重の2%の水分が失われると、脳機能が格段に悪くなることが判明したそうです。
もしも体重が 60kg の人の場合は、 1.2kg の水分を失った時点で、まともな頭脳労働は出来なくなるというわけですね。……まあ、そんな状態に至る前に、喉がカラカラに乾いて、水分補給したくなる欲求が湧き上がるでしょう。
ともかく、脳機能と水が密接に関わっていることに違いありません。頭脳労働の場合であっても、こまめな水分補給が大切です。
小説・記事の執筆速度を上げる姿勢
デスクワークする際に、どのような姿勢でおこなっているかによって、脳に行きわたる血流の善し悪しが変わってきます。
もちろん、血流が良いほど、より多くの血液(酸素とブドウ糖)が脳に届くので、頭脳労働の能率は良くなっていきます。
椅子に座って仕事をおこなう場合
デスクワークをおこなう際は、一般的には、椅子に座った状態です。
座り仕事をおこなう際は、以下のことに注意しましょう。共通点は、なるべく体にねじれを作らないことです。
- 足を組まない
- ほどほどに貧乏ゆすり
- 背筋を伸ばす
- 首筋を伸ばす
足を組まない
足を組むことによって、太ももの血管が圧迫されて、足先の血流が悪くなります。さらに、腰椎と骨盤のゆがみを生むので、腰痛の原因にもなります。
また、足を組む姿勢は、どうしても猫背になってしまいます。全身の血行が悪くなることは当然ながら、肺が圧迫されるので、呼吸も浅くなります。
血行の悪さにしても酸素量の減少にしても、足を組むことは、脳の活動を妨げてしまいます。
何かしらの頭脳労働をおこなうのであれば、足は組まないようにしましょう。
ほどほどに貧乏ゆすり
貧乏ゆすりは行儀が悪いとされますが、足を動かすことは、血流の改善に効果的です。
会社に置かれた机であれば、基本的には足元は見えづらいので、ほどほどに貧乏ゆすりする分には、周囲に迷惑はかかりません。
周りの目を気にする必要のない在宅の仕事であれば、意識して貧乏ゆすりをおこなうことをオススメします。
背筋を伸ばす
ぴしっと背筋を伸ばすことで、腰から首元にかけての血流が良くなります。
また、猫背にならないことから、肺が圧迫されなくなり、深く呼吸できるようになります。より多くの酸素を取りこめるので、それだけ脳が活動しやすくなります。
首筋を伸ばす
首は、脳と胴体をつなぐ部位です。他の部分の姿勢が良くても、首筋が曲がってしまっていると、脳の血行は悪くなってしまいます。
主にパソコン作業をおこなっている場合は、なるべく視点と画面が同じくらいの高さになるように調整しましょう。画面の方は、やや下でOKです。
立って仕事をおこなう場合
個人的には、小説や記事の執筆のようなパソコン作業は、立ちっぱなしでおこなうことをオススメします。
いくつかの研究では、スタンディングデスクを利用した作業ないし勉強において、脳機能の向上が確認されています。
たとえば、テキサス A&M の研究では、 34 人高校生に 24 週間に渡ってスタンディングデスクを使って勉強してもらったところ、脳機能が向上したことが確認されました(脳の画像分析では、前頭前野が活発化していた)。
テキサス A&M の別の研究では、 7 〜 10 歳の小学生 282 人を半分に分けて、一方は座ったまま授業を学び、もう一方はスタンディングデスクで授業を学んでもらいました。
立ったまま授業を学んでいた小学生は、作業の達成度が 12 %向上したことが確認されました。また、無駄話が減ったり、グループ活動に積極的に参加したりなどの現象も見られました。
スタンディングデスクを使った立ち仕事が生産性の向上に寄与することは、さまざまな企業でも注目されています。
世界に名高いグーグル・フェイスブック・アップルでも導入されましたし、日本では楽天・三菱商事・サイバーエージェントが導入したことが話題になりました。
スタンディングデスクは、ニトリなどの家具屋で購入できます。お手軽に手に入れたいなら、 Amazon や楽天で注文するといいでしょう。
スタンディングデスクを試しに使ってみたい人は、今ある普通の机を改造することをオススメします。机の下に大きめの鉢を設置すると、丁度いい高さになります。使わない本棚があれば、横に倒して机を乗せてもいいでしょう。
よりスタンディングデスクの価値を引き出したいなら、足元にステッパーを用意してください。
足踏みすることで足の筋肉が伸縮運動して、全身の血のめぐりがよくなります。スタンディングデスクと組み合わせることで、作業効率を高められます。
小説・記事の執筆速度を上げるテクニック
ここからは、作業領域や細かな手法について紹介します。
どれも簡単に実践できることばかりなので、ぜひあなたのデスクワークに取り入れてください。
不要な物を作業机から除去する
自分が作業するための机の周りは、不要な物を取り除きましょう。常に整理整頓を心掛けてください。
物事に集中するためには、集中を阻害する物を排除することが基本になります。
机の上にお菓子・漫画・携帯ゲーム機・スマホなどを置かないようにしましょう。
BGM として自然音を流す
頭脳労働の BGM を流すとしたら、雨の音・川のせせらぎ・虫の鳴き声など、純粋な自然の音声がオススメです。
何か頭脳労働する際に音楽を流していると、たとえ BGM であったとしても、脳はマルチタスク状態になります。目の前で何か(文章の執筆など)に集中していても、同時に耳から聞こえてくる音声も情報処理するからです。
脳はマルチタスク状態になると、どうしても 1 つのことに対する集中力が分散してしまいます。頭脳労働であれば、集中力が散ってしまい、思考力や計算能力の低下が引き起こされます。
言語が含まれている歌のような音楽は、集中力を散らせる効果が強いです。
文章の執筆のように言語処理能力を要する作業の場合は、耳から聞こえる歌詞の言語処理と競合するため、大幅に能率が下がってしまいます。
頭脳労働の際は、たとえクラシック音楽であったとしても、 BGM として流すべきではありません。
楽器などの演奏によって人工的な作られた音楽は、自然に存在しなかったものなので、少なからず意識を奪われるからです。
頭脳労働の際に BGM を流すとしたら、雨音や波音のように、自然音を選びましょう。
自然に存在する音であれば、集中力を阻害しません。精神をリラックスさせてくれるので、脳波がアルファ波に近づき、むしろ集中力を強化してくれます。
どうしても人工的な音楽を聴きたいのであれば、頭脳労働の前に聴くようにしましょう。
好きな音楽を聴くことによって、アドレナリンやドーパミンといった興奮物質が分泌されて、何かに取りかかる活力が湧き上がります。
作業机の周りに観葉植物を置く
人間の脳は、自然に囲まれた環境に置かれていると、集中力が強化されるという性質を持っています。
イリノイ大学が 300 人の児童を集めておこなった実験によると、自然の多い公園で週に1回だけ授業した子供たちは、タブレットや電子黒板などがそろった教室で授業した子供たちと比べて、集中力が2倍も上がっていたそうです。
また、テキサス A&M 大学の実験では、オフィスに観葉植物を置いただけで、被験者が良いアイデアを思いつく確率が 15% アップしたそうです。
何か頭脳労働する際は、自然の多い公園などに出掛けていくといいでしょう。
もっと手軽に自然の効果を利用するのであれば、作業机の周りに観葉植物を設置しましょう。ホームセンターに行けば、数百円で小さな観葉植物を購入できます。
照明灯として暖色系の光源を使う
暖色系の柔らかな明かりは、人の心をリラックスさせる効果があります。薄暗いくらいが最適です。心が落ち着けば落ち着くほど、集中力が高まります。
また、暖色系の明かりは、意識をボンヤリとされる力もあります。これにより、潜在意識かの情報が顕在意識に上がりやすくなるので、アイデアが閃きやすくもなります。
作業机の周りに青色の小物を置く
人間の脳は、目にした色によって、感情などを含む脳活動が変わります。
赤い色は、心に緊張状態を生み出し、注意力や記憶力を向上させて、物事に取り組もうとする意欲を高めます。
青い色は、心に冷静さをもたらし、思考力や分析力といった創造的な脳力を高めます。
創造的な仕事をおこなうのであれば、作業机の周りに青色の小物を置くようにしましょう。青色のパソコンを使ってもいいですし、デスクトップの背景に青色の写真(海や空など)を設定するのもオススメですね。
天井の高い場所で仕事する
天井が高くて広い空間は、人間の創造性を高める環境であると言われています。一般的には、カテドラル効果(カテドラルとは聖堂の意)と呼ばれています。
何か創造的なことをおこなうのであれば、自宅の狭い部屋ではなく、天井の高い喫茶店や図書館などがオススメでしょう。
可能であれば、屋外で創造的なことをおこないましょう。吹き抜ける風や小鳥のさえずり、太陽の日差しや足裏の地面の感触といった「自然の刺激」は、人間の創造性を活発にしてくれます。
喜びの感情を利用する
人間の感情によって、物事に対する集中力が変化します。
何かに対して怒りを抱いている時、 1 つの物事に集中できなくなることは、あなたも実体験として知っているでしょう。その反対に、喜びの感情は、集中力の強化をもたらします。
人間が極限まで 1 つの物事に集中した時に起きるフロー状態は、「楽しい」や「嬉しい」といった喜びの感情によって引き起こされます。
喜びの感情には、その人の創造性を高めたり、意思決定を速めたりする力があるからです。
物語づくりや文章の執筆のように、創造に関わることをおこないたいのであれば、事前に喜びの感情を抱いておくことが重要です。
自分の将来の夢を夢想したり、お気に入りの作品の鑑賞を楽しんだり、笑える動画を視聴したりすることによって、心に喜びの感情をあふれさせておくことをオススメします。
ポモドーロ・テクニック
以前に紹介した小説の執筆速度を上げる仕事術「ポモドーロ・テクニック」も、集中して作業を進める時にオススメのテクニックの 1 つです。
ポモドーロ・テクニックは、作業時間を 25 分間と定めて、まずは時間が終わるまで懸命に取り組みます。 25 分が経ったら、いったん 5 分間の休憩を取ります。その後も、再び「 25 分間の作業」と「 5 分間の休憩」を繰り返します。
早い話が、こまめに休憩を挟むというテクニックです。あえて時間制限を設けることによって、締め切り効果(短時間に一定の成果を出すために、無駄な試行錯誤を省こうとする心理)が働いて、効率よく作業を進められます。
ポモドーロ・テクニックの作業時間は、厳密に 25 分間を守る必要はありません。あなたの好みに合わせて、 30 分でも 40 分でも、好きなように調整してください。
ただし、作業時間の長さは「集中力が続くこと」が大前提です。
ウルトラディアンリズム
ウルトラディアンリズムとは、上記のポモドーロ・テクニックと似た手法です。
ウルトラディアンリズムの場合は、作業時間を 90 分、休憩時間を 20 分とします。この時間配分は、人間のノンレム睡眠( 90 分)とレム睡眠( 20 分)に対応しています。
精神生理学者のペレツ・ラヴィー博士の研究によると、ウルトラディアンリズムで作業と休息を繰り返すことは、自然と集中力を高めて、さらに集中力を持続させることが分かったそうです。
根拠となる研究の1つは、バイオリニストの練習量です。世界レベルのバイオリニストを観察したところ、トップレベルの人は、 90 分単位で練習をおこない、長くても合計 4 時間半以内で練習を終えていました。
大学の講義は、基本的に 90 分単位とされています。恐らく、ウルトラディアンリズムに基づいて決められたのでしょう。
効率よく作業なり練習なりを進めたいのであれば、集中していることが必要不可欠です。ただ長く時間をかければいいものではありません。
あえて時間制限を作ることで、能率よく物事を進めていきましょう。