小説の文章作法をゼロから攻略! 51 の文章作法と『てにをは』の使い方を解説

 

ショウヘイ

どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ( @shohei_creator )です。

ふーちゃん

ブログアシスタントのふーちゃんです。

ショウヘイ

この記事では、小説を書くための文章作法やテクニックをまとめています。

はじめに、小説の文章を書くための基本的な規則(ルール)を解説します。

こちらの内容は、これから小説を書く初心者を対象にしています。

ふーちゃん

その次は、小説の読者が読みやすい文章を書くための文章作法を説明していますよ。

こちらの内容は、そこそこ小説を書き慣れている中級者が対象です。

ショウヘイ

最後に、小説の読者から「文章が上手い!」と思われる執筆テクニックを紹介します。

こちらの内容は、もっと上手い文章が書けるようになりたい上級者を対象にしています。

ふーちゃん

ご自身の文章力に応じて、必要な文章作法やテクニックを学んでいってください!

 

目次

小説の文章作法【初級】|基本的な文章ルールを守ろう

 

ショウヘイ

まずは、小説の文章を書くためのルールについて、基本から解説していきます。

ふーちゃん

どの文章規則も必ず守るべきことばかりです。

しっかりと身につけましょうね。

 

 

小説の文章作法1:段落の最初は、必ず1字下げする(全角空白を1つ入れる)

 

小説の文章では、段落を変える時に、必ず1字下げします(全角空白を1つ入れる)。

字下げの間違った使用例

肌が焼けるような、真夏の昼下がり
僕は待ち合わせの駅前に向けて、自転車を走らせた。

字下げの正しい使用例

␣肌が焼けるような、真夏の昼下がり

 

␣僕は待ち合わせの駅前に向けて、自転車を走らせた。

 

 

ただし、登場人物の発言や心の声を表す時に使うカッコ書き「」()については、1字下げしません。

字下げの間違った使用例

␣「誇りある騎士として死ぬか、逃げて臆病者と生き恥をさらすか。さあ、お前の好きな方を選べ」

␣黒騎士はそう言って、俺の方へ抜き身の両手剣を放り投げた。

字下げの正しい使用例

「誇りある騎士として死ぬか、逃げて臆病者と生き恥をさらすか。さあ、お前の好きな方を選べ」

␣黒騎士はそう言って、俺の方へ抜き身の両手剣を放り投げた。

 

 

小説の文章作法2:文や意味の切れ目には、句読点をつける

 

句読点とは、句点(。)と読点(、)のことです。

 

1つの文の終わりには、句点(。)をつけましょう。

ただし、発言や心の声を表現する時にカッコ書き「」()を使う時は、カッコを閉じる直前に句点をつけません。

 

読点(、)は、文中の意味が切り替わる部分に使うと、文が読みやすくなります。

句読点の間違った使用例

「あーあ補修とかマジでダルいわ・・・・・・。」

俺は補修室に向かいながら廊下で愚痴をこぼした。

句読点の正しい使用例

「あーあ、補修とかマジでダルいわ・・・・・・」

俺は補修室に向かいながら、廊下で愚痴をこぼした。

 

 

小説の文章作法3:感嘆符「!」や疑問符「?」の後には、全角空白を1つ入れる

 

初心者が忘れてしまいがちなことですが、感嘆符「!」や疑問符「?」を使った後には、全角空白を入れる必要があります。

また、感嘆符や疑問を重ねて使わないようにしましょう。見栄えが悪くなります。

感嘆符・疑問符の間違った使用例

「このノートパソコン、本当にもらっても良いんですか?まだまだ充分に使えますし、それなりに高性能ですよ」

「ああ。つい最近、もっと性能の良い新型を買ったんだ。だから、そのノートパソコンは、もうお役御免なんだ」

「じゃ、じゃあ・・・・・・本当にもらっちゃいますよ!あとで返してって言っても、遅いですからね!!!」

感嘆符・疑問符の正しい使用例

「このノートパソコン、本当にもらっても良いんですか? まだまだ充分に使えますし、高性能ですよ」

「ああ。つい最近、もっと性能の良い新型を買ったんだ。だから、そのノートパソコンは、もうお役御免なんだ」

「じゃ、じゃあ・・・・・・本当にもらっちゃいますよ! あとで返してって言っても、遅いですからね!」

 

 

小説の文章作法4:三点リーダー(…)やダッシュ(―)は、必ず偶数回で使う

 

沈黙や余韻、長音を表す時に使う三点リーダー(…)やダッシュ(―)は、必ず偶数回で使う決まりになっています。

 

三点リーダー(…)と中黒(・)は、完全に別物です。

中黒を3連続で使う表現(・・・)は、三点リーダーを意味しません。誤用です。

三点リーダーとダッシュの間違った使用例

台座に突き刺さっている剣は―――あまりにも厳かで美しかった。

「こ、これが・・聖剣と名高きエクスカリバー・・・・!」

三点リーダーとダッシュの正しい使用例

台座に突き刺さっている剣は――あまりにも厳かで美しかった。

「こ、これが……聖剣と名高きエクスカリバー…………!」

 

 

三点リーダーとダッシュの用法

 

ショウヘイ

三点リーダーとダッシュの用法を3つ紹介します。

 

 

ちょっとした間の表現

 

用法:間の表現

まあ……その通りかもしれない。

男は刀の柄に手をかけ――紫電一閃の居合を打った。

 

 

余韻の表現

 

用法:余韻の表現

愛する我が子の門出を見送った……。

 

 

文章の補足

 

用法:余韻の表現

大食いファイターは、超大盛のカレーライス――総重量は5キログラムを超えるだろう――を目の前にして、目を輝かせながらスプーンを手に取った。

 

 

 

小説の文章作法5:行頭に置いてはいけない記号

 

文字数の都合で、下記の記号が行頭に来てしまった場合は、1つ前の行末に書きましょう(ぶら下がり)。

なお、小説を原稿用紙で書く場合の文章作法です。 Web 小説については、特に守る必要はありません。

行頭に置いてはいけない記号

  • 句点 。
  • 読点 、
  • 感嘆符 !
  • 疑問符 ?
  • 閉じカッコ 」 』 )

 

 

小説の文章作法6:行末に置いてはいけない記号

 

文字数の都合で、下記の記号が行末に来てしまった場合は、1つ次の行頭に書きましょう(追い出し)。

なお、小説を原稿用紙で書く場合の文章作法です。 Web 小説については、特に守る必要はありません。

行頭に置いてはいけない記号

始めカッコ 「 『 (

 

 

小説の文章作法7:閉じカッコの直前に句点は付けない

 

人物の発言を表す時に使うカギ括弧「」については、閉じカッコの直前に句点を付けません。

間違った使用例

「おはようございます。今日もいい天気ですね。」

正しい使用例

「おはようございます。今日もいい天気ですね」

 

 

小説の文章作法8:二重表現を避ける

 

二重表現とは、同じ意味の表現を重ねて使ってしまうことです。

二重表現を使うと、わずらわしさ・見苦しさを読者に感じさせます。

二重表現の具体例

  • 頭痛が痛い
  • 違和感を感じる
  • 補足で補う
  • 最後の結末
  • 最初の冒頭

 

 

小説の文章作法9:使用語句の表現を統一する

 

同じ言葉であっても、ひらがな・カタカナ・漢字・アラビア数字など、さまざまな表現方法があります。

全体の文章を通して、使用する語句の表現を統一することで、読みやすさが向上します。

使用語句の統一例

【漢字の統一】

  •  昨日、定食屋で食べた生姜焼きが美味かった。この定食屋は、カツカレーも美味い
  •   昨日、定食屋で食べた生姜焼きが美味かった。この定食屋は、カツカレーも旨い

【平仮名・片仮名・漢字の統一】

  •  難しい漢字は、平仮名片仮名で表現した方が読みやすい。ただし、公的な書類を作る場合は、平仮名片仮名を使うと、読者に軽薄な印象を与えてしまう。使い分けが大切だ。
  • ✖     難しい漢字は、平仮名片仮名で表現した方が読みやすい。ただし、公的な書類を作る場合は、ひらがなカタカナを使うと、読者に軽薄な印象を与えてしまう。使い分けが大切だ。

【数字の統一】

  •   4500 円のヘッドフォンを買った。財布の中身は、残り 2000 円だ。
  • ✖     4500 円のヘッドフォンを買った。財布の中身は、残り二千円だ。

 

 

小説の文章作法 10 :縦書きと横書きで数字を使い分ける

 

文章を縦書きにするか横書きにするかで、数字の表記を変えましょう。

通常は、以下のように数字表記を使い分けます。

数字表記の使い分け

  • 縦書き:漢数字(一、二、三……)を使う
  • 横書き:算数字(1,2,3……)を使う

 

ショウヘイ

縦書きと横書きで数字表記を使い分ける理由は、漢数字の『一』がダッシュ記号『ー』と似ていて、横書きだと見分けがつかないからです。

ふーちゃん

ただし、四文字熟語『一期一会』や用紙サイズ『 A 4』のように、固有表現に使う数字については、縦書き・横書きで区別しません。

たとえば、横書きでも『一期一会』と漢数字を使いますし、縦書きでも『 A 4』と算数字を使いますよ。

 

 

 

小説の文章作法【中級】|読みやすい文章を書こう

 

ショウヘイ

ここからは、小説の読者にとって読みやすい文章を書くための文章作法について説明します。

ふーちゃん

小説の文章が読みづらいと、読者にストレスを与えてしまいます。読者に小説を楽しんでもらうには、文章の読みやすさが重要です。

読みやすい文章の書き方を身につけましょうね。

 

 

主語と述語について

 

ショウヘイ

文章の基礎となる主語と述語について、正しい書き方と注意点を説明します。

 

 

小説の文章作法 11 :主語をしっかりと書く

 

文章に主語が無いと、誰についての説明なのか分からなくなります。述語に対応する主語は、省かずに書きましょう。

間違った例

頑張って練習したから、野球の試合に勝てた。

正しい例

僕は頑張って練習したから、野球の試合に勝てた。

 

 

小説の文章作法 12 :主語と述語を近づける

 

主語と述語の距離が遠いと、誰(主語)何をしたのか(述語)が分かりづらくなります。

主語と述語は、なるべく近くに置いて、対応が分かりやすいようにしましょう。

間違った例

消費税率の引き上げは、ただでさえ原料高で食料品が値上げされているのに、一般家庭に大きな負担をかける

正しい例

消費税率の引き上げは、一般家庭に大きな負担をかける。ただでさえ、原料高で食料品が値上げされているというのに。

 

 

小説の文章作法 13 :2番目以降の主語を省いて、文章を短くする

 

同一の人物について文章を連ねる時は、2番目以降の主語は、きっちりと書く必要はありません。何度も同じ主語が書かれていると、読者にうっとうしがられるからです。

2番目以降の主語を省いて、文章をスッキリさせましょう。

間違った例

私は 20 歳になった。私は成人したのだ。

成人したからこそ、私は言動に気を付けようと思う。私は成人であることを自覚したいからだ。

いずれ、私は就職して社会人になる。立派な社会人になるために、私は今から責任感の強い人間に成長していきたい。

正しい例

私は 20 歳になった。成人したのだ。

成人したからこそ、言動に気を付けようと思う。成人したことを自覚したからだ。

いずれ、就職して社会人になる。立派な社会人になるために、今から責任感の強い人間に成長していきたい。

 

 

小説の文章作法 14 :同じ文中に2つ以上の主語を書かない

 

一文に2つ以上の主語が書かれていると、どちらの主語がより重要なのか(主役なのか)分からなくなります。なるべく、一文の主語を1つにしましょう。

ただし、どうしても一文に2つ以上の主語を書く必要がある時は、能動態(~する)受動態(~される)を使い分けると、重要な主語が分かりやすくなります。

間違った例

ピアノの先生指導して、生徒上達できた。

正しい例

  • 主語を1つにした場合:ピアノの先生指導して、生徒上達させた。
  • 受動態を使った場合:ピアノの先生に鍛えられて、生徒上達できた

 

 

小説の文章作法 15 :同じ文中で主語が切り替わったら示す

 

一文の前半と後半で主語が変わる時は、それぞれの主語を明らかにしましょう。後半の主語を省くと、主語と述語の対応がチグハグになってしまいます。

間違った例

母は「宿題をしなさい」と言ったので、すぐに宿題に取りかからないといけない。


※読者は「母が宿題をやるのか?」と思って混乱する。

正しい例

母が「宿題をしなさい」と言ったので、僕はすぐに宿題に取りかからないといけない。

 

 

小説の文章作法 16 :強調したい部分によって「は」と「が」を使い分ける

 

「は」と「が」は、どちらも主語の後ろに続く助詞です。しかし、強調する部分が違います。

「 A は B する」「 A は B だ」のように「は」を書く場合は、主語の掛かり先である B を強調します。誰が『何をするのか』に重点が置かれるわけです。

「 A が B する」のように「が」を書く場合は、主語そのものである A を強調します。何かした人物は『誰か』に重点が置かれるわけです。

間違った例

  1. 佐々木君熱心に働いてくれた。
  2. 女優の小田巻さん絶世の美女だ。

正しい例

  1. 佐々木君熱心に働いてくれた。
  2. 女優の小田巻さん絶世の美女だ。

 

 

小説の文章作法 17 :同じ文中に助詞をダブらせない

 

「~は、~は」や「~が、~が」のように、同じ文中に同じ助詞がダブると、読みにくい文章になってしまいます。

「~が、~は」のように別の助詞を使うと、読みやすい文章になります。

間違った例

  1. 実験上手くいくかどうか、理論の正しさ次第だ。
  2. 小島君成績優秀だ、普段から勉強していない。

正しい例

  1. 実験上手くいくかどうか、理論の正しさ次第だ。
  2. 小島君成績優秀だ、普段から勉強していない。

 

 

小説の文章作法 18 :「名詞+する」の言い回しを減らす

 

公的文書や学術論文は、堅苦しい印象を感じます。これは「名詞+する」という言い回しを使い過ぎているからです。

「増加する」→「増える」、「読書する」→「読む」のように、単純な動詞に置き換えると、柔らかい文章に仕上がります。

間違った例

仕事に勤労することは称賛するが、働きすぎで体調を害する事態は回避すべきだ。

正しい例

仕事に励むことは素晴らしいが、働きすぎで健康を崩す事態は避けるべきだ。

 

 

小説の文章作法 19 :同じ意味の述語をひとまとめにする

 

同一の述語、または同じ意味の述語を繰り返すと、文章が長くなりがちです。

述語をひとまとめにすることで、文章がスッキリします。

間違った例

水道もある、電気もある、ガスもある。現代生活は便利だ。

私は朝食にコーヒーを飲み、昼食にアイスティーを味わい、夕食にビールを嗜んだ

正しい例

水道も、電気も、ガスもある。現代生活は便利だ。

私は朝食にコーヒー、昼食にアイスティー、夕食にビールを飲んだ

 

 

小説の文章作法 20 :述語の共用に注意する

 

1つの述語が複数の主語・目的語に対応する時、どの述語・目的語にも使える述語であることが必要です。

本来は対応しない主語・目的語と述語が並んでいると、違和感のある文になってしまいます。

間違った例

宝くじが当たって金持ちになった人は、ブランド品や旅行や高級車を買いまくるなど、短期間で散財してしまいがちだ。


※『旅行』が『買う』に対応することは不自然です。

正しい例

宝くじが当たって金持ちになった人は、ブランド品や高級車を買いまくったり、旅行したりなど、短期間で散財してしまいがちだ。

 

 

小説の文章作法 21 :5W1Hを明確に書く

 

5W1Hとは、以下の要素を持つ言葉を意味します。

5W1Hとは

  • いつ( When )
  • どこで( Where )
  • 誰が( Who )
  • 何を( What )
  • どのように( How )

 

 

5 W 1 H を使った文章は、読者にとって『今、その場面で何が起きているのか』を詳しく伝えられます。

裏を返せば、文章に5 W 1 H が不足すると、読者は『今、その場面で何が起きているのか』が分かりづらくなります。

5 W 1 H の少ない文章

私は急いで家に帰った。

5 W 1 H の多い文章

学校の授業が終わり、放課後になった。

今日は塾に行く日なので、私は自転車に乗り、急いで家に帰った。

 

 

 

修飾語について

 

ショウヘイ

修飾語とは、特定の語の情報を補う語です。

具体例は、名詞の情報を補う形容詞(例:赤いリンゴの『赤い』)や動詞の情報を補う副詞(例:速く走るの『速い』)などです。

ふーちゃん

対象の語(被修飾語)を補足する修飾語の使い方について説明していきますね。

 

 

小説の文章作法 22 :修飾語と被修飾語を近づける

 

被修飾語とは、修飾語によって意味が補われる語(名詞・動詞など)です。

 

修飾語と被修飾語は、それぞれの距離が近ければ近いほど、読みやすい文になります。

反対に、修飾語と被修飾語の距離が遠いと、どれが修飾対象か分かりづらくなります。

下記の具体例の場合は、修飾語が「豪快」、被修飾語が「飲んだ」です。

修飾語・被修飾語の間違った使用例

豪快に、キンキンに冷えたビールを飲んだ。

修飾語・被修飾語の正しい使用例

キンキンに冷えたビールを豪快に飲んだ。

 

 

小説の文章作法 23 :修飾語は長い語から先に書く

 

2つ以上の修飾語を同一の被修飾語に対応させる時は、長い修飾語を先に書きましょう。すると、どの語が修飾対象か分かりやすくなります。

下記の具体例の場合は、修飾語「正確に」と「間違った情報に惑わされずに」を被修飾語「記事を書く」に対応させています。

間違った例

正確に間違った情報に惑わされずに記事を書く。


※読者は「正確に惑わされず?」と思って混乱する。

正しい例

間違った情報に惑わされずに正確に記事を書く。

 

 

小説の文章作法 24 :規模の大きい修飾語から先に書く

 

規模の大きい修飾語から規模の小さい修飾語の順に書くと、分かりやすい文章になります。

間違った例

東京で気温 40 度を記録して、
日本の平均気温が上がり
地球が温暖化している。


※規模(面積)の順番がメチャクチャ。

正しい例

地球が温暖化して、
日本の平均気温が上がり
東京で気温 40 度を記録した。

 

 

小説の文章作法 25 :消しても意味が通じる修飾語を削る

 

修飾語が多いと、文章が長くなって読みづらくなります。

特定の修飾語を消しても、文の意味が通じるようなら、なるべく削り取りましょう。

間違った例

学園祭に出す色々な店の案がクラス内で数多く寄せられたが、大半の案はありきたり目新しさが無かった。そこで、本的にマイナーな案を採用する方針に決めて、具体的な詳しい案を検討することになった。

正しい例

学園祭に出す店の案がクラス内で数多く寄せられたが、大半の案は目新しさが無かった。そこで、マイナーな案を採用する方針で、具体案を検討することになった。

 

 

小説の文章作法 26 :難読漢字・専門用語を使わない

 

ショウヘイ

日常的に使われない難読漢字は、多くの人が読めません。また、専門用語は、一般人は意味が分かりません。

難読漢字・専門用語が使われた文章は、多くの人に読みづらさストレスを感じさせてしまいます。

ふーちゃん

物語を作るために深い知識を学ぶと、ついつい難しい言葉を使いたくなる気持ちは分かります。

しかし、読者の読みやすさを考慮するなら、なるべく難読漢字・専門用語を使わないことが大切です。

ショウヘイ

どうしても難読漢字・専門用語を使わなければいけないなら、しっかりと地の文に補足を書きましょう。

 

 

小説の文章作法 27 :見慣れない・聞きなれない略称には正式名称を添え書きする

 

正式名称よりも略称の方が知られている団体・組織は多いです。しかし、はじめて略称を使う時は、正式名称を添え書きするのが原則です。

ただし、略称が一般名として根付いている時は、あえて正式名称を省いても大丈夫です(具体例:自民党・ NHK ・農協)

間違った例

IOC の総会に都知事が出席した。

正しい例

IOC (国際オリンピック委員会)の総会に都知事が出席した。

 

 

一文を短くすることについて

 

ショウヘイ

一文の長さが短ければ短いほど、文の意味を理解しやすくなります。

一文が長くなったと感じたら、適度なところで句点(。)を入れて、一文を分割するようにしましょう。

また、意味が同じになるなら、なるべく文字数の少ない言葉の方を使うようにしましょう。

 

 

小説の文章作法 28 :読点を多用して、文を長く伸ばさないこと

 

文の切れ目に読点(、)をつけると、その後にどんどん別の文をつなげていけます。

しかし、一文が長くなると、それだけ色々な情報が詰め込まれてしまいます。得てして、読みづらい文章になりがちです。

句点(。)を使って文を終わらせて、一文が長くなりすぎないようにしましょう。

間違った例

私は今から3年前に小説家を志して、出版社の新人賞に作品を何度か応募したが、入賞することは出来なかったけれど、諦めずに応募を続けた甲斐あって、 12 回目の応募作品が大賞に選ばれ、晴れて小説家としてデビューできた。

正しい例

私が小説家を志した時期は、今から3年前だ。出版社の新人賞に作品を何度か応募したが、なかなか入賞できなかった。しかし、諦めずに応募を続けた。その甲斐あって、 12 回目の応募作品が大賞に選ばれた。晴れて、小説家としてデビューできた。

 

 

小説の文章作法 29 :「~が」や「~の」の使い過ぎに注意

 

「~が」や「~の」という表現は、一文を長く書けるので、ついつい使ってしまいがちです。

別の助詞に置き換えたり、不要な語を削り取って、すっきりと整理しましょう。

間違った例

ショッピングモールへ買い物に行った、海外からの観光客多くて混雑していた、無人レジの方空いているので、すんなりと会計終わった。


日本首都東京観光名所東京タワー展望台から見える景色は壮観だ。

正しい例

ショッピングモールへ買い物に行ったら、海外からの観光客で混雑していたけれど、無人レジは空いているので、すんなりと会計を終えられた。


日本の首都である東京の観光名所『東京タワー』は、展望台から見える景色が壮観だ。

 

 

 

小説の文章作法 30 :言い切り表現を使う

 

「~かもしれない」や「~と思われる」のように、主張を曖昧にする表現を削りとって、言い切り表現を書きましょう。

言い切り表現を使うと、明確に意味を伝えやすくなります。また、文字数も減るので、一文が短くになります。

間違った例

男女の心がすれ違う理由は、生存戦略が同じであるとは言えないからではないかとも思われる。生存戦略が異なるから、思考と価値観が一致しないのだろう。男性と女性は、別の生き物と考えた方が良いかもしれない

正しい例

男女の心がすれ違う理由は、生存戦略が異なるからだ。生存戦略が異なるから、思考と価値観が一致しない。男性と女性は、別の生き物と考えるべきだ。

 

 

 

読点について

 

ショウヘイ

適切な場所に読点をつけることで、意味が切れたり場面転換したりしたことが分かりやすくなります。

また、音読した時に息継ぎする場所に読点をつけると、テンポよく文章を読みやすくなります。

 

 

小説の文章作法 31 :意味の切れ目に読点を置く

 

読点が使われていない文は、意味の切れ目が分かりづらいので、読者に読みにくさを感じさせます。

また、一文に複数の修飾語があると、修飾語と被修飾語の組み合わせが分かりづらくなります。

そこで、意味の切れ目に読点(、)を入れることで、文章を読みやすくしましょう。

ただし、あまりにも頻繁に読点を入れると、文がブツ切りになって、かえって読みづらくなります。適度な数を心がけましょう。

間違った例

  1. 私はスーパーマーケットで食材を調達して友人はホームセンターでバーベキュー道具を買ってくる予定だ。
  2. 学年末テストに、備えて、僕は、一生懸命に、勉強した、結果、どの教科でも、90点以上を、取れた。

正しい例

  1. 私はスーパーマーケットで食材を調達して、友人はホームセンターでバーベキュー道具を買ってくる予定だ。
  2. 学年末テストに備えて、僕は一生懸命に勉強した結果、どの教科でも90点以上を取れた。

 

 

小説の文章作法 32 :場面の変わり目に読点を置く

 

同文中で時間・場所・場合( TPO )が変わる場合は、変わり目に読点をつけると、場面転換したことが伝わりやすくなります。

間違った例

東京タワーは、 1985 年に開業して今年で、めでたく 60 周年を迎えた。

正しい例

東京タワーは、 1985 年に開業して、今年でめでたく 60 周年を迎えた。

 

 

 

小説の文章作法 33 :代名詞を減らす

 

あれ、それ、この、彼、彼女、あの人……のように、代名詞を使うと、簡潔に文章表現できて便利です。

しかし、代名詞を使い過ぎると、読者は「どの言葉(固有名詞)を指しているんだ?」と混乱しやすくなります。

これといって代名詞を使う必要が無ければ、丁寧に固有名詞を使った方が、読者にとって読みやすい文章に仕上がります。

代名詞を増やした文章

多くの作家は、売り上げの低迷や打ち切りを理由に、作家業の将来性に不安を感じている。それは、今後も変わることなく続くだろう。

彼らの中には、電子書籍を利用した個人出版に挑む者もいる。また、広告収入を作家に還元する投稿サイトを利用する者も増えてきている。

しかし、作家としての技量に乏しければ、それらを利用しても、収入は微々たるものだ。

作家業と別に、もっと効率的で長期的な収益構造を作る必要がある。この必要性は、娯楽物の多様化に伴い、さらに強くなるだろう。

代名詞を減らした文章

多くの作家は、売り上げの低迷を理由に、作家業の将来性に不安を感じている。売り上げの低迷は、今後も変わることなく続くだろう。

将来に不安を抱く作家の中には、電子書籍を利用した個人出版に挑む者もいる。また、広告収益を作家に還元する投稿サイトを利用する者も増えてきている。

しかし、作家としての技量に乏しければ、電子書籍の個人出版や収益還元サイトを利用しても、収入は微々たるものだ。

作家業と別に、もっと効率的で長期的な収益構造を作る必要がある。作家業と関係ない収益構造の必要性は、娯楽物の多様化に伴い、さらに強くなるだろう。

 

 

小説の文章作法 34 :難しい漢字は開いて表記する

 

難読漢字や非常用漢字など、簡単に読めない漢字を使う場合は、あえて平仮名で表記するのも手です。読みやすさが格段に上がります。

また、常用漢字であっても、平仮名を使ったが読みやすい場合もあります。

 

漢字を平仮名で表記することを『漢字を開く』と言います。

反対に、平仮名を漢字で表記することを『漢字を閉じる』と言います。

漢字を開いた具体例

(読みづらい) → (読みやすい)

  • 信憑性 → 信ぴょう性
  • 勿論 → もちろん
  • 更に → さらに
  • 殆ど → ほとんど
  • 下さい → ください
  • そう言う → そういう
  • そんな風に → そんなふうに
  • 事 → こと
  • 物 → もの
  • 丁度 → ちょうど
  • 何時か → いつか
  • 何処で → どこで
  • 何故か → なぜか
  • 何でも → なんでも

 

 

小説の文章作法 35 :自分で文章を音読してみる

 

ショウヘイ

読みやすい文章を書くコツは、声に出して文章を読んでみることです。

黙読するよりも、声に出して読み上げる方が、労力を使います。それなので、長ったらしい表現や読みにくい箇所に気づきやすいです。

ふーちゃん

また、読点の位置を決める時も、声に出して読んだ方が分かりやすいですよ。

自分が息継ぎする箇所や一拍置きたい箇所に読点をつけると、読みやすい文章に仕上がります。

 

 

小説の文章作法 36 :同格の単語が続く時は中黒で整理する

 

国や地名、人物名など、同格の単語を書き並べる場合は、つなぎに中黒(・)を使うと、体裁が整います。

間違った例

国際連合の常任理事国は、アメリカとイギリスとフランスとロシアと中国の5国だ。

正しい例

国際連合の常任理事国は、アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国の5国だ。

 

 

小説の文章作法 37 :列挙する時は品詞をそろえる

 

「問題の原因は、 A ・ B ・ C の3つだ」というように、何か言葉を列挙する時は、品詞をそろえることが大切です。

A ・ B ・ C に名詞や動詞、形容詞が入り乱れていると、おかしな文になります。

間違った例

居心地のよい社内の雰囲気づくりや、人間関係が円滑に進むためには、まずは社長や幹部などの『上層部の意識改革』が大切だ。


※名詞「雰囲気づくり」と動詞「進む」が混在している。

正しい例

  • 居心地のよい社内の雰囲気づくりや、円滑な人間関係のためには、まずは社長や幹部などの『上層部の意識改革』が大切だ。(名詞に統一)
  • 居心地のよい社内の雰囲気をつくり、人間関係を円滑にするためには、まずは社長や幹部などの『上層部の意識改革』が大切だ。(動詞に統一)

 

 

小説の文章作法 38 :文章の結論は、早い段階で明らかにする

 

英語と違って、日本語の文章は、結論が最後に来る構造になっています。

しかし、結論が先に書かれていると、読者は『この文章が何を伝えようとしているのか』が分かりやすくなります。

読者に伝えたい結論は、早い段階で明らかにしましょう。

間違った例

地球温暖化の原因は、二酸化炭素を酸素に換えてくれる森林の伐採に加えて、石油資源の燃焼や工場の乱立により、大気中の二酸化炭素濃度が上昇したことだ。

正しい例

地球温暖化の原因は、大気中の二酸化炭素濃度の上昇だ。二酸化炭素濃度が上昇している原因は、2つある。1つ目は、二酸化炭素を酸素に換えてくれる森林の伐採だ。2つ目は、石油資源の燃焼や工場の乱立により、二酸化炭素の排出量が増えたことだ。

 

 

 

小説の文章作法【上級】|文章力を上げる 13 の執筆テクニック

 

ショウヘイ

ここからは、小説において、読者から「文章が上手い!」と思われるような執筆テクニックを紹介します。

 

 

小説の文章作法 39 :同じ言葉を繰り返さない

 

言い方が違うだけで、意味するところが同じ言葉は多いです。

言葉の重複は、無駄そのものです。文章の美しさを損なって、読者をうんざりした気分にさせてしまいます。

重複する言葉があったら、省略するか、別の表現に置き換えましょう。

間違った例

息子が東京上京する。

※上京は「東京へ行く」という意味。「東京へ東京へ行く」ということなってしまう。


勉強することをやらないことは、成績の低下につながることになる。

※同文中に「こと」が3つもあるので、うるさい印象になる。「こと」を使う時は、一文に1つまでに抑えておこう。


彼がお化け屋敷を前にして逃げ出した理由は、いくつかのわけがある。

※「理由」も「わけ」も同じ意味。どちらかを削るか、書き換える必要があります。

正しい例

  1. 息子が上京した。
  2. 息子が東京へ行った。

勉強をやらないと、成績の低下につながることになる。


彼がお化け屋敷を前にして逃げ出した理由は、いくつかある。

 

 

小説の文章作法 40 :内容が重複する文を削り取る

 

語句が大きく違っていても、意味するところが同じ場合もあります。

後に出てくる重複表現をゴッソリと削って、簡潔な文章にしましょう。

間違った例

日本の石油資源は、海外輸入に依存している。石油販売業者の意向によって、ガソリン価格は大きく左右されてしまう。日本で採掘できる石油が極めて少量だからだ。ガソリン価格が上がるか下がるかで、運送業者の必要経費は大きく変わる。


※「海外輸入に依存している」と「日本で採掘できる石油が極めて少量」は同じ意味です。「ガソリン価格が上がるか下がるか」は「ガソリン価格次第」と短く表現できます。

正しい例

日本の石油資源は、海外輸入に依存している。石油販売業者の意向によって、ガソリン価格は大きく左右されてしまう。ガソリン価格次第で、運送業者の必要経費は大きく変わる。

 

 

小説の文章作法 41 :「~である」を多用しない

 

「である」調は、言い切り表現なので、堅苦しい印象があります。

また、「~である。~である。~である」のように、語尾に何度も「である」を使うと、くどくどしい印象にもなります。

間違った例

吾輩は猫である。名前はまだ無いのである

どこで生れたかとんと見当がつかぬのである。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶しているのである


※原文を「である」調に改変

正しい例

吾輩は猫である。名前はまだ無い。

どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

 

 

小説の文章作法 42 :接続語を多用しない

 

「そして」「すなわち」「つまり」「しかし」「だが」「また」「かつ」のような接続語は、使わなくても文の前後がつながることもあります。その場合は、不要な接続語を削り取りましょう。自然と読点の数も減るので、読みやすい文章に仕上がります。

ただし、逆接の接続語は、残した方がいい場合が多いです。前後で文の意味がガラリと変わるので、変化の目印として役立ちます。

間違った例

世界中で地球温暖化を防ぐ活動が起きている。すなわち、植林で森林面積を増やして、かつ石油消費量の少ない新製品を開発している。そして、大気中の二酸化炭素濃度を低くして、未来の人々が豊かな地球資源を受け取れるようにするのだ。

世界中の人々が協力すれば、やがて地球温暖化は収まるだろう。しかし、一朝一夕で実現することではない。数十年~数百年という時間をかけて、少しずつ進めていく努力が求められる。

正しい例

世界中で地球温暖化を防ぐ活動が起きている。植林で森林面積を増やしたり、石油消費量の少ない新製品を開発したりしている。大気中の二酸化炭素濃度を低くして、未来の人々が豊かな地球資源を受け取れるようにするのだ。

世界中の人々が協力すれば、地球温暖化は収まるだろう。しかし、一朝一夕で実現することではない。数十年~数百年という時間をかけて、少しずつ進めていく努力が求められる。

 

 

小説の文章作法 43 :「い」抜きと「ら」抜きに注意する

 

「い」抜きと「ら」抜きは、話し言葉で使ってしまいがちです。しかし、文章で使ってしまうと、目の肥えた読者を白けさせる危険があります。

間違った例

私は君を愛してる。


麺 500 グラムの大盛ラーメンなんて食べれない。

正しい例

私は君を愛してる。


麺 500 グラムの大盛ラーメンなんて食べれない。

 

 

小説の文章作法 44 :文頭に「なので」や「結果」を使わない

 

「なので」や「結果」は、それ単体が文頭に来ません。

「なので」は、「~なので、……だ」というように、前後の文をつなげる言葉です。

「結果」は、「その結果、~」や「~の結果、……となった」というように、出来事を意味する文の後に使う言葉です。

間違った例

私はお菓子作りが好きだ。なので、自宅でクッキーを焼くこともある。

都心の生活は、物資やサービスが氾濫している。結果、近所付き合いの必要性が希薄になった。

正しい例

私はお菓子作りが好きなので、自宅でクッキーを焼くこともある。

都心の生活は、物資やサービスが氾濫している。その結果、近所付き合いの必要性が希薄になった。

 

 

小説の文章作法 45 :程度表現は具体的な数字を使う

 

程度を表す表現には「かなり」「いっぱい」「すごく」などもありますが、何を基準にしているのかについては、人それぞれ違います。書き手と読み手の感覚が同じでなければ、正確に伝わりません。

価格・面積・高さ・距離など、何かの程度を表す場合は、なるべく具体的な数字で表現しましょう。どの程度なのか、正確に伝わりやすくなります。

間違った例

富士山は、すごく大きな山だ。

正しい例

富士山は、標高 3776 メートルの大きな山だ。

 

 

小説の文章作法 46 :語調をそろえて、文末に変化をつける

 

語調には、「~だ」「~である」「~です・ます」「~でございます」というように、いくつかの種類があります。語調をそろえると、文章全体に統一感が生まれます。

ただし、語調をそろえる時は、文末に変化をつけるようにしましょう。いつも「~である」で終わる文が続くと、単調な印象を読者に与えます。体言止めも活用して、文末を多彩にしましょう。

間違った例

沖縄は秋でも暖かく、晴れた日は半袖シャツでも汗ばむくらい。しかし、紫外線が強いので、屋外に長時間いる時は、長袖シャツを着た方がいいです。熱中症対策として、水筒などを持ち歩くことをオススメする。塩分補給用に塩飴などを用意しておけば、準備は万全である

正しい例

沖縄は秋でも暖かく、晴れた日は半袖シャツでも汗ばむくらいです。しかし、紫外線が強いので、屋外に長時間いる時は、長袖シャツを着た方がいいでしょう。熱中症対策として、水筒などを持ち歩くことをオススメします。塩分補給用に塩飴などを用意しておけば、準備は万全

 

 

小説の文章作法 47 :二重敬語を使わない

 

敬語を使ったからといって、必ず丁寧になるわけではありません。敬語に敬語を重ねる表現(二重敬語)は、ゴマすりのような卑屈な印象が強くなります。

間違った例

教授がおっしゃられた理論に基づいて仮説を立てて、検証実験に取り組む。

※「言う」の尊敬語「おっしゃる」と敬意を示す語「られる」の二重敬語


主人が夕食をお召し上がりになった。

「食べる」の尊敬語「召し上がる」と敬意を示す語「お(御)」の二重敬語


関係者各位様にご連絡します。

「一人ひとり」の尊敬語「各位」と敬意を示す語「様」の二重敬語

正しい例

教授がおっしゃった理論に基づいて仮説を立てて、検証実験に取り組む。


主人が夕食を召し上がりになった。


関係者各位にご連絡します。

 

 

小説の文章作法 48 :カタカナ語を乱用しない

 

「コミット」「ソリューション」「プレゼンテーション」「シナジー」「スキーム」「クライアント」というようなカタカナ語(外来語)は、日常会話で使われていません。

安易にカタカナ語を使うと、読者が意味を知らなかった時は、「なにこれ、どういう意味?」と戸惑ってしまいます。

間違った例

クライアントのニーズにコミットしてバリューサプライする。


クライアントにアピールするために、会社のコンセプトとイシューをプレゼンする。

正しい例

顧客の需要に取り組み、価値を提供する。


顧客に印象付けるために、会社の理念と課題を提示する。

 

 

小説の文章作法 49 :強調表現にカタカナやカギ括弧を使う

 

特定の言葉をカギ括弧で囲んだり、あえてカタカナで表記することで、強調できます。

ただし、何度も強調表現を使うと、うっとうしくなります。多くとも、2回までに留めておきましょう。

間違った例

キャッチボールや素振りは、野球の基本のきだ。

正しい例

キャッチボールや素振りは、野球の「基本のキ」だ。

 

 

小説の文章作法 50 :読者の五感を刺激する

 

現実世界は、色・音・匂い・味・感触など、さまざまな刺激に満ちています。五感で感じられる情報を描写に加えると、文章に立体感が生まれます。

間違った例

ショートケーキを食べると、甘いホイップクリームと酸味のきいたイチゴの風味が口いっぱいに広がった。それらがスポンジケーキと合わさり、なんとも言えない絶妙な味を生み出している。


※抽象的な表現が多め

正しい例

ショートケーキを食べると、ふわふわなホイップクリームの甘みが舌の上に広がった。続いて、濃厚な生クリームの香りが鼻腔をくすぐる。みずみずしい新鮮なイチゴを噛みしめると、程よい酸味の果汁がジュワジュワッとあふれ出す。途端、イチゴの爽やかな香りが鼻腔を突き抜けた。


※五感で得られる情報が多め

 

 

小説の文章作法 51 :登場人物の感情表現に『生理的な変化』を加える

 

登場人物の感情を描写する時、ただ単に「喜んだ」や「怒った」と書いても、抽象的で立体感に書けます。

そこで、登場人物の『生理的な変化』を書き足しましょう。読者は、より具体的に登場人物の様子を感じられます。

間違った例

  • ケーキが甘い。
  • 激しい怒りを覚えた。
  • 悲しみを抱く。

正しい例

  • ケーキが甘くて、思わず頬の肉がゆるんでしまう。
  • 手が震えるほど激しい怒りを覚えた。
  • 胸が押しつぶされるような悲しみを抱く。

 

 

 

小説の文章作法【番外編】|『てにをは』を使いこなそう

 

ショウヘイ

番外編として、『てにをは』の使い方をまとめました。

たった1文字の違いで、文章の意味が変わってきます。細かなことですが、『てにをは』についても学んでおきましょう。

 

 

『てにをは』の由来とは

 

てにをはの由来は、漢文を読む時、漢字の四隅に打たれた『ヲコト点』を左下から右回りに読むと『てにをは』になったことです。

 

文章校正では、助詞の使い方が間違っている時に、「てにをはが違う」と言われます。

早い話が、語句と語句の関連性を示したり、文章に特定の意味を与えたりする時に使われる語が『てにをは』と呼ばれています。

 

ふーちゃん

『てにをは』の具体例は、「は」「が」「を」「の」「に」「へ」「で」「と」などですよ。

 

 

『てにをは』は、文章の意味をガラリと変える

 

ショウヘイ

『てにをは』は、多くの場合、たった1文字です。

しかし、1文字が違うだけでも、文章の意味が大きく変わってきます。

 

 

「で」と「が」の1文字違い

 

「で」と「が」を変えるだけで、好みの強さが変わります。

具体例:食べたい物を尋ねられた場合

  • カレー「で」良いです
  • カレー「が」良いです

 

ふーちゃん

「で」を使った場合は『絶対にカレーが食べたいわけではないが、とりあえずカレーで良い』という意味合いが生まれます。

「が」を使った場合は『絶対にカレーを食べたい』という意味合いが生まれます。

 

 

「は」と「も」の1文字違い

 

「は」と「も」を変えるだけで、区別性が変わります。

具体例:人物紹介する場合

  • ジーク「は」国を救った英雄だ。
  • ジーク「も」国を救った英雄だ。

 

ふーちゃん

「は」を使った場合は、ジークの単独性が強調されます。

「も」を使った場合は、ジークの他にも、英雄がいることが示唆されます。

 

 

「は」と「が」の1文字違い

 

「は」と「が」を変えるだけで、対象範囲が変わります。

具体例:食べ物の味を尋ねられた場合

  • カレー「は」美味しいよ
  • カレー「が」美味しいよ

 

ふーちゃん

「は」を使った場合は『カレーは美味しいけれど、他の料理は、そんなに美味しくない』という言外の意味が読み取れます。

「が」を使った場合は『多くの料理が美味しいけれど、とりわけカレーが美味しい』という言外の意味が読み取れます。

 

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