今となっては、小説執筆の参考になりづらい|ベストセラー小説の書き方の感想・レビュー

ベストセラー小説の書き方

 

どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ( @shohie_creator )です。

 

今回の書評で紹介する創作資料は、ディーン・ R ・クーンツ著の【ベストセラー小説の書き方】です。

著者ディーン・R・クーンツについて

20 歳の時に、アトランティック・マンスリー誌の小説部門で賞をとり、作家生活を始める。始めの頃はSFを中心に執筆していたが、途中から心理サスペンスやホラー作品を書くようになる。後期の作品は、例外なく「ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー・リスト」に載るほどのベストセラー作家。

 

 

目次

目次

 

こちらは【ベストセラー小説の書き方】の目次です。

第一章 本書はなぜ書かれたか

なぜ再びベストセラー小説を書くのか
小説の心までは教えられない
本書を書いたさらに三つの理由
読者に損はさせない

 

第二章 偉大な名作を書く

多数の人に読まれなければ意味がない
悪人は書きやすく、ヒーローは書きにくい
作品に不滅の生命を与えられるのは読者だ
わたしのなめた苦い経験をお話ししよう
自分に特定のレッテルをはるのを避けよ
職人気質こそ作家の命だ

 

第三章 移り変わる出版市場

書いたものが売れなければ無意味だ
本は本当に売れなくなったのか
本はかつてなくよく売れている
市場は確かに変化した
大型チェーン書店と巨大企業の進出
わたしも最近の変化で恩恵を受けたひとりだ
野心的な一般大衆小説をめざせ
最近の変化に対する否定的意見には根拠がない

 

第四章 ストーリー・ラインを組み立てる

プロットは小説の最大必要条件だ
ストーリー・アイデアをみつけるには
読んで、読んで、読みまくれ
書いて、書いて、書きまくれ
タイトル探しのゲーム
タイプで物語の糸口をいくつも叩いてみよう
三作の古典の冒頭シーンが教えるもの
登場人物をふたり設定して対話させてみよう
古典的プロットのパターン
最初の三ページが勝負だ
ファースト・シーンの具体例 その一
六つのねらい
ファースト・シーンの具体例 その二
ファースト・シーンの具体例 その三
「予告」のテクニック
相つぐ困難によって主人公を追いつめよ
偶然の一致を避けよ
状況を追いつめる最後の大型爆弾
結末がおもしろくなければ失敗作とみなされる
一般小説とジャンル小説のプロットのちがい
SFにおける人物描写
テーマは小説を豊かにする
経験こそ最良の教師だ

 

第五章 アクション、アクション、アクション

アクションシーンは多すぎてもまずい
アクション・シーンを最大限に利用せよ
緊迫感を出すためのふたつのテクニック

第六章 ヒーローとヒロイン

主人公に要求される五つの資質
平然と殺人を犯すような主人公はまずい
主人公は有能でなければならない
完全無欠な主人公も好まれない

 

第七幕 信憑性のある登場人物をつくりだす

アクションを通して性格描写を
登場人物のすべてを知りつくせ
登場人物の「身上調査書」づくり
ステレオタイプを避けよ

 

第八章 登場人物にいかにもありえそうな動機を与える

動機づけの弱い作品はボツになる
ハーレクイン・ロマンスだけが愛の物語ではない
動機の「多重層化」をはかれ

 

第九章 背景描写(バックグラウンド)

背景の細部をごまかすべからず
地理的、文化的背景はエキゾチックなほうが効果的
地理的背景が使い古されるということはない
アーサー・ヘイリーの背景描写
背景の材料を詰めこみすぎないよう注意すべし
サスペンス・シーンにも場所を選べ

 

第十章 文体について

ストレートでリズミカルな会話をめざせ
会話を自立させよ
きまり文句を退治せよ
『老人と海』に簡潔さを学べ
場面転換をうまくこなすコツ
複数の視点から書くと厚みと幅が生まれる
ひとりの視点から書く方法はジャンル小説むきだ

 

第十一章 SFとミステリー

SFにも可能性あり
現実味のある異星人をつくれ
SFの背景描写
近未来は想像だけでは書けない
遠い未来を描くには子供向けの本が参考になる
ミステリーにおける十五の注意事項
ジャンル作家という烙印を避けよ

 

第十二章 避けるべき落とし穴

作家の仕事ほどきつい仕事はない
スランプ克服法

 

第十三章 書いたものをどう売るか

読者の素朴な疑問に答えよう
利益のむさぼりパターン
真の弊害
安直なイミテーションを書いてはならない
よい編集者をさがせ

 

第十四章 読んで読んで読みまくれ

【出典元】

著者:ディーン・R・クーンツ 訳者:大出健 表題:ベストセラー小説の書き方 P 4-9  出版元:朝日新聞社 出版年月日: 1999 年 12 月 10 日 第 4 刷発行

 

 

 

本編の内容

 

本編の内容は、著者ディーン・R・クーンツの作家経験が中心に書かれています。全体の印象としては、いかに『商品としての物語を作るか』ということを念頭に置かれて、本編が書かれているように感じます。

前半は、出版当時の米国出版業界と作家の実情が語られています。後半では、小説の書き方について、著者の作品を具体例に使いつつ解説されています。

 

肝心の小説の書き方についてですが……正直なところ、わざわざ有料で買ってまで読むほどの価値は無いように感じました。

書いてあることは重要なのですが、情報を手広く取り扱おうとしている都合で、1つ1つの情報が浅くなっているように思えたからです。

 

本書の小説の書き方についての記述で、今でも役立ちそうに思えた部分は、次の通りです。

【ベストセラー小説を書き方】

  • 小説は最初の3ページが勝負。主人公が危険な目に遭うなど、何か衝撃的な場面から始めること。冒頭の書き出しで編集者や読者の関心を掴むべし。
  • 主人公には、いくたの困難を用意して、徹底的に追い詰めろ。主人公が生きるか死ぬかに瀬戸際に立たされて、どう行動するか。そこに読者は夢中になる。
  • 娯楽小説においてアクションシーンは大切だけれど、入れ過ぎは禁物。適度に落ち着く場面を挟んで、読者の心を休ませてあげる。緊張の後に小休止がもたらされることで、読者は次の緊張の場面を楽しめる。
  • 主人公は、読者に好かれることが大前提。まずは、高潔で誠実であること。また、問題を解決する主役であるために、有能で勇敢であること。ただし、完全無欠の主人公は鼻につくので、忘れずに人間味のある欠点を持たせること。
  • 登場人物を作る時は、過去から現在に至るまで、徹底的に設定を詰めていく。声や話し方、動作や仕草、宗教や性癖など、考え得る人物設定を事細かに決めておくこと。人物設定の作成をサボると、ステレオタイプの薄っぺらい人物になってしまう。
  • 文体はリズミカルに読み進められることが大切。地の文も会話文も、長ったらしくならないように注意して、テンポよく進めていくべし。

 

 

 

著書が出版された時期が約 20 年前ということもありますが、今となっては、そこまで有用な小説執筆ノウハウ本とは言えません。作家の実情を知るための図書としても、約 20 年前の話ですし、そもそも日本の話ではありません。

図書館などで無料で読める分には、一読しておいて損はありません。けれど、有料で購入するなどでしか手に入らないようでしたら、わざわざ買う必要はありませんね。

 

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