物理学的ストーリー創作入門【感想・レビュー】|前著を読んでいれば、こちらは買う必要なし!

物理学的ストーリー創作入門

 

どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ( @shohei_creator )です。

 

今回の書評で紹介する創作資料は、ラリー・ブルックス著の【物理学的ストーリー創作入門  売れる物語に働く6つの力】です。

 

位置づけとしては、前回の書評記事で紹介した【工学的ストーリー創作入門  売れる物語を書くために必要な6つの要素】の続編ですね。

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本編の内容は、【工学的ストーリー創作入門  売れる物語を書くために必要な6つの要素】で説明されていた6つのコア要素に働いている力について、さらに詳しく解説するというものです。

前著の内容と何が違うのかについて注目しつつ、書評を書き進めていこうと思います。

 

著者のラリー・ブルックスについて

心理スリラー小説『 Darkness Bound 』『 Pressure Points 』『 Serpent’s Dance 』を代表作とするベストセラー作家。その経験を活かして、物語創作インストラクターやフリーランス編集者としても活躍している。

 

目次

目次

 

本編の内容を大まかに知ってもらうために、目次の記載を引用しました。

第1章 ストーリーのフォースと共にあれ
1 ストーリーの探究
2 ストーリーの物理へのシフト
3 ストーリー構想の三つの段階
4 ストーリーの物理を定義する
5 文脈に沿って書く
6 ストーリーの探究の方法と手段

第2章 ストーリーの物理の最適化
7 アイデア VS コンセプト
8 コンセプトの裏側
9 指標としての物理
10  ストーリーの中のストーリー
11  サブテキストの魅惑のささやき
12  大きくて無言のストーリー・キラー
13  構成とストーリーの物理の関係
14  主人公の心理を描くには
15  疑似体験を深めるために

第3章 プロセスの力
16  執筆プロセスの最終目標
17  使命重視のストーリーテリング
18  使命重視のシーン執筆
19  九つの文でストーリーを書く
20  ビートシートという設計図
21  ストーリーの強化

第4章 ストーリーの物理の実践
22  売れるストーリーを書くための六つのコア要素
23 『ヘルプ』のストーリー力学
24 『ハンガー・ゲーム』のストーリー力学

 

【出典元】

著者:ラリー・ブルックス 訳者:シカ・マッケンジー 表題:物理学的ストーリー創作入門 売れる物語に働く6つの力  P4-6  出版:フィルムアート社 出版年月日: 2018 年 9 月 25 日 初版

 

 

 

本編の内容

 

ネタバレにならない程度に、本編の内容を段階的に紹介していきますね。


 

【第1章 ストーリーのフォースと共にあれ】

 

第1章の内容は、前著の内容のおさらいと言った感じですね。

物語を作っていく中で『最初の計画段階』が最も重要であると強調しています。あわせて、優れたアイデアとコンセプトは どんなものであるか、主人公の欠落と葛藤の重要性、物語に登場する人物たちの対立構造の必要性について、あらためて触れられています。

著者は計画的に物語を作っていくことを強く推奨していて、思いつくままに執筆すること(パンチング)を好ましく思っていません。無計画の執筆は、どこかで執筆の手が止まってしまうし、物語の展開の速度や緊張感を調整しづらくなるからです。

 


 

【第2章 ストーリーの物理の最適化】

 

まずは、アイデアとコンセプトの違いについて解説されています。

アイデアが思いつきならば、コンセプトは「もし~~だったら?」という問い掛けの形式の文章ですね。大まかな筋書きも想像できます。

コンセプトは、大まかな筋書きを表すものです。そのため、登場人物が活躍するための舞台を形作ります。また、どういう文章表現を使えば物語が映えるのか判断するための役割も果たします。コンセプトに『主人公の感情変化』が含まれているようなら、主人公の一人称視点で物語を展開した方が効果的……といった具合です。

 

前著で説明されていた6つのコア要素(コンセプト・テーマ・人物・構成・シーンの展開・文体)について、どんな内容が優れているのか解説された具体例が記載されています。評価は、優・良・可の3評価です。

参考までに、コンセプトについての評価説明を引用しておきます。

コンセプト

定義:ストーリーの「アイデアを大きく発展させたもの」。「 What if ?(もし~なら?)」による基本的な問題提起。ドラマの風景を示し、プロットへの窓口になる。葛藤や強い疑問、魅力的なシチュエーション、ストーリーの展望や人物の行動を描く舞台を示す。

可:読者の関心を得る問題提起がなされ、問いの答えに興味を抱かせる。

良:答えを求める主人公の姿が疑似体験でき、主人公と共に歩むような気持ちになれる。ストーリーはエキサイティングで読みごたえがあると確信させる。

優:読者は主人公と共に歩むだけでなく、危機に陥っているものに思い入れを抱く。ストーリーの結末に共感する。

 

【出典元】

著者:ラリー・ブルックス 訳者:シカ・マッケンジー 表題:物理学的ストーリー創作入門 売れる物語に働く6つの力  P89  出版:フィルムアート社 出版年月日: 2018 年 9 月 25 日 初版

 

 

第2章には、他にも『サブテキストの意味について』や『ストーリーとは何か』、『物語の構成と戦略の違い』、『主人公の心理の描き方』、『読者の疑似体験を深める方法』などについても触れられています。

ただまあ、個人的な感想としては、記事に取り立てるほどの目新しさや有力な情報ではないように思えました。

 


 

【第3章 プロセスの力】

 

第3章では、3幕構成について説明されています。

前著の3幕構成の説明と大差ないので、これといって目新しい情報はありませんでした。

 


 

【第4章 ストーリーの物理の実践】

 

第4章では、はじめに6つのコア要素(コンセプト・テーマ・人物・構成・シーンの展開・文体)の互いの関係性について触れています。

 

その後は、『ヘルプ』と『ハンガー・ゲーム』という2つのベストセラー小説の構成について、詳しい解説が展開されます。

1つ1つの場面を取り上げて『この場面ではこういった力が働いている』や『この場面は、3幕構成における●●ポイントだ』と言う感じですね。

ベストセラー作品の中身を細かく解剖して、1つ1つの場面の機能を解説している部分は、一読の価値があるように思えます。『なぜその場面がその位置にあるのか』を理解できれば、よりよい物語構成を練りやすくなるからです。

 

 

まとめ

 

【物理学的ストーリー創作入門  売れる物語に働く6つの力】を読んだ感想としては、わざわざ購入する必要は無かったなと思いました。

というのも、前著の【工学的ストーリー入門  売れる物語を書くために必要な6つの要素】の内容と被る部分が多く、新規に得られる情報が少なすぎたからです。

 

物語のテーマやコンセプトの重要性、3幕構成の作り方について知りたい場合は、前著の【工学的ストーリー入門  売れる物語を書くために必要な6つの要素】を読むだけで充分ですね。

【物理学的ストーリー創作入門  売れる物語に働く6つの力】については、それなりに価格が高いこともありますし、無理して購入する必要はありません

 

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