どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ( @shohei_creator )です。
ブログアシスタントのふーちゃんです。
小説の物語では、主人公やヒロインについで、悪役(敵キャラ)も重要ですよね。
主人公と敵対するキャラクターがいるからこそ、物語に対立構造が生まれます。主人公が窮地に追い込まれ、ハラハラドキドキする展開を起こせます。
物語を面白くするためには、悪役(敵キャラ)は必要不可欠です。
今回の記事では、まずは悪役(敵キャラ)の存在意義に触れた後に、悪役(敵キャラ)の3つの型を紹介していきます。
なお、小説のキャラクター設定の作り方については、こちらの記事で説明しています。
小説の悪役(敵キャラ)とは
小説の悪役(敵キャラ)とは、主人公と利害関係にあったり、異なる信念・価値観を持っているキャラクターのことです。
物語において主人公の前に立ち塞がり、妨害ないし殺害を企ててきます。
小説における悪役(敵キャラ)の存在意義
小説・ラノベにおいて、悪役(敵キャラ)の存在意義は、主人公を心身ともに追い詰めることです。
読者が面白い感じる小説の共通点は、主要な登場人物の感情に上下の波が繰り返されることです。
1700 以上の物語を分析サンプルに使って感情分析をおこなった研究によると、世界中で語られている物語は、次の6つの型に分類できるそうです。
どの型にも共通していることは、物語の進行に応じて、感情曲線に波が起きることですね。
- 継続的な上昇(立身出世型)
- 継続的な低下(悲劇型)
- 下降から上昇(起死回生型)
- 上昇から下降(失墜型)
- 上昇→下降→上昇(シンデレラ型)
- 下降→上昇→下降(オイディプス型)
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出典元: Andrew J. Reagan, Lewis Mitchell, Dilan Kiley, Christopher M. Danforth, Peter Sheridan Dodds. (2016) The emotional arcs of stories are dominated by six basic shapes. Carnell University Library,p.6,Feg.4[/caption]
登場人物の感情に波を起こすための手っ取り早い方法は、その人物の目的達成を妨害したり、心身に危害を加えることです。その役割を担う存在こそ、悪役(敵キャラ)というわけですね。
小説の悪役(敵キャラ)は、主人公を殺す寸前まで追い詰めるべし
小説の悪役(敵キャラ)は、主人公を徹底的に追い詰めるべきです。
主人公が死ぬ寸前まで、徹底的に追い詰めさせましょう。
物語の面白さの1つは、主人公の起死回生劇にあります。
撃方法では助かりません。智略の利いた驚きの行動に出ることで、状況を打開するしかありません。
小説の読者は、主人公の生死の行方を気に掛けつつ、「主人公がどんな方法を使って窮地を脱するのだろう?」と期待感を抱いて、ページをめくる手を速めます。
悪役(敵キャラ)の重要な役割は、主人公を追い詰めることです。
生半可な追い詰め方では、物語は面白くありません。非道な行為でも平然とおこなえるよう、悪役(敵キャラ)には人間性の欠点を持たせてください、
主人公が強くなったり、味方が増えるようだったら、悪役(敵キャラ)も戦力増強しましょう。常に主人公たちよりも少し強い状態になるように心がけてください。
主人公が不利な状況をどう工夫して覆すのかということも、物語の見どころの1つなのですから。
また、悪役(敵キャラ)が主人公を苦めれば苦しめるほど、読者が悪役(敵キャラ)に抱く怒り・憎しみの総量は大きくなります、
主人公が悪役(敵キャラ)を倒した時には、読者が抱いていた大量の怒り・憎しみが解放されます。その時に、強烈なカタルシス(感情の浄化)を体験できます。つまり、物語を読む楽しみが増えるわけですね。
読者が小説を読んだ時に得られるカタルシスについては、こちらの記事で詳しくまとめています。
カタルシスについて もっと知りたい場合は、読んでみてください。
小説における悪役(敵キャラ)の3つの型
これから、小説・ラノベにおける悪役(敵キャラ)の3つの型を紹介します。
型の意味や特徴は、のちほど1つ1つ詳しく解説していきます。
【悪役の型】の欄は、その類型の悪役(敵キャラ)が象徴しているイメージを一言で表しています。
【代表モデル】の欄は、悪役(敵キャラ)が務めていやすい役職のことです。
【行動の動機】の欄は、悪役(敵キャラ)が執念深く行動を続ける動機のことです。
【特徴】の欄は、悪役(敵キャラ)の性格面の特徴のことです。
悪役の型 | 代表モデル | 行動の動機 | 特徴 |
欲望 | 政治家 魔王 悪代官 | 権力欲 名声欲 支配欲 金銭欲 性欲 | 傲慢 強欲 階級差別意識 自己愛者 |
信念 | 義賊 犯罪組織の首領 ダークヒーロー | 己の主義・価値観 宗教の信仰心 主への忠誠心 仇への復讐心 | カリスマ性 意志強固 優れた知性・行動力 壮絶な過去 周囲からモテる |
サイコパス | 殺人鬼 マッドサイエンティスト ストーカー | 感情の衝動 性的な倒錯 道徳心の欠落 | 純真 偏愛 |
悪役(敵キャラ)の型 :欲望型
欲望型の悪役(敵キャラ)は、権力欲や金銭欲に突き動かされている人物です。
男性のキャラクターが務めることが多く、とにかく強欲です。打算的で腹黒くもあり、主人公に妨害を仕掛ける時は、裏から手回しすることを好みます。
キャラクターモデルとしては、権力のある政治家・成金系の社長・独裁国家の君主・ファンタジー世界の魔王などが代表例です。
人間の場合は、中背で小太りであることが多いですね。背が低いコンプレックスをバネにして、代わりの魅力(権力や金銭など)を追い求めるからです。太っている理由は、食道楽を追求した結果ですね。
男性的な欲望の強い人物は、総じて男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が多いです。
男性ホルモンの影響を強く受けていると、体毛が濃くなったり、顔の横幅が長めになったりします。
男性ホルモンの分泌が多い代償として、ハゲやすくもなります。
欲望型の悪役(敵キャラ)は、総じて死にざまが格好悪いです。
そもそも自分で戦闘する術を持っていないからこそ、陰から手回しする戦法を好んで使います。
主人公などに追い詰められた場合は、最後まで誰かに頼ろうとするか、命乞いするか、もしくは人質を取るような卑怯な手段を実行します。正々堂々と戦おうと考えません。
生来の欲望の強さゆえに、死ぬ間際であっても、いつまでも「死にたくない、死にたくない……!」と生に固執します。
地べたを這いずってでも、逃げようとするでしょう。
どこまでも醜い人間性であるからこそ、主人公が欲望型の悪役(敵キャラ)を倒した時には、読者は格別な爽快感を味わえます。
- ムスカ(登場作品:天空の城ラピュタ)
- ヴォルデモート(登場作品:ハリー・ポッターシリーズ)
悪役(敵キャラ)の型 :信念型
信念型の悪役(敵キャラ)は、己の理想や信念に従って突き進み続けます。
目的を達成するために手段を選ばない傾向があり、殺人・強盗・器物損壊など、実行して来た犯罪行為は数えきれません。
一貫性のある思想と堅い意志力を備えていることから、優れたカリスマ性を発揮します。その思想に賛同したり、人間性に惹かれたりする者が多く、自然と部下が付き従うようになります。
『悪の主人公』と呼べる存在でもあり、戦闘能力と知性を兼ね備えていることが一般的です。自尊心が高く、正々堂々としています。非道ではありますが、卑怯ではありません。負けざまは潔く、カッコイイとすら思わせてくれます。
- キング・ブラッドレイ(登場作品:鋼の錬金術師)
- 志々雄真実(登場作品:るろうに剣心)
- ディオ・ブランドー(登場作品:ジョジョの奇妙な冒険)
- ハオ(登場作品:シャーマンキング)
- メルエム(登場作品: HUNTER × HUNTER )
- ドンキホーテ・ドフラミンゴ(登場作品: ONEPIECE )
- 赤屍蔵人(登場作品: GetBackers-
奪還屋 - )
悪役(敵キャラ)の型 :サイコパス型
サイコパス型の悪役(敵キャラ)は、己の衝動に従うだけの先天的なキチガイです。理性や道徳心という『心の抑制』が欠落していることが特徴ですね。
行動を起こすまでの思考が単純であることから、どこか純真さ・無邪気さを感じさせます。忍耐することが苦手なので、精神的な幼さも感じさせるでしょう。
ただし、衝動に素直というだけで、知性が足りないわけではありません。マッドサイエンティストのように、優れた知性と計画能力を駆使して、己の欲望を満たそうとする人物もいます。
- ショウ・タッカー(登場作品:鋼の錬金術師)
- 槙島聖護(登場作品: PSYCHO-PASS サイコパス)
- 江ノ島盾子(登場作品:ダンガンロンパ)
- 蓮実聖司(登場作品:悪の教典)
- ハンニバル・レクター(登場作品:羊たちの沈黙)
信念型の悪役(敵キャラ)は、心の欠落を持たせつつ、過去を肉付けするべし
信念型の悪役(敵キャラ)の特徴は、主人公を凌駕するほどの意志の強さです。
目的を達成するためとはいえ、非合法の手段を実行することには、豪胆さが求められます。
不安と恐怖が蔓延する裏社会で活動を続けるためには、多少の困難ではくじけない強固な信念も必要です。
表舞台で活躍しづらいことから、水面下で地道に目標を達成していく忍耐力も重要です。
信念型の悪役(敵キャラ)の意志力の根底には、何か強烈な願望が潜んでいます。言い換えれば、いかんともしがたい心の欠落を抱えています。
法を犯してでも目的達成のために行動するわけですから、その欠落感たるや、主人公よりも巨大でしょう。
信念型の悪役(敵キャラ)を作る時は、まずは大きな欠落を持たせましょう。そして、その欠落を持つに至るための過去を肉付けしていってください。
絶命寸前の飢餓を経験した、死と隣り合わせの無法地帯で育ってきた、外部の存在に最愛の何かを奪われた……など、壮絶な過去を持っていることが自然ですね。
誰もが思わず同情してしまうほどの悲惨な体験を繰り返したと分かれば、悪役(敵キャラ)の魅力がググッと引き立ちます。そのことを主人公が知るような展開になれば、単純に『悪人』と決め付けられなくなり、戦いに迷いが生まれます。
物語の展開は、一層 面白くなることでしょう。
小説の悪役(敵キャラ)設定の作り方まとめ
- 小説における悪役(敵キャラ)は、主人公と異なる価値観や信念の持ち主。主人公と利害関係にあるため、対立することになる。
- 小説における悪役(敵キャラ)の存在意義は、主人公を心身ともに追い詰めたり、目的達成を妨害したりすること。すると、登場人物に『感情の波』が生まれ、読者を楽しませられる。
- 悪役(敵キャラ)には、主人公を絶命寸前まで追い詰めるさせるべし。『主人公が絶体絶命の危機をどのような工夫で乗り切るのか』という好奇心と期待感こそ、読書の楽しみの1つ。
- 悪役(敵キャラ)は、人間性に欠点を持っていることが大切。共感能力や倫理観に問題があるからこそ、主人公を窮地に追いやる非道な手段を実行できる。
- 悪役(敵キャラ)の3つの型
- 欲望型
- 権力欲や金銭欲、支配欲に突き動かされている。主人公を妨害するために、裏から手を回すことが多い。正々堂々と戦うことを嫌がり、往生際が悪い。
- 信念型
- 己の信念に従い、理想を叶えるために、ひたすらに行動し続ける。目先の欲望に振り回されることなく、自分の価値観に照らし合わせて、物事の是非を判断する。人間としての魅力に秀でており、畏怖と尊敬の対象と見なされ、多くの部下が集まって来る。
- サイコパス型
- 先天的なキチガイ。目先の快楽を手に入れるために、衝動のままに行動する。ある意味では、純真無垢と言える。知性に優れている場合は、マッドサイエンティストのような人物像になる。絶命する時は、最後まで笑い続けるか、もしくは状況を理解できていなさそうな様子で倒れる。
- 欲望型
- 信念型の悪役(敵キャラ)を作る時は、主人公を作る時と同様、心に欠落を持たせること。悪事に手を染めてでも目的を達成しようとするような、巨大な欠落であることが好ましい。その欠落を持つに至る過去の設定も作りこむこと。誰もが同情してしまう悲惨な体験を繰り返したという設定は、主人公に葛藤をもたらし、物語の展開を面白くする。