どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ( @shohei_creator )です。
今回の記事では、小説家を志し始めた人へ向けて、小説家の概要や小説家に求められる能力などを紹介します。
小説家・ラノベ作家とは
小説家とは、文章を使って物語を創作する職業です。
小説家が創作した物語は、出版社によって製本されて、書店で販売されます。
書店で書籍が売れると、販売価格の8%~15%が印税となり、小説家の大きな収入源となります。
現代の小説家は、基本的にパソコンを使い、小説の原稿を作成しています。
小説の中でも、手軽に読める若年層向け小説のことをライトノベル(略称:ラノベ)と言います。
ライトノベルを執筆する小説家は、ライトノベル作家(ラノベ作家)と呼ばれ、一般の小説家と区別されています。
小説家・ラノベ作家の仕事内容
小説家(ラノベ作家)の仕事は、基本的に新刊用の原稿執筆です。
新刊を出版するまでには、いくつかの工程を踏む必要があります。
小説家と編集者のやり取り
- 小説家は、物語のテーマとコンセプトの候補を何個も作り、候補の中から『物語が最も面白くなりそうなテーマとコンセプト』を選ぶ。
- テーマとコンセプトを元にして、プロット(物語の構成予定表)を作成する。
- 出版社の編集担当者にテーマ・コンセプト・プロットを提出する。
- 編集担当者からの助言を元にして、プロットに修正をかける(※ 編集担当者からボツが言い渡されたら、①からやり直し)。
- 編集担当者からプロットの合格を出してもらえたら、原稿の執筆を始める。
- ひとまず原稿が完成したら、推敲(誤字脱字の修正、文章表現の洗練、場面の追加・削除)を繰り返して、原稿の完成度を上げる。
- 編集担当者に原稿を提出する。
- 編集担当者からの助言を元にして、原稿に修正をかける。
- 編集担当者から原稿の合格を出してもらえたら、原稿を元にして初稿ゲラ(校正用に印刷したもの)が作成されて、校正者(誤字脱字や誤った表現を指摘してくれる人)に送られる。
小説家と校正者のやり取り
- 校正者のチェック(修正点や注意すべき点の説明書き)が入った初稿ゲラが小説家に送られてくる。
- 小説家は、チェックされた箇所を確認して、修正(指摘された点を直したり、必要に応じて自分のコメントを書いたりする)して、校正者へ返送する。
- 修正された初稿ゲラを元にして、再校正ゲラが作られる。校正者は、再校正ゲラを確認して、必要に応じてチェックを入れる。そして、小説家に再校正ゲラを送る。
- 小説家は再校正ゲラにチェックされた箇所を確認して、再び修正をかける。そして、校正者へ再校正ゲラを返送する。
この後、再校正ゲラを元にして、製本されます。
新刊原稿の執筆以外では、以下の仕事をこなすこともあります。
ただし、以下の仕事を依頼される小説家は、一定以上の知名度がある人のみです(いわゆる売れっ子作家)。
- 寄稿(雑誌のコラムなど)
- 新人賞の審査員
- サイン会
- 講演活動
- トークショー
- インタビュー(テレビ・ラジオ・雑誌・新聞)
小説家・ラノベ作家の収入額・年収
小説家(ラノベ作家)の収入については、一概に言えません。
というのも、売れっ子作家と底辺作家では、収入額に天と地の開きがあるからです。
参考までに、底辺~中堅の小説家は年収 100 万~ 300 万円と考えておいてください。
ただし、この年収額は、ある程度の間隔で新作を出版している場合です。スランプなどによって新作を出せなくなった場合は、書籍の印税収入は格段に減ります。
電子書籍【小説家になるな! 職業作家のリアル、それでもなりたい人へ ( トークメーカー新書 ) 】では、『若手作家で年収 150 万円なら、かなり売れている部類』という記述があります。
年収 150 万円でかなり売れている部類なら、底辺作家は、年収 100 万円にも届かないでしょう。
◆ 年収一五〇万円でも売れてる部類
架神
泉先生が食えないって仰ってましたけど、まあ作家は概ね儲からないです ね。おれ、年収一五〇万くらいの時に編集者から、「今の若手だとかなり売れてる部類の作家」って言われて「 はあ !? 」ってなり まし た。
至道
そうそう! [売れてる部類]ぼくも今でも言われてますよ! 「はぁ !? 」って思い ますよね! リアクションも まったく一緒 です。
引用元:至道流星 架神恭介 泉和良 小説家になるな! : 職業作家のリアル、それでもなりたい人へ ( トークメーカー新書 ) 位置 901~912/3357
下記の年収額は、ラノベ作家の新人デビューの場合のシミュレーション結果です。
かなり成功した場合、年収は 1000 万円前後となります。
鳴かず飛ばずで打ち切りになった場合、年収は 300 万円前後となります。
詳しいシミュレーション内容は、下の記事をご覧ください。
小説家・ラノベ作家になる方法(デビュー方法)
小説家・ラノベ作家になる方法(デビュー方法)は、大きく分けて、次の5つです。
- 小説・ライトノベルの新人賞で受賞する
- 書籍化の申し出を受ける(投稿サイトや同人作品で出版関係者に目を付けられる)
- 出版社へ持ち込む
- 小説専門学校の講師から紹介してもらう
- 電子書籍で自己出版する
小説・ラノベの新人賞で受賞する
各出版社が主催している小説新人賞に応募して、見事に受賞を勝ち取る方法です。
新人賞で受賞することは、最も王道的な作家デビューの道です。
多くの作家が新人賞に受賞して、初めての書籍出版を経験しています。
主な小説新人賞は、次の通りです。
あくまでも一例なので、下記以外にも多数の新人賞が開催されています。
(純文学)
- 太宰治省
- すばる文学賞
- 新潮新人賞
(大衆小説)
- 小説現代長編新人賞
- オール讀物新人賞
- 角川春樹小説賞
- メフィスト賞
(ライトノベル)
- 電撃小説大賞
- 富士見書房ファンタジア大賞
- スニーカー大賞
小説・ラノベの新人賞で受賞するための応募作品の書き方・戦略は、こちらの記事で詳しく説明しています。
出版関係者から書籍化の申し出を受ける
趣味で執筆している小説に多くの読者ファンが付き、出版関係者の目に留まれば、小説の書籍化を申し出られます。
小説投稿サイト『小説家になろう』から多くの投稿者が作家デビューしたことから、この方法は有名になりました。
- 魔法科高校の劣等生(著者:佐島勤)
- この素晴らしい世界に祝福を!(著者:暁なつめ)
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているのだろうか(著者:大森藤ノ)
- Re: ゼロから始める異世界生活(著者:長月達平)
- オーバーロード(著者:丸山くがね)
- ログ・ホライズン(著者:橙乃ままれ)
- 転生したらスライムだった件(著者:伏瀬)
また、同人誌としてコミックマーケットなどで販売していた作品が評価され、出版社から書籍化(というよりマルチメディア化)されることもあります。
- 空の境界(著者:奈須きのこ)
- ひぐらしのなく頃に(著者:竜騎士 07 )
出版社に小説原稿を持ち込む
出版社へ小説原稿を持ち込む場合は、出版の費用負担によって、2つに大別できます。
1つは、商業出版(企画出版)と呼ばれる場合で、小説の出版に関する費用を出版社側が負担してくれます。
ただし、商業出版している出版社は、基本的に新人賞で受賞した作品を商業出版しています。小説原稿を持ち込もうとしても「新人賞へ応募してください」と断ってくることが大半です。
ただし、持ち込みを商業出版してくれる出版社は、少なからずあります(郵送やメール受付が一般的です)。
もう1つは、自費出版です。文字通り、自分が費用を払って、書籍化の作業を出版社に依頼する方法です。
自費出版なので、書籍化は簡単ですが、売れなかった場合の金銭的リスクが伴います。
しかし、自費出版から有名になった例もあるので、よほど自分の作品に自信があるのなら、挑戦してみる価値はあるでしょう。
- リアル鬼こっご(著者:山田悠介)
- B 型自分の説明書(著者: Jamais Jamais )
- 納棺夫日記(映画【おくりびと】の原作 著者:青木新門)
- 佐賀のがばいばあちゃん(著者:島田洋七)
小説・ラノベ専門学校の講師から紹介してもらう
あまり一般的ではありませんが、いわゆる小説専門学校の講師から仕事を紹介されて、そこから商業デビューする方法です。
これについては確実性に欠けるので、参考程度に。
電子書籍で自己出版する
Kindle を始めとする電子書籍売買の環境が整ったこともあり、電子書籍の自己出版も有効な方法となりました。
電子書籍を作成・販売できるサイトは、 Kindle 以外にも、パブーや DLmarket が有名ですね。
小説家・ラノベ作家になることに関する Q&A
小説家になるには、文系の大学に通うべき?
行く必要は無いです。
個人的には、何百万と払って大学に通うくらいなら、世界一周旅行の資金にでも使った方が、よほど賢いお金の使い方だと思います。
勉強自体が目的なら、そもそも学校に行く必要すらありません。市販の教材でも充分に学べます。分からないことがあれば、必要に応じてインターネット検索するだけで、大抵の疑問は解決します。
大学では、さまざまな科目の単位を取ることが求められます。小説化デビューに必要な自由時間が減ってしまうので、むしろ足かせになりかねません。
大学生の学園生活を知りたいなら、その辺の大学に堂々と入ってください。単なる見学目的なら、とやかく注意されません。自然に歩いていれば、学生や職員からは、来客と思い込まれます。
学生食堂についても、堂々と入って問題ありません。学生食堂を利用する社会人もいますから、誰も不振がりません。もちろん、周りは学生ばかりなので、年齢が 30 歳以上だと浮きますが、誰も気にしません。
大学の講義については、厳密には駄目なことですが、普通に講義室に入って講義を覗いても良いです。
講義室には何十人、何百人という学生がいますから、部外者が入ったところで誰も気づきません。講義の途中でトイレ退室する学生もいますし、出席確認を済ませたらサボり目的で退室する学生もいます。講義室の出入り自体は、そこまで目立ちません。
多くの教授は、そこまで熱心に講義していません(真面目に勉強する学生が少なすぎるので)。適当に教科書の内容を読み上げ、板書するだけです。途中で入退室する人に注意は払いません(途中の入退室など、日常茶飯事です)。
ただし、講義室まで入りたいなら、以下の条件を守ってください。
- 服装は私服にすること。たとえ就活の時期でも、スーツ姿で講義に出席しようとする大学生はいません(私は1度も見たことがありません)。
- 学生が何百人と入れる大講義室(階段教室)の講義を狙うこと。小さい講義室の場合、教授が受講生の顔を憶えていること多いので。
- 講義室に入る時は、後ろから入ること(大抵、廊下から遠い方が後ろの入り口です)。講義の真っ最中に前の入り口から入室すると、とても目立ちます。
- きちんと席に座ること。立って講義を見ていると、教授が不審がります。出来れば、机の上に筆記用具とノートブックを広げて、さも講義を勉強している風を装いましょう。
小説家になるには、プロ作家養成の専門学校に通うべき?
行かないよりマシでしょうけれど、自己学習できる人なら、わざわざ大金を払って通う必要はありません。
大学の話と同様、日本各地や世界の旅行資金に使って、視野と価値観を広げた方が賢いと思います。
小説作法や物語構成のノウハウは、書籍として大量に出回っています。
インターネット検索するだけでも、書籍並みの有力情報が無料で手に入ります(私も創作関係の記事を公開していますし)。
実践練習は、小説投稿サイトを使うだけで事足ります。
多くの小説投稿サイトには、訪問者分析機能が搭載されています。
小説の出来の良さは、 PV 数もブックマーク数として、明確な数字で把握できます。面白い小説を書けば数字は増えますし、つまらない小説を書いたら数字は伸びません。
小説家になるには、何冊くらい本を読めばいい?
目安はありません。
読んだ方が良いと思える本があったら、好きなだけ読んでください。
本に限らず、映画のような映像媒体の作品も、好きなだけ見てください。
『どれだけ努力すれば良いか』という考えは、単なる甘えです。面倒な作業を省こうという怠け心です。
本気で何かを成そうと考えている人は、努力量なんて気にしません。余暇と余力があれば、ひたすら努力します。しかも、本人は努力と意識していません。朝起きたら顔を洗うように、単なる習慣です。
小説家は、自営業です。己の食い扶持は、己の力で確保します。
会社のように『物事を教えてもらっておきながら、給料までもらえる』という新人研修制度はありませんし、困ったことがあっても先輩社員は助けてくれません。
能力の低さは、すべて収入に反映されます。無能は収入ゼロです。
努力を怠った自営業者に未来はありません。
小説家になるには、年齢制限はある?
小説家に年齢制限はありません。
若くして作家デビューする人は、目立ちます。
しかし、実際のところ、年齢を重ねて多様な人生経験を積んでいる人の方が有利です。
小説家になるには、社会人の方が有利? 大学生や専業主婦のような無職でも大丈夫?
大学生や専業主婦でも、小説家になります。必ずしも、社会人の方が有利とは限りません。
大学生や専業主婦は、社会人よりも『自由時間を確保しやすい』という著書があります。長編小説を書き上げるとなれば、執筆に使う時間は当然ながら、創作資料を調べるための時間も必要になります。それに対して、社会人は、本業に時間を取られがちです。この点では、社会人は不利と言えます。
ただし、小説執筆に必要となる『広範な知識と人生経験』は、社会人の方が有利です。社会人は、多くの業務に取り組み、会社の内部・外部の人々と交流する必要があります。その過程で、さまざま知識と人生経験を得られます。この点では、閉鎖環境で生活する大学生や専業主婦は、不利と言えます。
小説家になるには、語彙力は必要?
たくさんの語を知っていることは有利ですが、実際のところ、ほどほどに語を知っていれば充分です。
日常で使われやすい語は限られていますし、話し言葉(口語)に見られない文章独特の語(文語)は、一般の読者が読めないことも多々あります。
ある程度の数の文語を知っていれば、大衆小説(娯楽小説)を書くに困りません。
語彙増やしよりも、分かりやすい文章描写を書ける能力の方が大事になります。
小説家になるには、文章が下手でも大丈夫?
一般人が無理なく読める文章であれば、小説家になれます。
ただし、小説を読みなれている読者が見たら「うわっ、なんだこの稚拙な文章。作者、小学生かよ」と思われて、読み進めることを放棄されます。
読んでいてストレスを感じる小説なんて、誰も読みたくありません。
小説家になる以外で『文章を書いて稼ぐ方法』とは
『文章を書くことは好きだが、物語を作ることは苦手』という人であれば、ブロガーや委託ライターをオススメします。
ブロガーは、特定の人々に役立つ記事を書いたり、大衆が興味を示す面白いネタ記事を書いたりする職業です。
記事の中で商品紹介したり、広告を貼り付けたりすることで、広告主から紹介報酬を稼いで生活しています。
委託ライターは、特定の情報をまとめた記事が欲しい人(まとめサイトの運営者など)から依頼を受けて、条件に合った記事を書いて納品する職業です。
基本的に1文字単位で報酬計算されるので、文章を書くことが好きな人は取り組みやすいです(当たり前ですが、要らない文章を水増ししたら怒られます)。
記事執筆の求人は、ランサーズやクラウドワークスのような『フリーランス向けの求人サイト』に掲載されています。
記事納品の実績の少ない内は、安い文字単価の仕事ばかり こなしていくことになるので、その点は覚悟しましょう。
あなたは、なぜ小説家・ラノベ作家になりたいの?
ライトノベルの台頭に始まり、小説家になろうからの書籍化 & アニメ化によって、小説家(ラノベ作家)を目指そうとする若い人が増えています。
純粋に小説家を目指したいなら構いませんが、どうも『一発当てて、書籍化で印税をガッポガッポ』や『アニメ化で一躍有名人、人生逆転』という発想の人が多いように思えます。
お金を稼ぐこと自体は否定しませんが(私はお金稼ぎが大好きですから)、純粋に小説執筆が好きな1人として「なんか違くね?」という違和を感じます。
人間関係を気にせず、自分の好きなように時間を決められ、しかも自宅で働ける・・・・・・そんな職業の1つとして小説家(ラノベ作家)に目を付けたなら、他にも働き方なんて、いくらでもありますよ。
私は、その具体例です。
私は小説家を志しましたが、いったん文筆活動を止めて、いわゆるネットビジネスの勉強に切り替えました。
ネットビジネスは、パソコンを使って『効率よく稼ぐ仕組み』を作れる特徴があります。いったん『稼ぐ仕組み』を作れば、それ以降は自動的に収入が生まれます。
私はネットビジネスで『稼ぐ仕組み』を先に作って、そこから生まれる生活資金と自由時間を活用して、自由に小説執筆を楽しんだ方が良いと判断しました。
作家特有の『生活の不安定さ』を補えます。出版社の言いなりになって、加えたくない お色気場面や萌え要素を物語に盛り込む必要もありません。
自分の好きなように物語を作って、純粋に小説執筆を楽しめます。
取材旅行にでも行きたければ、ポイントサイトでマイルを手に入れて、飛行機に無料で搭乗できるようにもなります。
新時代の作家【 ノマドクリエイター 】の生き方です。
今後の小説家・ラノベ作家に求められる生き方とは
今後の小説界隈の動きとして、広告収入還元や投げ銭の仕組みが実装された小説投稿サイトが一般的になってきます。
投稿作品の全てが無料で見られるなら、読者にとって得です。作者は、自分が書いた作品(たとえ未完結でも)から直接的に報酬が発生するので得です。
出版社のように『1話無料、2話以降は有料』というビジネスモデルを使わないので、無断転載で広告収入を得ようと考える個人業者も消えます。
(まあ、漫画と違って、小説は転載しづらい媒体ですが)
投げ銭の仕組みが浸透すれば『どんな短編を書いて欲しいか読者にアンケートを取って、最も投げ銭額の多い短編内容を投稿する』という方式で、多額の投げ銭収益を稼ぐ投稿者が出てくるようにもなります。
投げ銭は YouTube のスーパーチャットが有名ですが、投稿主に還元される額は7割だそうです。小説投稿サイトの投げ銭についても、還元率は7割前後になると見込まれます。
いずれにせよ、今後は『新人賞に受賞して、出版社に書籍を出版してもらい、印税を稼ぐ』から『小説投稿サイトに作品を投稿して、広告収益や投げ銭によって稼ぐ』という方法が主流になります。
そうなると『いかに知名度を上げるか』や『いかにブログ・ SNS から集客するか』という Web マーケティングの知識・発想が重要になります。
時代は、どんどん『個人で稼ぐ能力の持ち主』が有利な状況に変わっていきます。
この流れは、変えられません。