小説・ラノベの主人公設定の作り方|読者が好む主人公の4つの型とは

騎士

 

どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ(@shohei_creator)です。

 

小説・ラノベを書く上で、主人公の存在って重要ですよね。

主人公に人間的な魅力があれば、それだけで物語にも魅力が生まれます。他の登場人物も活き活きと動き出して、主人公と共に活躍してくれます。

また、主人公の性格によって、物語の展開する方向性が決まります。主人公の性格設定を誤ってしまうと、思ったように主人公が動かなくなります。無理やり動かしたら、物語の展開に違和が生まれてしまいますよね。

 

今回の記事では、小説・ラノベの主人公の作り方について説明します。

 

はじめに、主人公の意味を定義します。

記事の前半では、物語において、主人公がどんな機能を果たすのか、主人公の条件とは何かについて解説します。

記事の後半では、主人公と読者の関係性に触れた後、主人公の4つの型と具体例を紹介します。最後に、主人公の設定を考える時の手順を伝えます。

 

 

なお、キャラクター作り全般に関する考え方は、小説・ラノベのキャラクター設定の作り方にて詳しく説明しています。

あわせて、こちらの記事も ご覧ください。

小説・ラノベのキャラクターの作り方|キャラ設定シート&アプリも紹介

2018.10.16

 

 

また、新しく提唱された女主人公のアーキタイプ『ヴァージン』の解説記事も用意しています。

女主人公を作りたい場合は、アーキタイプ『ヴァージン』を知っておくと役立つでしょう。

新アーキタイプのヴァージンとは|小説・ラノベの女主人公の設定論

2019.01.01

 

 

目次

主人公の定義とは

 

広義の主人公は、物語が展開していく時に、中心となって活躍する人物を指します。

 

ただし、物語における主人公の定義は、厳密には違います。

物語では『最も多く描写される人物が主人公』という暗黙の了解があります。事件解決のために大活躍している超人がいても、主に描写されている人物が別にいるなら、その超人は脇役です。

 

作者が最も描写したい人物こそ、物語における主人公です。

描写

 

 

 

小説・ラノベの主人公の機能

 

物語の作者にとって、主人公は、いくつかの機能を果たしています。

主人公が果たす機能
  • 語り手・代弁者
    • 己の五感・思考・感情\を通して、読者へ物語の内容を伝える。
  • 問題の解決者
    • 物語において問題が発生した時に、問題解決に向けて、積極的に行動する。通常は、問題解決に努力する『強い動機』を持っている。
  • テーマの実行者
    • 作者が物語に込めたテーマを紐解く。作者が『自己犠牲』をテーマに掲げたなら、身を挺した人命救助など、主人公は自己犠牲を体現する行動を起こす。
  • 読者の自己投影・感情移入の対象
    • 読者の共感と尊敬を集められる主人公は、読者から自己投影・感情移入される。主人公は読者の分身となり、体験と感情を分かち合う。
  • 読者にカタルシスをもたらす者
    • 物語における主人公の体験は、読者にとっての擬似体験となる。主人公が素敵な異性と恋を楽しめば、それを読者は擬似体験する。読者が現実世界で『素敵な異性と恋に落ちたい』と望んでいたなら、その願いは擬似的に叶えられて、読者は願望成就の快感を味わう。

 

 

 

小説・ラノベの主人公の条件

 

主人公となるキャラクターには、必ず守るべき条件があります。

 

これから紹介する『主人公の条件』を守ると、読者から好かれる主人公になります。

主人公の条件
  • 平凡ではない
  • 『強い動機』と『正当な目的』を持っている
  • 読者が共感しやすい
  • 読者の願望を叶える
  • 目の前で困っている他者を助ける
  • 悪事を働くなら、大義のために

 

 

平凡ではない

 

主人公となるキャラクターは、平凡ではありません。大なり小なり一般人と異なる特徴を持っています。

 

外見で分かりやすい特徴なら、優れた身体能力超能力です。木から木へヒョイヒョイと飛び移ったり、手を触れずに物を動かしたりなど。

筋肉

 

 

特定の状況で分かりやすい特徴なら、特殊な才能です。難しい楽器を自由自在に演奏できる、コンピューターのような速度で暗算できる、動物と話せるなど。

天才

 

 

しかし、平凡な能力・才能しか持たない人物でも、主人公になる場合があります。

 

たとえば、特定のことに対して、強烈な関心を持っている場合です。いわゆるマニアですね。

知識や経験が専門家の領域に達しているなら、特定の場面では、主人公と呼ぶに値する大活躍を見せてくれます。

研究

 

 

別の例なら、高い行動力(強い意志と忍耐力)を持っている場合です。

平凡な人は、何か問題に直面した時、逃走を選びます。誰かが問題を解決してくれることを期待して、なるべく努力や苦労をしない道を選ぼうとします。

それに対して、行動力が高い人は、自ら問題解決に挑みます。困難があると分かっても、強い意志で臨みます。一筋縄でいかなくても、持ち前の忍耐力を発揮して、長い期間を耐え抜けます。

崖登り

 

 

主人公は、物語を展開させる中心人物です。物語を動かすには、主人公が何かしら優れた能力を持っているか、もしくは行動力に優れている必要があります。

 

平凡な人は、主人公に成り得ません。問題から逃げ出します。優れた能力や才能を持っていないなら、なおさらです、

 

 

 

『強い動機』と『正当な願望』を持っている

 

人が行動を起こす時は、何かしら動機を持っています。時間と労力を使って行動するわけですから、それに見合うだけの『何か』を手に入れるつもりが無ければ不自然ですよね。

 

とりわけ、主人公は『強い動機』を持っています。

主人公が行動を起こす時は、必ず困難が立ちはだかります。1つ乗り越えても、第2、第3の困難が立ち現れます。物語が面白くなるためには、主人公が必死に困難を乗り越えようとする描写が大切だからです。

いくたの困難を乗り越えてでも行動するわけですから、それ相応の『強い動機』を持っている必要があります。並みの動機では不充分です。

やる気 意志 信念

 

 

また、動機の先にある願望は、正当なものであることも重要です。

主人公は、読者の隣人であり分身です。その主人公が悪辣な願望のために行動していたら、読者は主人公を嫌いになります。感情移入はもちろん、自己投影したくありません。

お金が欲しい、異性にモテたい、権力を手に入れたい、功績を立てたい、働かずに暮らしたい……こういった願望は、正当の範囲内です。人間なら、誰しも抱くような願望だからです。

 

 

悪辣な願望とは、拷問したい、生き血を飲みたい、嬲り殺したい、解剖したい、強姦したい、建物を燃やしたい……こういった願望です。精神異常者が考えそうなことですね。

包丁を隠し持つ男性

 

 

 

読者が共感しやすい

 

読者が物語を楽しむためには、主人公に共感できることが重要です。

 

主人公は、読者が最も感情移入するキャラクターであり、自己投影の対象です。

読者が主人公に共感できる要素が多ければ多いほど、感情移入が進みます。もちろん、自己投影の度合いも強くなります。主人公が活躍すればするほど、読者は物語に熱中できます。

読者が主人公に共感できなかったら、主人公の体験は、完全な他人ごとになります。主人公が窮地に陥っていても、読者は何も感じません。対岸の火事です。物語を楽しめません。

 

読者が主人公に共感しやすくなるためには、まずは主人公の性別を同じにして、年齢を同程度に設定します。さらに、読者と似たような悩み、欠点を持たせます。他にも、生い立ちや人生経験についても、想定読者に寄せていきましょう。

履歴書

 

 

 

読者の願望を叶える

 

読者が物語に触れる理由は、キャラクター(特に主人公)を通して、自分の願望を擬似的に叶えるためです。

読者が現実世界に『多くの人の役に立ってチヤホヤされたい』と望んでいるなら、有能なキャラクターの大活躍&取り巻きキャラクターからの賞賛を擬似体験します。この時に、願望成就の快感を味わえます。

 

主人公は、読者が最も感情移入するキャラクターであり、自己投影の対象です。だからこそ、主人公には、読者の願望を叶えるような活躍が求められます。

拍手

 

 

 

目の前で困っている他者を助ける

 

読者が主人公に親しみを抱くためには、主人公が善人であることが必須です。

 

たとえば、主人公の目の前に、困っている人物が現れたとしましょう。

この時、主人公は『うわぁ……。なんか困っているみたいだけど、関わると面倒そうだな』と思って、その場から逃げようとします。

……こんな主人公、嫌ですよね? 面倒事を避けようとする考えは、人間臭さを感じますが、肯定できるものではありません。読者は、主人公のことが嫌いになるでしょう。

たとえ最初は面倒を避けようとして立ち去っても、なんだかんだ戻ってきて、困っている人を助けようとする。主人公は、そんな人であって欲しいものです。

手を差し出す

 

 

善人と言っても、聖人君子である必要はありません。世界の反対にいる人も助けたいなど、壮大な慈悲の心を持たせなくて大乗です。

……と言うか、その域の善人だったら、逆に近寄りがたくなってしまいます。

 

 

 

悪事を働くなら、大義のために

 

主人公は善人であることが重要です。

しかし、場合によっては、悪事を働いても大丈夫です。むしろ、悪事を働くことで、主人公に魅力を持たせることも可能です。

 

主人公が悪事を働く時は、根底に大義が存在する必要があります。

大義が目的であり、悪事は手段というわけですね。

 

日本なら、石川五右衛門が該当するでしょう。不当に富を集めた権力者の邸宅に忍び込み、盗んだ金を市内にバラ撒いて、大衆へ返還する。

やっていることは窃盗ですが、悪に裁きを与えて、しかも大衆の利益となっています。

石川五右衛門

 

 

『法では裁けない陰の悪人』を狙う暗殺者も、読者から好かれます。上条明峰氏の漫画【CØDE:BREAKER】は、まさにそれです。

主人公の大神は『全てを燃やし散らす青い炎』の異能を駆使して、上層部の命令の下に、次々と陰の悪人を葬り去っていきます。

 

 

 

小説・ラノベ読者と主人公の関係性

 

読者にとって、主人公はカタルシスの源泉であり、現実で満たされない願望を擬似的に叶えるための手段です。

より読者の願望を叶えられる設定を持った主人公は、多くの読者から人気を博すわけです。ひいては、作品の知名度の向上・売り上げの増加となります。

 

読者に より多くの、より強烈なカタルシスを与えるためには、まずは『人間が持つ欲求』について理解しておく必要があります。

三大欲求説・欲求五段階説・八大欲求説など、人間の欲求について、著名な心理学者が体系化された説を唱えています。その中から、主人公の設定作りに役立つ欲求を紹介しましょう。

主人公の設定作りに活かせる人間の欲求
  • 性的に交わりたい
  • 快適に暮らしたい
  • 集団に所属したい
  • 愛する人を気遣い、守りたい
  • 社会から認められたい
  • 自己優越感が欲しい

 

 

人間の欲求:性的に交わりたい

 

魅力的な異性と性的に交わりたいという欲求ですね。

 

主人公は、ほぼ間違いなく、作中で異性から好かれます。男主人公なら、美少女から好かれます。女主人公なら、美男子から好かれます。

主人公のことを好きになる異性は、1人とは限りません。たいていは、3~5人の異性から好意を寄せられることになります。いわゆるハーレム展開です。

青年向けの物語であれば、主人公は、いずれ特定の異性と番いになって、性的に交わる場面も描かれます。

 

主人公が多くの異性から好かれる理由は、読者が『魅力的な異性から好かれたい。可能なら、多くの異性から……』という願望を抱いているからです。

だから、主人公がハーレム展開になる物語は、読者から好まれます。

男性を取りあう2人の女性

 

 

 

人間の欲求:快適に暮らしたい

 

『快適に暮らしたい』という欲求は、本来の意味であれば、欲しい物が好きなように買えるお金が欲しい・生活設備の整った家に住みたい・豊富な食料を備蓄しておきたい……というものです。

しかし、現代の日本では、快適な生活環境は維持されています。きちんと働いてさえいれば、生活するに困りません。衣食住は確保できています。

 

物語づくりにおける『快適に暮らしたい欲求』とは、ノンストレスでありたいというものです。

たとえば、都会の喧騒から逃れて、のんびりと田舎生活したい。会社の人間関係を切り放して、個人的に接したい相手だけと関わりたい。やりたくない仕事ではなく、自分の得意を活かして稼ぎたい。買いたい時に買いたい物が手に入るほど、たくさんの金銭が欲しい。大人の責任から解放されていた、懐かしき子供時代に帰りたい。癒しに満ちた、優しい少年・少女と一緒にいたい……など。

 

 

ここ数年、まんがタイムきららの作品の多くがアニメ化されてきました。登場人物は、基本的に未成年の少女ばかり。主要キャラクターが成人であっても、みな20代の若々しい女性です。物語の展開については、何気ない日常譚ばかり。ドロドロした人間関係の問題など、これといって起きません。作品全体から、癒しの雰囲気が漂っています。

こういった癒し作品が人気を集めている理由は、『夢も希望も無く、生活費を稼ぐための仕事に忙殺されるストレス』を抱えている成人が急増しているからでしょう。

 

読者に癒しをもたらせるような主人公周りの設定例は、次の通りです。

読者に癒しをもたらす主人公周りの設定例
  • 主人公は、自分の得意なこと・やりたいことを活かして、大金を稼ぐ術を身に付けている。雇われではなく、あくまでも個人事業主。
  • 主人公は一人暮らし。誰かと同居する場合は、年下の弟か妹。もしくは、庇護欲をそそる幼いキャラクターを居候させる。親は死別しているか、もしくは何かしらの事情により別居状態にする。
  • 教師・上司など、主人公の行動に口出しする人物を滅多に登場させない。たとえば、学校には通っていない、会社には通勤していないなど。
  • 主人公を王族などの貴種にするか、もしくは特定地域の最高位に押し上げてしまう。たとえば、社長・頭首・領主など。主人公を『他者を支持する側の人間』にする。
  • 主人公の近しい存在に、癒しをもたらすキャラクターを配置する。
    • 男主人公であれば、甘えん坊の妹や幼馴染を設置。甲斐甲斐しく世話をしてくれる性格でも可。母性に溢れた少し年上の女性キャラクターを登場させてもよい。
    • 女主人公であれば、甘えん坊の弟、もしくは頼り甲斐があって世話好きの兄を設置。頼り甲斐があり、女主人公を守ってくれる男性キャラクターを登場させてもよい。

 

 

 

人間の欲求:集団に所属したい

 

日本人であれば、よほど変わった生き方を選んでいない限りは、何かしら集団に所属することになります。学生であれば、学校のクラスに所属しています。会社員であれば、会社内の部課に所属しています。

けれど、心からその集団に属したいかどうかは、また別の問題です。また、本当は集団に所属したくても、コミュニケーション能力の不足で孤立(ひとりぼっち)になっている人も存在します。

 

物語において、読者の集団帰属欲求を満たす方法は、主人公が同年代の気の合う仲間と遊ぶことです。強制でも営利目的でもない、純粋な遊びの集まりです。

 

若者向けの小説では、ボッチ系の主人公が人気を博しています。アニメ化された作品なら、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』や『僕は友達が少ない』ですね。

両作品とも、とある事情により、主人公がクラス内で浮いています。嫌われている節すらあるので、孤立しているとも言えますね。そんな主人公ですが、第3者の勧誘ないし強制により、特定の場所(主に部室)に放り込まれて、他の仲間と交流せざるを得ない状況に置かれます。主人公は渋々ながら仲間と交流しますが、次第に心から交流が楽しくなっていき、その場所が自分の居場所になっていきます。

コワーキングスペース

 

 

 

社会から認められたい

 

何かしらの集団に所属している人間は、『自分の有能さ』や『自分の存在価値』を認められることを望みます。いわゆる社会承認欲求です。

 

物語において、読者の社会承認欲求を満たす方法は、主人公を大活躍させて、周囲にいる人物に褒め称えさせることです。

 

たとえば、仲間の窮地に駆け付けて、絶体絶命の状況から救う。あまりにも強すぎる能力を披露して、取り巻きを唖然とさせる。主人公の活躍によって、どんどん異性に惚れさせる。主人公の信者を登場させる。村や街に襲撃して来た敵を退けて、地域住民から感謝される。主人公が現れるだけで、敵が恐れおののく。魔王討伐などの偉大な功績に対して、高位の存在(国王や領主など)から表彰させる……など。

 

昨今のライトノベルでは、何かしらのキッカケ(神の祝福など)によって、規格外の能力を手にした主人公が無双劇を繰り広げる設定が好まれています。この手の最強無双系主人公は、読者が望んでいる社会承認欲求を効率よく満たしてくれるからですね。

騎士
余談

人間が何かを手に入れようとする時は、なるべく時間・努力・お金を掛けない方法を選びます。商品宣伝で『たった30分』や『努力不要』や『無料』というキーワードが使われる理由は、このためです。

最強無双系主人公の場合は、もともと平凡だった主人公が幸運に恵まれて、絶大な能力を手にする設定が多いです。時間をかけず、努力もせず、対価も払わず、お手軽に『価値ある物』を手に入れているわけです。

読者が『神様から能力をもらう』や『転生時の特別ボーナスを引き当てる』という主人公の設定を好む理由の1つは、楽して価値ある物が手に入る筋書きに惹かれるからでしょう。

 

 

 

人間の欲求:自己優越感が欲しい

 

自己優越感とは、文字通り『自分は他の人よりも優れているんだ!』という実感です。

自己優越の欲求は、社会承認の欲求と似ています。けれど、承認元が違います。

社会承認が『外部からの承認』であるなら、自己優越は『自己からの承認』です。優れている自覚さえあれば、自己優越の欲求は満たされます。

 

物語において、読者の自己優越欲求を満たす方法は、主人公を特別な存在に仕立て上げることです。

 

たとえば、主人公を王族や神の系譜にするなど、尊い生まれにする。容姿端麗にする。神に愛されている証が肉体に刻まれている。世界で稀な能力を扱える。人間を超越した身体能力を有している。無意識の大海(アカシック・レコードなど)から任意に情報を引き出せる……など。

 

何かしらの能力が優れていることに加えて、稀少性が高いという点が重要です。

世界にたった1人だけとなれば、それだけで主人公の存在は特別になります。主人公が「ああ、自分は特別なんだな」と自覚できます。

「己は他者と比べるまでもなく特別なんだ。他人が誰も持っていない物を持っているんだ」と感じられた時に、自己優越感は満たされます。

 

 

 

小説・ラノベの主人公の型

 

主人公は、4つの型に分けられます。

主人公の型
  • 英雄
  • 一般人
  • 負け犬
  • 罪深き者

 

 

英雄型の主人公

 

英雄型の主人公は、読者に尊敬の念を抱かせる『憧れの存在』です。完璧超人とは限りませんが、優れた能力の持ち主です。また、強い自信を持っているので、どんな困難にも果敢に挑戦します。

英雄のフィギア

 

 

英雄型の主人公のメリット・デメリット

 

英雄型の主人公のメリットは、なんと言っても、優れた能力を駆使した活躍です。これにより、読者は社会承認と自己優越のカタルシスを得られます。

 

超人型の主人公のデメリットは、読者が共感しづらいことです。

一般人の読者からしてみれば、英雄型の主人公は、規格外の能力の持ち主です。素手で岩を破壊したり、空を飛んだり、銃で撃たれても無傷という状態は、常人の身では体験できません。

また、英雄型の主人公は、常人の悩みを持っていません。お金など、稼ごうと思えば、何億円でも手軽に稼げます。頼んでもいないのにファンが出来るので、今さら賞賛されたいとも思いません。あちらこちらから助けを要請されるので、存在を必要とされることが鬱陶しいくらいです。

 

英雄型の主人公は、読者にとっての憧れの的になれます。

けれど、読者の良き隣人にはなれません。

 

 

 

一般人型の主人公

 

一般人型の主人公は、物語における『読者の分身』です。一般人の感性や悩みは、読者にとって共感しやすいものばかりです。

一般人型の主人公は、能力や才能は平均値ですが、強い意志と忍耐力の持ち主です。困難に直面したら、最初は逃げようとします。けれど、勇気を奮い起こして、問題解決に向けて奔走します。

走り出すサラリーマン

 

 

 

一般人型の主人公のメリット・デメリット

 

一般人型の主人公のメリットは、読者が共感しやすいことです。

主人公の生い立ちや人生経験、抱える悩みと願望は、読者と共通することが多いです。読者は「あ、この主人公は自分と同じだ」と思いやすく、共感と親近感を抱きます。

読者は、どんどん主人公に感情移入して、やがて主人公を分身のように思います。主人公が困難に直面したら共に泣き、主人公が勝利を掴んだら共に笑います。強烈なカタルシスを得られるわけです。

本を読んで感動する男性

 

 

一般人型の主人公のデメリットは、誰からも称賛されるほどの大活躍が出来ないことです。

主人公ですから、物語では何かしら活躍します。敵を倒し、他者を助け、時には異性から好意を寄せられます。けれど、あくまでも一般人の能力で可能な範囲内です。

武器の一振りだけで、数百体の雑魚的を吹き飛ばす……みたいな無双劇は実現できません。ゾンビ映画のように、敵がワラワラと現れても、1体ずつ地道に倒すしかありません。

ゾンビ

 

 

 

一般人型の主人公は、異質であれ

 

主人公の人物設定は、どこか独特で、訳ありな過去に基づく複雑さが重要になります。

現実と同じように、多くの人々は、ありふれた人物に興味を持ちません。どことなく風変わりで、深遠な謎を感じる人物にこそ、人々は興味を持ちます。

特定の事に対して強烈な関心を持っているとか、とある点で価値観が常人とズレているとか、とても大切にしていた何かを失ってしまったとか、過去に精神崩壊しかねないほどの苦痛を味わったとか……そういった設定を付けましょう。

黄昏る女性

 

 

 

負け犬型の主人公

 

負け犬型の主人公は、読者にとって『同情と慰めの対象』です。

主人公は能力が低いか、やたらと運が悪いか、もしくは臆病です。困難に直面したら、恐怖に挫けて、無様に逃げ出します。誰かが手助けしなければ、戻ってきません。

負け犬

 

 

 

負け犬型の主人公のメリット・デメリット

 

負け犬型の主人公のメリットは、人間の成長を描きやすいことです。

主人公の資質の乏しさ・身の上の不幸により、まずは読者の同情を得られます。読者は「可哀想だな。どうにかならないのかな」と想い、主人公を応援したくなるのです。

すると、主人公が困難に直面した際に、逃走せずに挑戦を選ぶと、読者は称賛してくれます。挑戦が上手くいくかどうかは、関係ありません。挑戦そのものを賞賛して、ますます応援してくれます。

主人公が苦闘の果てに勝利を掴んだならば、読者は心から祝福してくれます。そして、読者は人間として成長することの喜びというカタルシスを得られます。現状を打開するために挑戦する勇気を奮い起こされもするでしょう。

 

 

負け犬型の主人公のデメリットは、展開の初動が遅くなることです。

負け犬型の主人公の強みは、読者から同情を得やすいことです。この強みを活かすために、どれだけ主人公が不幸なのか、序盤で描写する必要があります。

仕事で失敗する、他人のせいで電車やバスに乗り遅れる、チンピラに襲われて財布を盗まれる……なんでもいいので、とにかく主人公を不幸な目に遭わせて、読者に不幸キャラであることを印象付けます。

すると、どうしても物語の展開が遅くなるわけです。何かしらの大きな問題、または人生好転の予兆を感じ取れなければ、読者は途中で脱落してしまいます。

序盤で主人公を不幸な目に遭わせつつ、いかに『この先に面白いことが起きる』と読者に感じさせる予兆を仕込むか。不幸な展開が長すぎても短すぎてもダメです。このバランスが大切です。

 

 

 

罪深き者型の主人公

 

罪深き者型の主人公は、いわゆるアンチヒーローです。

主人公は道徳的に問題があるか、もしくは大義のために、手段を選ばずに目的を達成します。主人公の周囲には、血と硝煙、人間の欲望が常に満ち溢れています。とにかく刺激的です。

後ろに拳銃を隠し持つ男性

 

 

 

罪深き者型の主人公のメリット・デメリット

 

罪深き者型の主人公のメリットは、反社会性に満ちた刺激溢れる展開にしやすいことです。

この手の主人公は、一般人に縁の無い犯罪や禁忌を見せてくれます。殴り合い、銃撃戦、麻薬取引、裏社会の実態など、とにかく刺激が満載です、

非日常的な刺激を求める読者にとって、とても魅力的でしょう。

シナプス

 

 

罪深き者型の主人公のデメリットは、主人公が罪を犯すことです。

型名の通り、主人公は罪深き者です。窃盗に殺人、器物損壊など、今までの犯罪行為は数えきれません。近寄りがたい印象を読者に与えてしまいます。

そこで、主人公が犯罪行為に走る時は、その根底に大義ないし悪なりの美学が必要になります。

 

大義に基づく犯罪行為の例を挙げましょう。

たとえば、権力者が不当に集めた金銭を奪い取り、市街地でバラまいてしまう。権力を笠に着て、陰で悪事を働いている権力者のみを狙って、殺人を犯す。大企業または公的機関のデータベースにハッキングを掛けて、不正行為の証拠を掴み取り、インターネット上で暴露する。

共通点は、悪事を働いた人物に制裁を加えると同時に、それが大衆の利益になっていることですね。

 

 

次に、悪の美学に基づく犯罪行為の例を挙げましょう。

たとえば、利害関係の無い一般人には迷惑を掛けないようにする。敵であっても、女・子供だけは殺さずに見逃してやる。自分が悪人であるとハッキリと認めるが、悪びれた様子を一切見せない。際限なく彼女や愛人を作り続けるが、遊びであることを公言している。自分に牙を向いた相手には、財産から臓器に至るまで、何もかもを奪い尽くして報復する。

共通点は、善悪の区別を明確につけていたり、とことん悪を貫いていたりすることです。

悪党には、悪なりの美学が必要です。中途半端な悪党は、読者から『クソ野郎』の烙印を押されます。突き抜けた悪党は、いっそ清々しいとすら思わせてくれます。近寄りがたくありますが、なぜか好感を持てるのです。

Photo by Thinkstock/Getty Images.

 

 

 

主人公の具体例

 

先ほど紹介した4つの主人公の型について、具体例になりそうな作品名と主人公を紹介します。

アニメ化された作品など、なるべく有名な作品から主人公を選びました。

 

 

英雄型の主人公の具体例

 

こちらは、英雄型の主人公が登場する作品の具体例です。

英雄型の主人公の具体例
  • 司波達也(作品名:魔法科高校の劣等生)
    • 物体を分解・再成する魔法が使える。分解の魔法を使えば、どれだけ巨大な物体でも消滅できるし、人間なら瞬殺できる。遠く離れた水滴に分解の魔法を使い、質量をエネルギーに変換することで、核爆発を起こしたことも。自分が致命傷を負った際は、再成魔法が自動発動して、負傷前の状態(無傷)に復元する。忍術使いに師事しており、徒手空拳だけでも軍人を圧倒できる。
  • レイフォン・アルセイフ(作品名:鋼殻のレギオス)
    • 10歳の頃に天剣授受者(最高峰の武芸者に与えられる称号)の1人に認められるほど、戦闘能力に秀でている。汚染獣と呼ばれる巨体の化け物を単騎で殲滅可能。主な舞台となる学園都市ツェルニでは、レイフォンに勝てる者は皆無。レイフォンが手加減しても、相手にならない。
  • 平賀才人(作品名:ゼロの使い魔)
    • 虚無の魔法を使えるヒロインのルイズによって、異世界に召喚された一般人。戦闘経験など一切無かったが、虚無の使い手に召喚されたことにより、守護者としての力(ガンダールヴ)に目覚める。ガンダールヴとしての固有能力により、あらゆる武器・兵器を使いこなせる。作中では、喋る剣『デルフリンガー』を愛用して、ルイズの前に立ちはだかる敵と戦う。
  •  サトゥー(作品名:デスマーチからはじまる異世界狂想曲)
    • 物語の当初は、ゲーム制作の締切に追われるプログラマー。仕事の仮眠を取ったことをキッカケにして、なぜか制作中のゲームの世界で目覚める。目覚めた場所は、高レベルの蜥蜴人や竜がひしめく『竜の谷』であり、絶体絶命の窮地に置かれていた。しかし、大魔法『流星雨』を3回まで使える初心者救済措置を利用することで、周囲一帯の魔物を全滅させる。その結果、レベルは310まで上がり、さらに莫大な金銭と強力な装備、その他の特典を手にする。

 

 

 

一般人型の主人公の具体例

 

こちらは、一般人型の主人公が登場する作品の具体例です。

人より優れた特殊能力を持っていても、はじめは常人の域に留まっている主人公の場合は、こちらに分類します、

一般人型の主人公の具体例
  • 坂井悠二(作品名:灼眼のシャナ)
    • 第1巻の序盤でトーチ(存在の残りかす)になるが、運よく宝具の『零時迷子』が体内に転位して来たので、人外の存在『紅世の徒』との戦いで活躍できる。基本的には参謀役を務め、『紅世の徒』と戦うヒロインのシャナに助力する。『零時迷子』の能力により、毎日零時になるごとに、存在の力(この世に存在するために必要な力)が回復するので、トーチなのに自然消滅しない。物語が進むごとに、存在の力の総量が増えていったり、自在法(存在の力を使った魔術)を覚えていったりするので、自身で『紅世の徒』と戦うことも。物語の後半では、敵側の神である『祭礼の蛇』と利害が一致したことにより、ラスボスとしてシャナの前に立ちはだかる。
  • 桐ヶ谷和人(作品名:ソードアート・オンライン)
    • VRMMO『ソードアート・オンライン』にて、【ログアウト不可能&HPが尽きたら肉体も死ぬ】というデスゲームに約2年間も巻き込まれた少年。通称はキリト。身体能力は常人レベルであるが、反射神経が優れていた関係で、ユニークスキル『双剣』の使用者に選ばれる。『ソードアート・オンライン』の事件解決後も、さまざまなVRMMO関連の事件の解決に関与する。
  • 上条当麻(作品名:とある魔術の禁書目録)
    • 超能力や魔術に限定して、あらゆる力を無効化する右手『幻想殺し』を持つ少年。右手の能力以外は、どこにでもいる高校生。攻撃手段は、敵に近接してからの殴打のみ。超能力・魔術に依存した敵には無類の強さを誇るが、銃などの物理的な飛び道具を使われると、途端に無力と化す。『幻想殺し』の能力によって幸運(神の加護)も打ち消しているのか、やたらと不幸な事件に巻き込まれる。とは言え、人助けに動き続ける上条の性格のせいか、多くの人々(特に同年代の女子)に好かれている。

 

 

 

負け犬型の主人公の具体例

 

こちらは、負け犬型の主人公が登場する作品の具体例です。

負け犬型の主人公の具体例
  • 比企谷八幡(作品名:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。)
    • 高校2年生。ボッチ。目と性格が腐っていると言われている。MAXコーヒーを愛飲している。「人生は苦いから、コーヒーくらいは甘くていい……」は、知る人ぞ知る八幡の名言。これまで経験したトラウマの数々により、常に斜に構えて、物事を皮肉めいて考える癖が付いてしまっている。周囲から孤立していたので、人間観察する機会が多く、人の本質を見抜く能力が高い。将来の夢を『専業主婦』と書いたことにより、担任教師に関心を持たれ、奉仕部に叩き込まれる。奉仕部には、容姿端麗で成績優秀だがボッチの美少女・雪ノ下雪乃1人だけが入部していた。八幡は、奉仕部に持ち込まれる問題と雪乃の毒舌に悩みつつ、学園ラブコメを展開していく。
  • 羽瀬川小鷹(作品名:僕は友達が少ない)
    • 高校2年生の男子学生。日本人の父・イギリス人の母のハーフであり、髪の毛は黄土色に くすんだ金髪。地毛であるが、髪色のせいでヤンキーと誤解されており、学校には友達がいない。放課後の教室にて、空想の友達(エア友達)と会話していた三日月夜空と遭遇する。後日、夜空の計画に巻き込まれる形で、隣人部(校内の問題を解決するボランティア部)に入部する。隣人部には、のちのち柏崎星奈、楠幸村、志熊理科など、一癖も二癖もある少女が入部してくる。隣人部の部員は、部室でゲームで遊んでいることが多い。どちらかと言えば、ただのゲーム部。

 

 

 

罪深き者型の主人公の具体例

 

こちらは、罪深き者型の主人公が登場する作品の具体例です。

罪深き者型の主人公の具体例
  • 黒《ヘイ》(作品名:DARKER THAN BLACK)
    • ”組織”に雇われているエージェント。異能を扱う『契約者』を殺すことを生業にしている。戦闘時は、異能の電撃を駆使する。黒《ヘイ》の異能は、厳密には本人の能力ではなく、黒《ヘイ》の中で眠っている妹の『物質変換能力』の一部。任務遂行時は仮面を被り、通電性の高いワイヤーを扱う。『凡人の演技』が上手い。
  • 雨宮 蓮《アニメ名》(作品名:ペルソナ5)
    • ペルソナ5の主人公。怪盗。悪事を働いている人の心の中に入り込み、相手の『お宝』を盗み取ることで、改心させる。『お宝』を盗まれた相手は、己の犯した罪に耐えきれなくなり、公の場で罪を告白してしまう。主人公は、大衆の利益のために動いているので、義賊と言える。怪盗と言っても、現実の財宝を盗むようなことはしない(と言うか出来ない)。戦闘時は、心象世界特有の武器を扱う他、特殊な能力を持った化身『ペルソナ』を駆使する。
  • ルルーシュ(作品名:コードギアス 反逆のルルーシュ)
    • 容姿端麗、頭脳明晰な少年。もともとは神聖ブリタニア帝国の第11皇子・第17皇位継承者であるが、政治の策略に巻き込まれる。その際に、母親は凶弾に倒れる。幼きルルーシュは、妹ナナリーと共に、人質として日本に送り出された。時は流れ、物語の開幕時はアッシュフォード学園の生徒となっている。母国の神聖ブリタニア帝国の強い復讐心を抱いており、日本のテロリスト・扇グループに協力したことをキッカケにして、神聖ブリタニア帝国の転覆を目論むようになる。行動の動機は復讐ではあるが、実際のところは、ナナリーに政治的な害が及ばないよう、危険の芽を根絶するためである。ナナリーに対する愛情が強すぎるあまり、とある戦線にてナナリーが死亡したと勘違いした時は、軍団指揮を放棄するほどの狼狽を見せた。
  • 夜神月(作品名:DEATH NOTE)
    • 頭脳明晰な学生。父親が警察庁幹部であり、並々ならぬ正義感を抱いている。あまりにも知性が高かったため、物語開幕時の高校生活に退屈していた。ある日、高校から帰る途中でデスノートを拾う。顔を知っている相手の名前と死亡原因を書けば、その通りに対象が死ぬという力を持ったデスノート。月は、デスノートを使って指名手配犯を殺害していけば、やがて世界から犯罪が消えるという発想に至り、次々と指名手配犯を殺害する。やがて、大量殺人鬼(通称:キラ)の正体が月なのではないかと感付いた探偵L(エル)と対決するようになる。いかにLにバレないように、指名手配犯を殺していくか。さらには、Lの本名を知って、Lそのものを殺害するか。月とLは、お互いに罠を張り巡らせながら、高度な頭脳戦を展開する。

 

 

 

小説・ラノベの主人公を作る手順

 

最後に、主人公の設定を考える時のオススメ手順を紹介します。

 

『どうしても、この設定の主人公を使いたいんだ!』という こだわりがあるようでしたら、そちらを優先してください。

 

 

狙う読者層を決める

 

主人公を作る最初の手順は、小説・ラノベを提供する読者層を決めることです。

 

主人公は、読者に最もカタルシスをもたらしてくれるキャラクターです。その主人公が読者から感情移入・自己投影しづらいとなれば、読者が得られるカタルシスは激減します。

読者は、カタルシスを求めて、小説・ラノベを読もうとします。主人公に感情移入・自己投影しづらいと分かったら、読者は すぐに離脱します。30代以上の主人公を中高生が嫌う理由は、主人公に感情移入・自己投影しづらいからです。

 

主人公の性別や年齢は、狙う読者層の性別・年齢に合わせてください。これが基本です。

10代~20代の男性を読者層にするなら、主人公は男性で、年齢は10代後半~20代前半が好ましいです。同様に、10代~20代の女性を読者層にするなら、主人公は女性で、年齢は10代後半~20代前半が良いでしょう。

30代以降の読者層を狙うなら、主人公の年齢は、最低でも20代後半に設定しましょう。主人公の年齢は、読者層の年齢に寄せてください。

階段で本を読んでいる女性

 

補足

想定読者が主人公に感情移入・自己投影しやすいように、性別や年齢、趣味などを似せることは大切です。

ただし、10代の主人公が活躍する物語が好きな30代~40代も数多くいます。こういった読者を狙う場合には、わざわざ主人公を中年にする必要はありません。10代の主人公を使って、物語を構成してください。

商品としての物語づくりの本質は『読者が読みたがっている物語を提供する』ことです。ここを誤解しないでください。

 

 

 

狙うカタルシスを決める

 

狙う読者層を決めたなら、その読者たちが現実にどんな不満を抱いているか……言い換えれば、物語にどんなカタルシスを求めているかを推測しましょう。

 

何度も繰り返しますが、読者はカタルシスを求めて小説・ラノベを読もうとします。読者が『この主人公だと、自分が読みたい展開にならなそうだな』と思ったら、もうその時点で読むことを止めてしまいます。

 

たとえば、狙う読者層を10代の男性……とりわけゲームやアニメが好きで、学校では目立たない学生としましょう。

この場合は、主人公は10代の男子学生で、同様に学校で目立たないタイプに設定します。

 

次に、読者層が現実に対して抱いている不満を推測します。この手の男子学生なら、公に目立つことを避けつつも、誰かに認められる・必要とされることを望むでしょう。自分の隠れた価値に気付いて、好意を寄せてくれる女性の登場を願っているはずです。

それなら、主人公が陰で活躍するような性格設定を組みます。ついでに、異性との接触が起きるような活躍の場が用意しやすいように、舞台設定を調整しましょう

 

主人公の設定(具体例)
  • 主人公の性格
    • 派手なことをやってまで、周囲から注目を得たいとは思わない。体育会系が嫌い。集団で何か決める必要がある時は、基本的に発言せず、成り行きを見守っている。周囲と対立しないことを心掛けているが、どうしても必要に迫られた場合は、自分の意見を表明することを恐れない。表面上は冷淡な態度を装うが、困った人に助けを求められたら、なんだかんだ手を差しのべてしまう程度には情が深い。一定以上の親しみを覚えた相手には、とても義理堅くなる。勉強嫌いで成績は悪いが、頭の回転は早い。やれば出来るタイプだが、目立つことは嫌いなので、自分の功績を身近な誰かに譲る(他人を隠れ蓑に使う)。
  • 舞台設定
    • 家族以外とも関わる機会を設ける。舞台が学校なら、適当な理屈をつけて、強制的に部活に加入させる。問題解決の立場を押し付けるために、校内の問題を解決する部だと都合がいい。異性と関わる機会も作りたいので、同学年の女子学生も部活に加入させておく。主人公の活躍が表立たないようにしたいので、女子学生は頭脳明晰な優等生タイプだと好都合。

 

 

 

主人公に特異性を持たせる

 

一般人型や負け犬型の主人公を起用する場合は、他の人とは違う特異性を持たせる必要があります。どこにでもいる無個性な主人公なんて、人間としての魅力に欠けるからです。

能力でも知識でも価値観でも、なんでも構いません。特定のことについて、常人よりも頭抜けていることが重要です。

良い方向に限らず、悪い方向に特化していてもいいです。単なる料理ベタではなく、なぜか毒物が出来てしまうくらい料理ベタという設定なら、1つの個性になります。

 

どうしても平均的な主人公を起用したいなら、特異な道具を持たせましょう。

たとえば、映画【マスク】の主人公スタンリーは、冴えない銀行員です。不幸な目に遭うことが多く、とにかくパッとしない風采です。けれど、北欧神話の神であるロキの力が宿ったマスクを手にすることで、一気にキャラクターが起ちます。

マスクを被った後のキャラクターがぶっ飛んでいることも理由の1つですが、強力で稀少な道具を持っていることは、それだけで持ち主に特異性をもたらしてくれます。

Kobal/NEWLINE/DARKHORSE/TheKobalCollection/WireImage.com

 

 

 

読者が主人公に共感しやすくする

 

読者が主人公に感情移入・自己投影するためには、まずは主人公に共感できる必要があります。

読者と主人公の性別・年齢を近づけることは、共感を得るための基本です。さらに一歩踏み込んだ共感を狙うのであれば、趣味・悩み・人生経験なども、なるべく想定読者に寄せていきましょう。

プロフィール

 

 

 

主人公に欠点を与える

 

主人公となるキャラクターには、欠点を持たせます。過去の人生経験によって、自然と生まれたように感じられる欠点が好ましいです。

人間は、完璧超人を嫌がります。欠点が無いことについて、共感できないからです。また、嫉妬を生む原因にもなります。

主人公は、読者の良き隣人です。近くにいる存在は、自分が親しみを感じられる相手でないと困ります。親しみを感じるからこそ、感情移入や自己投影が出来るのです。

 

主人公が持つ欠点は、その主人公の印象と真逆の物であるほど効果的と言われています。大きなギャップが生まれて、遠くに感じた主人公が急に身近な存在のように思えるからです。

ただし、無理してギャップの大きい欠点を持たせなくても大丈夫です。結果には原因があるように、欠点の背後には、欠点を生み出した原因があります。

たとえば、とあるキャラクターの少女は、実家が老舗の旅館だったとします。この少女にギャップのある欠点を持たせるなら『家事全般が出来ない』となります。しかし、老舗旅館の娘となれば、将来の女将候補として、徹底的に家事のやり方(とりわけ炊事)を叩きこまれるでしょう。人並み以下の才能しか無かったとしても、数年間も徹底指導されれば、一般人より上達する方が自然です。

 

キャラクターの過去と現在の欠点に因果関係が無いなら、無理に意外な欠点を作る必要はありません。

 

 

 

主人公に欠落を抱かせる

 

主人公と呼ばれるキャラクターの多くは、当人にとって大切な何かを欠落しています。

欠落を抱えているから主人公なのではなく、欠落を回復するために行動を起こすからこそ、主人公と呼ぶに値する大活躍を見せてくれるのです。

 

たとえば、大企業のパナソニック(旧社名:松下電気器具製作所、松下電器製作所、松下電器産業)をたった一代で築き上げた松下幸之助さんは、こんな言葉を残したと言われています。

松下幸之助さんがね、「自分を出世させたのは三つのことしか考えられない」って言うんだよ。

一つ目は、家が貧乏だったこと。
二つ目は、学校へ行ってないこと。
三つ目は、病気だったこと。

だから松下さんは、家が貧しかったから、金持ちになろうとした。
学校行ってないから、本読んで勉強した。
体が弱いから、自分の代わりになってくれる人を、育てようと思った。

出典元:斉藤一人 (2011/7/8) 成功脳 P66-67  KKロングセラーズ

 

 

松下幸之助さんは、貧乏・無学・病弱という欠落を持っていました。最初に欠落があり、それを埋めたいと願ったからこそ、懸命に努力を続けました。

成功者の例に漏れず、最初から上手くいったわけではありません。何度も商売替えしています。何もかもが手探りの状態で、その時に最良と思えたことを地道に実行していきました。その結果、『世界の松下幸之助』と呼ばれるに至りました。

松下幸之助

画像引用元:松下幸之助.com

 

 

欠落を抱えているからこそ、それを回復するために、人は行動を起こします。欠落感が強ければ強いほど、並大抵の困難では挫けず、超人の如き行動力を発揮します。だから、主人公と呼ばれるキャラクターは、得てして欠落を抱えているのです。

欠落を埋めるための過程こそ、主人公に中心にして展開される物語です。

旅人

 

 

 

主人公の過去を詳しく肉付けする

 

物語に登場するキャラクターには、誰もが『過去の積み重ねの果て』に、現在の性格や能力になっています。単なる記号の寄せ集めではありません。

脇役のキャラクターだったら、記号を寄せ集めただけのお手軽な方法(いわゆるフランケンシュタイン法)で、キャラクター設定を組んでも問題ありません。

 

しかし、最も多く描写される主人公の場合は、出生から現在に至るまでの経歴を事細かに決めておくことをオススメします。

 

小説・ラノベのキャラクターの作り方では、記事の最後の方に『キャラクター設定を固めるための質問集』を載せていますので、経歴づくりの参考に。

 

キャラクター設定を組むだけでなく、主人公の短編小説を書くのも効果的です。

実際に物語の中で主人公を動かすことで、より具体的なキャラクター像を掴めます。

執筆

 

 

 

小説・ラノベの主人公の名前を決める時に役立つサイト集

 

キャラクターの名前を決める時に役立つサイト情報については、こちらの記事にまとめています。

主人公の名前を決める時にも、すごい名前生成器が大活躍してくれることでしょう。

キャラクターの名前を決める時に役立つサイト4選|人物名が丸わかり

2019.01.15

 

 

 

まとめ

 

この記事の内容のまとめです。

まとめ
  • 物語における主人公とは、最も多く描写される人物。優れた超人が登場したとしても、平凡な登場人物が最も多く描写されているなら、その人こそ主人公。
  • 物語における主人公の機能
    • 語り手・代弁者
    • 問題の解決者
    • テーマの実行者
    • 読者の自己投影・感情移入の対象
    • 読者にカタルシスをもたらす者
  • 主人公の条件
    • 平凡ではない
    • 『強い動機』と『正当な目的』を持っている
    • 読者が共感しやすい
    • 読者の願望を叶える
    • 目の前で困っている他者を助ける
    • 悪事を働くなら、大義のために
  • 読者にとっての主人公は、カタルシスの源泉であり、現実で満たされない願望を擬似的に叶えるための手段。
  • 主人公の設定作りに活かせる人間の欲求
    • 性的に交わりたい
    • 快適に暮らしたい
    • 集団に所属したい
    • 愛する人を気遣い、守りたい
    • 社会から認められたい
    • 自己優越感が欲しい
  • 主人公の種類
    • 英雄
      • 読者の社会承認欲求と自己優越欲求を満たしやすい。
    • 一般人
      • 読者と最も近しい人物設定にできるので、感情移入・自己投影されやすい。
    • 負け犬
      • 読者から同情されやすく、1人のキャラクターとして応援されやすい。また、勝利や達成のカタルシスを読者に与えやすい。
    • 罪深き者
      • 反社会的な刺激に満ち溢れた展開を描きやすい。主人公が犯罪に走る時は、根底に大義があることが重要。
  • 主人公を作る手順
    • 狙う読者層を決める。主人公と想定読者の情報を近づけること。
    • 想定読者に与えたいカタルシスを決める。主人公の性格や舞台設定は、想定読者が効率よくカタルシスを得られることを考慮する。
    • 主人公の特異性を決める。何も変哲のない一般人では、人間としての魅力に欠ける。
    • 想定読者が主人公に共感しやすい要素を考える。趣味や悩み、人生経験なども想定読者に近づけていく。
    • 主人公に欠点を持たせる。完璧超人は、読者から共感されないし、嫉妬の対象にもなってしまう。主人公の欠点は、過去の経験に基づくものにすること。
    • 主人公に欠落を持たせる。主人公を大きく動かしたいのなら、それだけ強烈な欠落を持たせること。欠落を回復したいからこそ、主人公は能動的に行動を起こし、物語を展開させていく。
    • 主人公の過去を肉付けしていく。人の今の姿は、過去の積み重ねによって積み重ねられたもの。詳細に過去の設定を組んでおかないと、主人公に人間としての厚み・深みが無くなってしまう。

 

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