どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ(@shohei_creator)です。
今回の書評で紹介する創作資料は、小池一夫氏の著作【人を惹きつける技術 カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方】です。
2000年より、大阪藝術大学映像学科教授を務め、『キャラクター創造論』を教える。漫画原作の作品としては【子連れ狼】【御用牙】【修羅雪姫】などが有名。行進育成のための創作塾『劇画村塾』を開設している。
以前の書評では、同氏の著書【小池一夫のキャラクター創造論】について紹介しましたね。
【人を惹きつける技術】もキャラクター創作の指南本のようだったので、【小池一夫のキャラクター創造論】とあわせて購入していました。
重複する内容はあるでしょうけれど、どこかに違う部分があるかもしれないので、念のために買っておいた次第です。
なお、小説・ラノベのキャラクター設定の作り方については、こちらの記事に詳しくまとめています。興味がありましたら、ご覧ください。
目次
本編の内容を大まかに知ってもらうために、目次の記載を引用しました。
第一章 国境、時代、メディア――ボーダーを越えて異文化と共生する「キャラの力」
キャラクターに国境はない
時代を越えて甦るキャラの力
キャラはメディアを横断する
エンターテインメントの中心
キャラは人の心を動かす
心と心をつなぐメディア(媒体)
キャラクターは本能である
世界はキャラクターで動いている
キリストは世界一のキャラ
オカルトとキャラクター
ロボットとキャラの深い関係
キャラの大きさは消せばわかる
第二章 ヒットするキャラの「三角方程式」
ドラマよりキャラ
子連れ狼ができるまで
キャラクターは一人では起たない
主人公とライバルは引き立てあう主人公には「弱点」を、ライバルには「欠点」を、引き回し役には何を……?
主人公には弱点をつける
ライバルキャラには欠点が必要
引き回し役に必要なのは
コンビキャラクター主人公には「オーラ」を、ライバルには「カリスマ性」を
「オーラ」と「カリスマ」
ヒットするキャラの三角方程式
DEATH NOTEに見る方程式
第三章 ヒットキャラが持つ「九ヶ条」
1 キャラには「三つの願い」をつける
神様への「三つの願い」
読者が主人公を変えた弐十手物語2 「なくて七癖」をつける!
癖がリアリティをつける
3 「しぐさ」で感情を表現する
感情を視覚的に表現する
4 「物」でキャラクターを起てる
持ち物がキャラクターを語る
乗り物や動物でキャラを起てる5 その場にいないキャラを起てる「噂」のテクニック
人の噂がキャラを起てる
6 「謎」がキャラクターの魅力を引き立てる
謎がページをめくらせる
7 「状況」でキャラを起てる
同じ状況でも十人十色の行動
極限状態はキャラが起ちやすい8 魅力的なセリフを喋らせるには?
マニアはプロにはなれない
読みたいと思うタイトルを
聞き返されるような名はダメ9 キャラクターを起ててみよう
キャラクター起て方 実践
第四章 キャラを魅力的にする「プロファイリング」
なぜプロファイリングなのか
「お客さん」はキャラクター
おばあちゃんのポット
孫子の兵法と人たらし
友人のキャラクターをつかむ
自分だけのキャラクターを持とう
第五章 キャラクター創りの㊙テクニック
一日一時間、必ず机の前に座る
モノ創りの基本は集中力
逃げてはダメ
毎日三つ顔を描こう
キャラクターボックスを作ろう
アイデアは組み合わせの妙
アイデアに苦労した『首斬り朝』
三大要素は「構成・構図・消去」
ラストの「遊び」
構図の極意
大きなキャラと小さなキャラ
短編作品を仕上げるコツ
感性のアンテナを鍛える
【出典元】
著者:小池一夫 表題:人を惹きつける技術 カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方 P8-12 出版:講談社+α新書 出版年月日:2018年3月8日 第9刷
本編の内容
第一章 国境、時代、メディア――ボーダーを越えて異文化と共生する「キャラの力」
『キャラクターという存在が、人々の心にどんな影響を及ぼしているのか』について色々と語られています。
第一章自体は、キャラクター創作の技法と直接的に関わる内容ではないので、読み飛ばして大丈夫です。
第二章 ヒットするキャラの「三角方程式」
「三角方程式」とは、主人公・悪役(またはライバル)・引き立て役の3者が関わることで生まれる、掛け合いの面白さのことですね。
主人公には、人としての温かみが求められます。思い遣りの心を持っているからこそ、人質が取られてしまうと、急に弱くなってしまうという弱点も備えています。
悪役は、目的のために手段を択ばない冷酷無比の人物です。人間性に欠点があるが故に、問題行動を平然と起こせます。主人公の弱点を突いて、徹底的に追い込むことも朝飯前です。
引き立て役は、主人公と密接に関わりあって、主人公の個性を引き出してくれる存在です。多くの場合は、主人公と異なる個性の持ち主です。たとえば、漫才であれば、ボケとツッコミの関係性ですね。ボケ役だけだったら、脈絡も無いことを言い続ける危ない人です。けれど、そこにツッコミ役が介入することで、お互いの違いが明確になると同時に、面白い会話劇が生まれます。
第三章 ヒットキャラが持つ「九ヶ条」
第三章では、キャラクターの個性を際立たせるためのテクニックがまとめられています。
書かれている内容については、第三章の節題の通りですね。特筆すべきことはありません。
第四章 キャラを魅力的にする「プロファイリング」
プロファイリングとは、その人の性格・個性・生活事情が分かる情報を集めて、人物像を推測することですね。
早い話が、キャラクターの設定を細かなところまで掘り下げて、現実の人のように厚みと複雑性、一貫性のある人間性を形作りましょう……ということです。
人間のどんな些細な行動にも、そうする何かしらの動機が潜んでいます。
たとえば、コンビニで牛乳を買った男性がいるとします。飲み物売り場の商品棚には、お茶や果実ジュース、ミネラルウォーターなど、さまざまな種類の飲料がそろっています。その中から、なぜ牛乳を買ったのでしょうか。
牛乳そのものが好きか、朝食のコーヒーに入れるためか、お菓子作りに使うためか……何かしら動機があります。
その男性に関する他の情報から、牛乳を購入した動機を探れるでしょう。ついでにパンも買っているのなら、コーヒー用の牛乳の可能性が高いです。その男性の爪が短く切られていて清潔なら、お菓子作りに使う可能性が高いです。女性向けの化粧品も買うようなら、彼女や妻から買い物を頼まれただけかもしれません。
第五章 キャラクター創りの㊙テクニック
キャラクター創りの㊙テクニックという章題ですが、そこまで裏話って感じではありません。有効な小技、みたいな印象を受けます。
ひと通り内容を眺めましたが、これといって興味を引かれることは書かれていません。漫画づくりのコツが多いことも原因でしょう。
小説・ラノベを執筆する人にとっては、わざわざ読む必要はありません。
まとめ
【人を惹きつける技術 カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方】を読んだ感想ですが……これもまた微妙の一言です。
キャラクター作りに関しては、【小池一夫のキャラクター創造論】の方が詳しく書かれている……ような気はしますが、五十歩百歩に思えます。
【人を惹きつける技術 カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方】についても、わざわざ新書で買う価値は無さそうです。
書かれているテクニック自体は有用なので、まだキャラクター作成について知識の少ない人なら、読んで損はありません。図書館で無料で借りるか、もしくは中古書店で300円以下で買えるようなら、手にとって読んでもいいでしょう。