小説のヒロイン設定の作り方|魅力的なキャラになる4つの型

女子高生

 

ショウヘイ

どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ( @shohei_creator )です。

ふーちゃん

ブログアシスタントのふーちゃんです。

 

小説やライトノベルのキャラクター作りを進めるとなると、ヒロイン作りは避けて通れません。

主人公についで重要なキャラクターなので、ヒロインも魅力あるキャラクターに仕上げたいですよね。

 

今回の記事では、ヒロインの定義存在意義の説明から入り、さらにヒロインの4つの型を紹介することで、ヒロインの作り方について体系的に考察してみました。

 

ショウヘイ

なお、今回の記事で言及するヒロインは『男主人公の相方または取り巻き』としてのヒロインです。

女主人公という意味のヒロインの作り方を調べている場合には、以下の2記事をご覧ください。

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目次

小説のヒロインとは

 

ヒロイン( heroine )とは、本来の意味であれば、女主人公を表す言葉です。

物語において、主役となる女性キャラクターのことです。

ヒロイン

 

 

しかし、一般的に使われているヒロインという言葉は、上記の『女性の主人公』という意味と異なります。

多くの場合は、次のような意味で使われています。

一般的に使われているヒロインの意味

  1. 男主人公に準じて、頻繁に登場する女性キャラクター
  2. 男主人公に恋情を寄せる女性キャラクター

 

 

男主人公に好意を寄せるヒロインが複数登場する場合には、最も男主人公と関わる機会の多いヒロインをメインヒロインと呼び、それ以外のヒロインをサブヒロインと呼び分けます。

あえて日本語に当て嵌めるなら、正妻側室でしょうか。

女子高生

 

 

 

小説におけるヒロインの存在意義

 

ショウヘイ

小説において、ヒロインの存在意義は、物語で務める役割読者に与えるカタルシスの2点から構成されています。

ふーちゃん

この2点を追求することで、自然とヒロイン像が固まってきて、必要となる人物設定が分かるようになります。

 

 

小説でヒロインに務めて欲しい役割を考える

 

小説にヒロインが登場するということは、何かしらの役割を務めて、男主人公に関わってきます。

主人公を非日常の世界へ導く使者を務めることもあれば、主人公と共闘する仲間であったり、あるいは物資や情報の流通に関する支援者を担当したり、傷ついた主人公を癒す治療者として登場することもあります。

 

どんな役割を務めるにしろ、主人公の活躍を促進することが共通しています。

どんな風に主人公を助ける存在が必要なのかを考えれば、ヒロインが果たすべき役割は、自然と決まってきます。

エルフ

 

 

小説のヒロインを使って、読者に与えたいカタルシスを考える

 

ヒロインの重要な役割は、男主人公と深く接することで、読者(特に男性読者)に魅力的な女性と親しい間柄になることで得られるカタルシスを与えることです。

 

たとえば、若い男性向けの小説(いわゆるライトノベル)では、男主人公に好意を寄せる美少女ヒロインが数多く登場します。

これは、男主人公がヒロインたちから好意を寄せられることを通して、魅力的な異性から好意を寄せられる快感(カタルシス)を読者に擬似体験させるためです。

 

小説の読者にどんなカタルシスを与えたいのか突き詰めていけば、ヒロインに求められる人物設定は、自然と固まります。

たとえば、読者に『年下の少女に甘えられる快感』を擬似体験させたいなら、登場するヒロインの人物設定には、以下の要素を1つまたは複数 加えます。

読者の庇護欲を誘うヒロインの人物設定

年下・妹・義妹・親戚の少女・甘えん坊・ねだり上手・非力・依存症・臆病・世間に疎い・大人ぶるが垢抜けない・羞恥心が強い・天然・アホっぽい・ドジ・軽度の精神疾患(対人恐怖症など)・ロリータファッション…… etc

ブランコをこぐ少女

 

 

別の例を挙げましょう。

小説の読者に『帰るべき場所がある安息感』を擬似体験させたいなら、登場するヒロインの人物設定には、以下の要素を1つまたは複数 加えます。

母親に近い女性像で、良い意味で無垢な人柄です。

読者に安息感を与えるヒロインの人物設定

素直に愛情を伝える・頻繁に好意を示す・世話好き・掃除好き・料理好き・嘘をつかない・他人の話を信じやすい・励まし屋・前向き・子供好き・動物好き…… etc

料理好きの女子高生

 

 

 

小説におけるヒロインの4つの型

 

ショウヘイ

これから、小説におけるヒロインの4つの型を紹介します。

型の意味や特徴は、のちほど1つ1つ詳しく解説していきます。

ふーちゃん

【ヒロインの型】の欄は、その類型のヒロインが象徴しているイメージを一言で表しています。

【物語の役割】の欄は、主人公に対するヒロインの働きかけを意味します。もしくは、主人公にとってヒロインがどんな存在であるかを意味します。

【カタルシス】の欄は、男主人公を通して、ヒロインが読者に与えるカタルシスを意味します。

 

ヒロインの型主人公に対する役割カタルシス
庇護守られる
崇拝する
平和の象徴
庇護欲求の充足
自己重要感の充足

快適さ・癒し
愛欲美しい・可愛い
好意を寄せる
愛情を示す
性欲の充足
ハーレム願望の成就

社会承認欲求の充足
相棒共闘・共同
支援・補助
所属欲求の充足
家庭元気づける
休息の場を与える

存在を受容する
安息欲求の充足
帰属欲求の充足

 

 

 

ヒロインの型:庇護

 

庇護型のヒロインは、主人公から守られるべき存在です。

大半の場合は、まだ自立して生きられない幼子であったり、戦う力を持たない非力な少女であったりします。

 

庇護型のヒロインは、癒しと平和の象徴です。そばにいるだけで、主人公と読者にとって心地好い空間を作り出してくれます。

少女

 

 

庇護型のヒロインの強みは、その非力さにあります。

 

主人公がいなければ、ヒロインは自分で生きることが困難です。ヒロインから頼られているという事実は、主人公が積極的に行動を起こす動機になります。

また、読者に『自分は誰かに頼られるような価値ある存在だ』という自己重要感のカタルシスを与えてくれます。

 

庇護型のヒロインの具体例を挙げるなら、【パパのいうことを聞きなさい!】に登場する小鳥遊三姉妹です。

両親を事故で失った小鳥遊三姉妹は、親戚である主人公 瀬川祐太によって引き取られます。祐太は大学生ですが、必死にアルバイトをこなすことで、自分と小鳥遊三姉妹の生活費を稼ぎます。

主人公にとって、小鳥遊三姉妹は守るべき存在であり、作中で行動を起こす原動力となります。

 

 

庇護型のヒロインの非力さは、何も身体能力や実年齢の低さに限りません。何か精神的な問題を抱えているが故に、主人公に頼らざるを得ない場合もあります。

具体例は【青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない 】に登場する梓川花楓です。

花楓は、主人公である梓川咲太の妹です。中学時代に、クラスメイトから SNS を使ったイジメを受けて、そのことが原因で解離性障害を発症。その果てに記憶が失われ、新しい人格(かえで)として生まれ変わりました。

恐怖心によって家から出られなくなったかえでは、生活の大部分を咲太に依存する形となります。かえでは甘えたがりであり、さらにパンダの寝巻を愛用していることから、庇護型のヒロインとしての印象は強烈です。

 

 

ヒロインの型:愛欲

 

愛欲型のヒロインは、主人公にとっての恋愛対象という存在です。ヒロインが備える人物設定は、恋愛対象としての魅力に特化しています。

外見については、可愛い・美しいと呼ばれる魅力です。より性的な側面が強調される場合は、主人公を惑わす蠱惑的な言動を取ってきます。

 

愛欲型のヒロインは、性愛の象徴です。通常は、何かしらのキッカケによって、主人公に恋情を抱いています。

ヒロインの存在は、主人公と読者に恋愛独特の緊張感と高揚感をもたらします。

ミニスカートの若い女性

 

 

愛欲型のヒロインの強みは、外見の可憐さにあります。

 

外見が魅力的で年若いヒロインは、それだけで恋愛対象としての価値に優れています。

ヒロインから好意を寄せられることは、読者に『魅力的な女性から性的に優秀であると認められた』という承認と優越感のカタルシスをもたらします。

 

愛欲型のヒロインは、3~5人は登場することが一般的です。

複数のヒロインが主人公に好意を寄せるハーレム展開は、性に関する男性の願望を擬似的に叶えてくれます。

 

愛欲型のヒロインが登場する作品は、ラブコメディ系の作品に多く見受けられます。いくつか具体例を掲載しておきましょう

 

ライトノベルからは【僕は友達が少ない】を挙げます。この作品は、隣人部と呼ばれる部活を中心にして、主人公の羽瀬川小鷹が美少女たちと主にゲームで遊ぶという内容です。

学園が舞台なので、主人公とヒロインの関係は、純粋な学友です。血縁や仕事仲間でないからこそ、恋愛対象としての比重が増します。

 

 

漫画からは【 ToLOVE る】を挙げましょう。

主人公の結城リトを中心にして、地球人・宇宙人を問わず、数々の美少女ヒロインが登場します。もちろん、ヒロインの大半は主人公に好意を寄せることになるので、かなり大所帯のハーレム展開になります。……とは言え、主人公は特定のヒロインと結ばれることなく、ラッキースケベを連発するだけです。

 

 

ヒロインの型:相棒

 

相棒型のヒロインは、主人公の活躍をすぐそばで支援する存在です。

ヒロインが有能である場合は、主人公と共に、問題解決の最前線で行動できます。

 

相棒型のヒロインは、同志や仲間の象徴です。異性であると同時に、主人公が信頼して背中を任せられる戦友のような存在でもあります。

ヒロインの存在は、主人公と読者に安心と心強さをもたらしてくれます。

背中合わせ

 

 

相棒型のヒロインの強みは、主人公の問題解決に協力できることです。

 

主人公が問題解決に向けて行動する時に、ヒロインは戦力として寄り添えます。

同じ目標に向けて協力できる同志には、誰しも『仲間としての絆』を感じます。庇護型や愛欲型のヒロインには期待できない種の絆です。

 

相棒型のヒロインの存在は、主人公の心の拠り所になります。

また、読者に『心の通じた相手と共にある』というカタルシスを与えてくれます。このカタルシスは、所属欲求を擬似的に満たすものです。

 

ヒロインの具体例を挙げるなら、キーワードは戦友です。

一例は、ソードアート・オンラインに登場するアスナですね。

ログアウト不可能のデスゲームに巻き込まれた主人公のキリトと一緒に、強敵のフロアボス攻略を何十回も戦い抜いてきました。細剣を使った剣技は一級品であり、戦力としての価値が極めて高いです。

また、キリトがプレイヤーキラーに殺される寸前に助けに入れたことで、キリトから厚い信頼を勝ち得るに至ります。物語の途中でキリトと正式な相思相愛の仲になってからは、恋人としても行動を共にするようになります。

 

 

もう一例は、【とある魔術の禁書目録】に登場する御坂美琴です。

御坂美琴は、学園都市に数多く存在する能力者において、序列第3位に位置する電撃使いです。戦力としての価値は申し分ありません。

異能や魔術の類が一切使えない主人公の上条当麻の代わりに、持ち前の超能力の駆使して主人公を手助けします。

 

 

ヒロインの型:家庭

 

家庭型のヒロインは、主人公の帰るべき場所を提供する存在です。帰るべき場所とは、家や滞在先など、空間的な意味に留まりません。

 

ヒロインの真価は、主人公の心も癒してくれるということにあります。

暖かい住まいに温かい食事、そして心が解きほぐれるような柔和な笑顔。物理的にも精神的にも、疲れ傷ついた主人公を元気づけてくれます。主人公が『必ず生きて帰って来たい』と思わせてくれる相手です。

笑顔

 

 

家庭型のヒロインの強みは、温かく包み込んでくれる愛情です。

 

家庭型のヒロインの存在は、他の3つの型のヒロインと比べると異質です。

 

大切な存在として守りたくありますが、庇護型のヒロインのように『自分が助けなければ危うくなる』という義務感はありません。

異性としての魅力に優れていることは確かですが、愛欲型のヒロインのように、緊張感や高揚感とは無縁です。むしろ、安心感や平静という真逆な感情を生み出してくれます。

自分が精神的に頼れる存在という意味では、相棒型のヒロインと似ています。けれど、背中合わせで支え合うような頼りがいではありません。もっと異なる位相から、大きく包み込んでくれるような頼りがいです。

一言で表すなら、母なる愛です。

聖母

 

 

家庭型のヒロインは、めったに出てきません。精神年齢や他人に対する情愛の深さは、歳を重ねるごとに増す要素だからです。

年若い女性キャラクターの家庭型ヒロインは、珍しい存在です。

 

家庭型のヒロインとしては、【 CLANNAD 】の古河渚が挙げられると思います。

は、病弱な体質の持ち主です。学校を休みがちだったので、高校3年生の時に留年してしまい、主人公の岡崎朋也と同学年になります。体が弱くて大人しい人物なので、はじめのうちは庇護型のヒロインのように見えます。けれど、学校祭では一人劇をやり切るなど、秘めた意志の強さを表します。

が家庭型のヒロインに相応しいと思えた場面は、朋也のプロポーズに即答した場面です。その時、朋也は実父の逮捕によって就職の話が無くなるという憂き目に遭い、さらには父親に対して今まで抱えて来た不満が爆発した結果、コンクリート壁を殴りつけるほど自暴自棄になってしまいます。

は暴れる朋也を制止させて、2人とも その場に崩れるように座りこみます。心のよりどころを求めた朋也ば、なにげなく「結婚しよう」と呟きます。は躊躇うことなく「はい」と答えました。

 

 

 

小説のヒロインの型を選び、現在の人物設定に至るまでの過去を肉付けする

 

あなたが『そのヒロインにどんな役割を務めて欲しいのか』や『読者にどんなカタルシスを与えたいのか』を突き詰めていけば、ヒロインの人物像は、庇護・愛欲・相棒・家庭の型のいずれかに落ち着きます。

また、どんな人物設定を付けた方が良いのかも自然と分かります。

 

たとえば、主人公と協力して敵を打ち倒すような役割をヒロインに勤めて欲しいなら、そのヒロインは相棒型です。

敵を倒すなら、何かしらの武術を収めておいた方がいいですし、物怖じしない勝気な性格であることは必須ですよね。

ひたすらに強いだけでは花がないので、雑魚だけれど超苦手なモンスターがいるという弱点を設けておきたいですね。

別の側面からギャップを狙うなら、主人公のことを厚く信頼しているが故に、2人きりの時はベッタリと甘えてくる……という設定を加えるのも有効です。

 

 

読者に『女の子から好意を寄せられる気持ち良さ』を擬似体験させたいなら、ヒロインは愛欲型です。

方向性の異なる複数のヒロインを用意したいので、とあるヒロインは小悪魔的な美少女としましょう。となると、ヒロインは計算高くて、自分の可愛さを自覚していると自然ですよね。

意図的に男性から気に入られようと振る舞うので、男性からの受けはいいですが、同性からの評判は悪くなります。すると、男性と交遊する機会は多いけれど、本当に親しい女友達はいなくなります。

意外性を付けるなら、実は真正面から誠実に好意をぶつけられるとテンパってしまうという弱点が面白そうです。

告白されることには慣れているけれど、自分のキャラに合った軽薄な男性ばかりだったから、実は真剣に交際したことはない……という裏事情を作る。そうすれば、硬派な方法で告白されたら、未経験の事態に狼狽したとしても不思議ではありません。

小悪魔に加えて少し高飛車な性格にしておけば、そのギャップは強烈なものとなり、可愛げも生まれます。

 

 

ヒロインの型から大まかな人物設定を思いついたら、過去の肉付けを徹底的におこないましょう。

過去の積み重ねがあってこそ、今の人物設定が出来上がります。

 

今の人物設定から逆算して『どんな経験を積んだら、今のような性格になるのか』を突き詰めましょう。

すると、すべての言動が過去の経験に基づく判断結果となるので、生きた人間のように厚みと複雑性のあるキャラクターに仕上がります。

 

過去の肉付けも含めて、小説のキャラクター設定の作り方については、こちらの記事で詳しく説明しています。参考にしてください。

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小説のヒロインの名前を決める時に役立つサイト

 

小説のヒロインの名前を決める時は、さまざまな人物の名前を集めた人物名辞典サイトが役立ちます。日本人のヒロインの場合には、特に創作支援名前倉庫が重宝するでしょう。

こちらの記事にキャラクターの名前を決める時に役立つサイト情報をまとめていますので、参考にしてください。

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小説のヒロイン設定の作り方のまとめ

 

まとめ

  • ヒロインの本来の意味は、女主人公。ただし、一般的に使われているヒロインという言葉は『主人公に準じて頻繁に登場する女性キャラクター』もしくは『男主人公に好意を寄せる女性キャラクター』を意味している。
  • 小説やラノベにおけるヒロインの存在意義は、『物語の中で務める役割』と『読者に与えるカタルシス』の2点によって構成される。
  • 主人公を助けることに関して、ヒロインにどんな役割を務めて欲しいかを考えれば、職業・能力・性格などの方向性が決まる。
  • ヒロインと深く接する男主人公を介して、読者にどんなカタルシスを与えたいのかを考えれば、ヒロインに持たせるべき属性が決まる。
  • ヒロインの4つの型
    • 庇護型:守られる代わりに、癒しや平和を提供する。
    • 愛欲型:魅力的な異性から好かれる快感を提供する。
    • 相棒型:同志や仲間としての『精神的な絆』の安心感を提供する。
    • 家庭型:癒しと快活、存在の受容という喜びを提供する。
  • ヒロインの型と人物設定の方向性が定まったら、現在に至るまでの過去の経験を突き詰めて固めていくこと。過去の肉付けが甘いと、動機のない上っ面の言動を取る大根役者になってしまう。

 

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