小説・ライトノベル新人賞で一次選考落ちの原因になる7つのタブー

落選

 

どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ( @shohei_creator )です。

 

インターネットで検索されるキーワードを見ていたら、新人賞の一次選考落ちの原因について調べている小説家志望・ラノベ作家志望のユーザーが多いことに気付きました。

 

私が以前に作成した小説・ラノベの新人賞の取り方という記事で、新人賞の攻略方法について段階的に解説しました。その中で、一次選考落ちする原因についても触れました。

しかし、小説・ラノベで一次選考に落ちてしまう原因について、もっと詳しくまとめた個別記事を用意した方が良いのではないかと思いました。

 

そこで、有料書籍として出版されている『ライトノベル新人賞の獲り方』の内容を踏まえつつ、新人賞で一次選考落ちしてしまう原因について考察しました。

ライトノベル新人賞の獲り方

 

 

目次

小説・ラノベ新人賞の一次選考は、誰が務めているのか

 

小説・ラノベの一次選考を務める選考者は、下読みと呼ばれる方々です。

下読みは、その多くが新人作家やフリー編集者で構成されています。レーベル編集者から、応募作品の選考作業を依頼されているアルバイトというわけですね。一次選考に出版社レーベルの編集者が加わることは、例外です。

 

小説・ラノベの新人賞には、何百~何千本という作品が応募されてきます。新人賞の応募は誰でも出来るので、応募される作品は、まさしく玉石混合です。『応募要項の規約を守っていない作品』や『小説の体裁になっていない作品』が数多く混じっています。

レーベル編集者は、大量の平凡以下の応募作品の中から、受賞させるに値する作品(商品として出版する価値のある作品)を掘り出さなければいけません。そこで、下読みの方々を雇って、平凡以下の応募作品を振るい落としてもらっているわけです。

選別

 

 

 

小説・ラノベの新人賞で一次選考落ちする原因とは

 

小説・ラノベの新人賞で一次選考を突破できない原因は、下読みから『この応募作品は、二次選考に回して編集者に見せるまでもない』と判断されているからです。

 

下読みの立場を考慮するなら、そこまで厳しい目で選考していないことが推測されます。

自分の感覚で厳しく選考した結果、本来は最終選考に残るほどの応募作品を一次選考落ちさせてしまったら、新人賞の開催レーベルにとって大きな損失になるからです。

 

小説・ラノベの新人賞で一次選考落ちするということは、下読みの目から見て、明らかに問題があると判断できる何かがあったということです。

欠陥

 

 

これから、新人賞の一次選考落ちさせられる主要な原因について、1つ1つ取り上げていきますね。

 

 

一次選考落ちの原因①:応募要項の規約を守っていない

 

小説・ラノベ新人賞の案内で掲載されている応募要項ってありますよね?

 

応募要項の規定に違反している応募作品は、問答無用で落選させられます。

 

新人賞に応募するなら、応募要項の規定は絶対遵守です。

応募要項の規定とは、次のようなものです。

新人賞の応募要項の規定

  • 応募の受付期間
  • 応募方法
  • 原稿の枚数
  • 応募を受け付ける作風
  • 特定の個人・団体を誹謗・中傷する作品でないこと
  • 公に未発表の作品、あるいは公開を取り下げた作品
  • 他社の新人賞に二重投稿していないこと
  • 添付必要品(応募作品の名前、あらすじ、作者のプロフィールなど)

 

 

 

一次選考落ちの原因②:小説の体裁になっていない

 

小説の新人賞なわけですから、最低限の『小説としての体裁』が求められます。

 

ドラマ性の無い個人の日記は駄目ですし、物語の出来事を箇条書きで並べただけの簡易年表も駄目です。

きちんと地の文と会話文で構成されていて、1つ1つの場面の前後が整合していることが大前提です。

 

また、地の文と会話文で構成されていたとしても、読者を置いてけぼりにするような急展開は、落選の原因となります。

『ライトノベル新人賞の獲り方』では、この急展開の具体例が載せられています。せっかくなので、引用させてもらいましょう。

「死ね、ガキ」

「嫌だ、死にたくない。死にたくないよ」

辺りに真っ赤な花びらが舞う。

「何が起きたんだ」

それは誰も知らない。

 

引用元:榎本秋( 2017 年 3 月 13 日) ライトノベル新人賞の獲り方 P11  総合科学出版

 

 

『ライトノベル新人賞の獲り方』によると、先ほどの引用した場面は、主人公が少年時代に賊に殺されそうになった時に、唐突に能力が覚醒して、賊を殺した場面だそうです。

ちなみに、真っ赤な花びらとは、賊の体から飛び散った血の比喩的な表現だそうです。

 

『ライトノベル新人賞の獲り方』でも言及されていますが、この場面描写では、あまりにも展開が急すぎます。主人公の能力が覚醒するのなら、その過程を じっくりと文章表現して欲しいものです。

それ以前の問題として、主人公と賊の戦闘場面という注釈が無かったら『謎の人物同士が何かしている』ということしか分かりません。

 

小説としての体裁に整えたいなら、誰が読んでも『その場面がどこで、登場人物が何をしているのか』が分かるようにしておく必要がありますね。

いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように……いわゆる5W1Hを意識して文章を書いていけば、小説としての最低限の体裁は整えられます。

5W1H

 

 

 

一次選考落ちの原因③:応募作品が完結していない

 

新人賞の応募作品が未完だったなら、一次選考落ちは仕方ありません。

 

新人賞で言うところの完結とは『キリの良いところまで物語が進み終わっている』という意味です。

たとえば、街に襲ってきた敵役の魔人を倒して、ひとまずの平穏を取り戻したのなら、その応募作品は完結しています。その後に、新たな魔人が街に来襲するとか、魔王と呼べるような巨大な存在が控えているとか、そういったことは関係ありません。読者が納得できるキリの良いところまで終わっているなら、完結と呼べます。

 

新人賞で言うところの未完とは、たとえば『敵役に負けた主人公は、厳しい修行を乗り越えて強くなり、改めて敵役に挑もうとする』というところで終わっているような場合です。

読者は「結局、主人公は勝てるの !?  勝てないの !? 」というモヤモヤとした気分にさせられます。主人公が勝つにしろ負けるにしろ、何かしらの決着がつくまで物語を描いて、はじめて完結と呼べます。

 

新人賞は、応募作品の『物語としての完成度』を審査する大会です。未完の作品を送られても、審査の仕様がありません。だから、落選です。

未完成

 

 

 

一次選考落ちの原因④:レーベルが求める作風と離れすぎている

 

出版社レーベルの求めている作風と著しく離れている場合は、書籍化して出版できないという都合があるので、落選させられます。

 

出版社レーベルが多額の費用を投じて新人賞を開催する理由は、受賞作を商品として出版することで、企業利益を得るためです。

企業が他社と競争する中で生き残るためには、その企業のブランドイメージを強く押し出して、他社と差別化する必要があります。他社と違う魅力があれば、顧客を獲得しやすくなるからです。

差別化 強み

 

 

出版社レーベルにとって、ブランドイメージを固める方法は『特定の作風の物語を出版すること』です。

たとえば、 KADOKAWA レーベルのビーズログ文庫は、少女向けの小説を数多く出版していることで有名です。主人公は少女で、必ずと言っていいほど魅力的な男性との恋模様が描かれます。この理由は、ビーズログ文庫が『恋愛展開の豊富な少女向け小説を出版している』というブランドイメージを築き上げたいからです。

ビーズログ文庫

 画像引用元:ビーズログ文庫|シリーズ紹介( http://bslogbunko.com/series/index.html )

 

 

出版社レーベルが築こうとしているブランドイメージに背く応募作品は、一次選考で落選させられます。もしも書籍化して出版したら、レーベルのブランドイメージを損なうからです。すなわち、企業利益の損失につながります。

 

出版社レーベルが求めている作風の大枠は、応募要項の募集ジャンルを見れば分かります。

また、過去の受賞作を調べれば、具体的なブランドイメージも推測できます。受賞作は、レーベルが求めている作風の正解例だからです。

 

応募作品を作る時は、新人賞を開催するレーベルが求める作風を汲み取りましょう。

 

 

 

一次選考落ちの原因⑤:既存作品と似通いすぎている

 

書籍化されたりアニメ化されたりなどして、すでに有名になっている作品と人物設定や世界観などが酷似している場合は、落選させられます。

 

出版社レーベルが新人賞を開催する目的は、受賞作を書籍化・出版することによる企業利益を得るためです。

 

百円均一店で売られている商品のように、既製品の二番煎じは、商品としての価値が低いです。

また、あまりにも酷似していた場合には、模倣元の制作者からは当然ながら、世間から非難の声を浴びせられます

 

出版社レーベルにとって、企業利益をもたらさない二番煎じの応募作品は、歓迎できるものではありません。少し似ている程度なら構いませんが、似通い過ぎている場合には、一次選考で落とされます。

コピー

 

 

 

一次選考落ちの原因⑥:物語の中に作者が登場する

 

登場人物に混じって作者が登場する応募作品は、落選させられます。

 

読者が物語を読んでいて、いきなり作者が登場して好き勝手に活躍し始めたら、驚愕を通り越して興ざめします。もちろん、こんな応募作品は落選対象です。

市販されている小説やライトノベルの読んでみてください。作者が露骨に登場して活躍する物語は一般的ですか? 違いますよね。そんな横暴は、編集者が許可するわけがありません。

自分を題材にして、主人公などの登場人物を造形することは、一向に構いません。けれど、作者がそのまま作中に登場することは厳禁です。

作者 著者

 

 

 

一次選考落ちの原因⑦:応募原稿と一緒に余計な物まで送っている

 

新人賞の応募要項の規定に記載されていない余計な物を添付すると、落選の原因に成り得ます。確実に落選とは言いませんが、かなりの悪印象につながります。

 

ここで言う余計な物とは、次のような物です。

余計な物の具体例

  • まえがきあとがきなど、応募規定に書かれていない印刷物。
  • 応募作品の登場人物や世界観を解説する別紙。
  • 物語のイメージ BGM を録音した CD など。
  • 選考者に対して私情を訴えるような手紙。
  • 贔屓を目的とした菓子類または金銭。つまり、賄賂。

 

 

本来、新人賞とは、応募原稿そのものの完成度を評価するものです。それにもかかわらず、付属品で評価を上げようという魂胆は、卑怯と呼ばれても仕方ありません。

また、外部資料によって応募作品の情報を補完するということは、応募作品だけで登場人物や世界観を説明しきれていないことを意味します。応募原稿の完成度が低いと表明しているようなものです。

菓子類や金銭を添付することは、感情操作を目的とした賄賂行為と判断されます。たとえ悪意が無かった(選考してもらえることに対する純粋な謝礼)としても、誤解を招くことなので、絶対に止めるべきです。

賄賂

 

 

 

小説・ラノベの新人賞で一次選考を突破する確率を劇的に上げる方法

 

最後に、新人賞の一次選考を通過する確率をググッと高める方法を紹介します。

 

あらかじめ断っておきますが、手軽なテクニックではありません。『この過程を踏んでおけば一次選考を突破しやすくなる』という工程ですね。

 

やることは、とても簡単です。

何かしらの作品を構想したら、ある程度の話数を作って、小説投稿サイトに投稿してみてください。

もしも、投稿した小説の PV 数やブックマーク数の伸びが良かったら、何かしらの点で『商品としての価値がある』という証拠です。その作品を新人賞に応募すれば、一次選考くらいは軽々と突破できる見込みがあります。

つまり、小説投稿サイトを試験紙として利用するわけです。

 

「なんだ、そんなことか……」と思うかもしれません。

しかし、基本的に1年に1回の新人賞に駄作を送って自爆するくらいだったら、まずは小説投稿サイトを使って『作品の商品価値の有無』を調べた方がいいです。数少ない新人賞の機会を活かすなら、そちらの方が効率的でしょう。

また、小説投稿サイトを利用すれば、複数の応募作品候補の『商品価値』を調べられます。最も読者からの反応の良い応募作品候補を選び出して、それを完成させて新人賞へ応募すれば、さらに選考突破の可能性が上がります。

 

あなたが応募作品を書くために使える自由時間は限られています。最大限に活用するなら、農業の間引き林業の枝打ちのように、大きく成長する見込みのある物に資源を集中投入しましょう。

間引き

 

 

 

まとめ

 

この記事の内容のまとめです。

まとめ

  • 小説・ラノベ新人賞の一次選考は、レーベルに雇われた下読みが務めている。
  • よほど応募作品に問題が無い限りは、一次予選で落とされない(数千の応募作品が届く新人賞は例外)
  • 小説・ラノベの新人賞で一次選考落ちする主な原因
    • 新人賞の応募要項の規定を守っていない
    • 小説の体裁になっていない
    • 応募作品が完結していない
    • 既存作品と似通い過ぎている
    • 物語の中に作者が登場する
    • レーベルの求める作風と大きく離れている
  • 新人賞に作品を応募する時は、まずは小説投稿サイトに投稿して『商品価値の有無』を検品しよう。

 

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