小説家・ラノベ作家の収入源&年収|印税や原稿料を具体的に解説!

階段で本を読んでいる女性
ショウヘイ

どうも、ノマドクリエイターのショウヘイ( @shohei_creator )です。

ふーちゃん

ブログアシスタントのふーちゃんです。

 

あなたは、小説家・ライトノベル作家になりたいと考えていますか?

そうであれば、小説家・ライトノベル作家のひと月あたりの収入、ひいては年収がいくらになるのか気になりますよね。

また、どういった仕事内容から収入を得られるのかについても、知っておきたいでしょう。

 

今回の記事では、小説家・ラノベ作家の収入源と収入額について、詳しく情報をまとめました。

 

ショウヘイ

記事の前半では、 3 つ収入源について詳しく解説します。

  • 原稿料
  • 印税
  • その他(講演活動や権利収入など)

ふーちゃん

記事の後半では、『デビューしたばかりの新人作家』がどれくらいの年収を稼げるのかについて、成功例と失敗例に分けてシミュレーションした内容を載せました。

ショウヘイ

あなたが本気で小説家・ラノベ作家を目指すのであれば、生活に直結する収入については、しっかりと把握しておきましょう。

 

目次

小説家・ラノベ作家の収入源

 

ショウヘイ

小説家・ラノベ作家の収入源は、大きく分けて 3 つあります。

  • 原稿料
  • 印税
  • その他(講演活動や権利収入など)

ふーちゃん

森博嗣氏(代表作:すべてが F になる)の【作家の収支】の内容を参考にして、原稿料と印税について説明します。

有名作家の公式書籍ということで、情報の信ぴょう性が高いからです。

 

 

小説家・ラノベ作家の原稿料

 

小説家・ラノベ作家の原稿料は、文芸誌・雑誌の連載や単発依頼(コラム寄稿や穴埋めなど)で発生します。

 

原稿料は、 400 文字原稿用紙に換算して、 1 枚いくらという値段です。

【作家の収支】では、 300 ~ 350 字で 1 枚と数えるそうですが……。

話を単純にするために、 400 文字原稿用紙に換算すると考えておきましょう。

原稿用紙

 

 

以下の原稿料は、【作家の収支】の記載内容です。

有名作家の場合なので、知名度の低い作家の場合は、これより 1 ~ 2 回り安いと考えておきましょう

有名作家の原稿料

  • 小説雑誌:原稿用紙 1 枚で 4000 円~ 6000 円
  • 新聞の連載小説: 1 回分で 5 万円
  • サイト(ブログ)の投稿: 300 文字で 5000 円
  • 文庫本の解説:原稿用紙 5 ~ 10 枚で約 10 万円
  • 帯の推薦文: 2 ~ 3 万円

 

注意

勘違いしやすいですが、書きおろし(書籍として直接出版すること)では、原稿料は発生しません。

新聞や雑誌のような媒体に掲載した時のみ、原稿料が発生します。

例外は、書籍出版時の作家への報酬が『原稿買い上げ』の場合です。印税の報酬が発生しない契約なので、原稿料という扱いになります。

 

 

原稿料は、作家の実力・知名度によって変わります。また、原稿を掲載する媒体によっても変わります。

第 153 回芥川賞を受賞した羽田圭介氏の場合、デビュー直後の雑誌原稿料は、 400 文字(原稿用紙 1 枚分)で 300 円だったそうです。そこから原稿料は増えていき、芥川賞の受賞前は 4000 円、受賞後には 5000 円になったそうです。

 

 

 

小説家・ラノベ作家の印税

 

【作家の収支】の記載では、小説家・ラノベ作家の印税率は 8 ~ 14 %です。

ただし、聞くところによると、出版社によっては、印税率 3 ~ 4 %という場合もあるそうです。

新人作家の場合は、印税率 8 %と考えておきましょう。

 

 

出版社から印税が支払われる契約方法には、 2 種類あります

印税の契約方法

  • 刷り部数契約
    • 書籍を刷った部数(発刊部数)によって、印税額が計算されて、作家へ支払われる。書籍が売れても売れなくても、刷り部数だけ印税が保証されるので、作家にとってありがたい契約と言える。
  • 実売部数契約
    • 書籍が実際に売れた部数によって、印税額が計算されて、作家へ支払われる。売り上げ部数の集計期間は、 3 ヶ月・ 6 ヶ月・ 1 年などであり、出版社によって異なる。作家は、書籍が売れなければ印税収入を得られない。ただし、初版保証というものもあり、初版の一定部数( 40% ~ 70% )を刷り部数契約方式で印税が支払われる。いわゆる救済措置。

 

 

電子書籍の場合は、実売部数契約で印税が計算されます。

【作家の収支】によると、電子書籍については、印税率 15 ~ 30 %が相場のようです。

ただし、 Amazon から電子書籍を販売した場合、通常の印税収入率は 35% です(参照元:電子書籍のロイヤリティオプション)。

電子書籍

 

 

小説家・ラノベ作家の収入源(その他)

 

小説家・ラノベ作家の原稿料や印税以外の収入は、講演・テレビ・ラジオの出演報酬、またはグッズ販売による権利収入となります。

 

その他の収入源については、【作家の収支】の内容を基本的に載せています。

情報が不足している部分は、インターネットで収集した情報で補足しました。

小説家・ラノベ作家の収入源(その他)

  • サイン会
    • 基本的に無報酬。多くても 10 万円。ファンに対する無料奉仕の面が強い。
  • 講演会
    • 森博嗣氏の場合、 1 本で 40 万円。作家以外の著名人について調べたところ、基本は 5 万~ 10 万円。少し有名な人で、 20 万~ 30 万円。テレビに引っ張りだこの有名人は、 50 万~ 200 万円。
  • トークショー
    • 2人で話すなど、イベント色が強い。宣伝活動を兼ねているため、基本的に謝礼は出ない。もらえたとしても、良くて 10 万円と言ったところ。
  • テレビのインタビュー
    • 森博嗣氏が NHK に出演した時は、 1 時間で 10 万~ 20 万円。
  • ラジオのインタビュー
    • 謝礼程度。
  • 新聞のインタビュー
    • 謝礼程度。
  • アニメ化
    • 【作家の収支】に記載なし。著作権使用料は、調べたところ、 1 話あたり 10 万~ 20 万円が相場らしい。
  • ドラマ化
    • 著作権使用料として、 1 時間の放送で約 50 万円。
  • 映画化
    • 著作権使用料として、数百万円。
  • コミカライズ
    • 原作者と漫画家で、利益を 5 : 5 で分けることが多い。

 

作品のゲーム化について

『まじかるタルるートくん』という漫画の例では、ゲーム化された際の著作権使用料は、ゲーム売り上げの 3 %だそうです。参考までに。

まじかるタルるートくん

 

 

 

小説家・ラノベ作家の年収

 

小説家・ライトノベル作家の年収については、売れる作家と売れない作家では、天と地ほどの差があります。

具体的には『 100 万円以下』と『 1 億円越え』の開きです。

 

村上春樹氏や東野圭吾氏のような最上位層の作家は、億単位の年収を稼いでいます。

底辺~中堅レベルの作家は、年収 100 万~ 300 万円と言ったところです(不定期でも新刊を出していることが前提です)。

 

電子書籍【小説家になるな! 職業作家のリアル、それでもなりたい人へ ( トークメーカー新書 ) 】では、『若手作家で年収 150 万円なら、かなり売れている部類』という記述があります。

◆ 年収一五〇万円でも売れてる部類

架神

泉先生が食えないって仰ってましたけど、まあ作家は概ね儲からないですね。おれ、年収一五〇万くらいの時に編集者から、「今の若手だとかなり売れてる部類の作家」って言われて「 はあ !? 」ってなりました。

 

至道

そうそう! [売れてる部類]ぼくも今でも言われてますよ! 「はぁ !? 」って思いますよね!  リアクションもまったく一緒です。

 

出典元 著者:至道流星 架神恭介 泉和良  表題:小説家になるな!職業作家のリアル、それでもなりたい人へ ( トークメーカー新書 )    位置: 901~912/3357

 

ショウヘイ

年収 150 万円でかなり売れている部類なら、鳴かず飛ばずの底辺作家は、年収 100 万円にも届かないだろうね。

ふーちゃん

年収 100 万円……とても専業ではやっていけませんね。

ショウヘイ

あくまでも、定期的に発刊していることが前提だよ。

打ち切りスランプに直面して、新刊が発刊できなければ、年収 50 万円すら怪しいね。

ふーちゃん

それは……なんだかもう……。

言葉もありません。

ショウヘイ

ちなみに、年収専門系のサイトでは、小説家・ラノベ作家の収入額が高めに掲載されていますが……まったく参考になりませんからね?

作家のように、底辺~中堅層と最上位賞の年収額が離れすぎている場合は、平均年収が上に引っ張られてしまいます。

人気作家の年収額を計算に使っている時点で、指標として使いものになりません。

ふーちゃん

たとえば、年収 100 万円が 6 人、年収 300 万円が 3 人、年収 3000 万円が 1 人とします。

この場合の平均年収は、 450 万円となりますが……。 10 人中 9 人は、年収 300 万円以下です。

まったくの嘘っぱちになります。

ショウヘイ

より事実に即した年収額を知りたいのであれば、年収額の少ない方から数えた真ん中……すなわち中央値を参考にすべきです。

中央値の年収額であれば、計算対象の人の中で、最も該当者が多くなります。

 

 

 

小説家・ラノベ作家の印税年収シミュレーション

 

ショウヘイ

この記事を読んでいるあなたは、小説・ライトノベル新人賞を取って、それから出版していった場合の年収額(特に印税)を気にしていることでしょう。

そこで、成功・失敗の場合に分けて、作家としてデビューした 1 年間の印税収入をシミュレーションしました。

新人賞を取った後の 1 年間の印税年収シミュレーション

  • 成功例
    • 新人賞を取った後、初版で勢いが付いて、かなり順調に売れていった場合
  • 失敗例
    • 新人賞を取った後、初版の売れ行きが悪く、その後に挽回できなかった場合

 

 

ショウヘイ

シミュレーションを単純化するために、以下の条件を設定します。

印税収入シミュレーション条件

  • 新人賞では大賞を取り、賞金 100 万円を得た
  • 紙書籍の出版について
    • 大賞作品を考慮して、紙書籍は、初版で 1 万 5000 部も刷ってもらえた
    • 初出版の時期は 1 月
    • 価格は、一律で 600 円(税抜き)
    • 初期の印税率は 8 %
    • 印税の計算方法は、刷り部数契約方式
  • 電子書籍の出版について
    • 売り上げは、紙書籍の売り上げの 2 割
    • 電子書籍の販売価格も、一律 600 円(税抜)

 

 

ふーちゃん

印税収入の計算式は、次の通りです。

印税収入の計算式

印税収入=書籍価格 × 印税率 × 発刊部数

 

 

成功した小説家・ラノベ作家の印税年収シミュレーション

 

まずは、新人賞を取った賞金が支払われました。(+ 100 万円)

 

さて、出版準備が整い、 1 月に書籍が初出版されました。

初出版の印税収入

600 × 0.08 × 15000 = 720,000 円 (+ 72 万円)

 

 

第 1 巻に人気が出て、かなり売り上げが伸びました。

それが出版社に評価されて、第 1 巻に 5000 部の増刷が掛かりました。

第 1 巻の増刷による印税収入

600 × 0.08 × 5000 = 240,000 円 (+ 24 万円)

 

 

第 1 巻が出版されてから、 3 か月後。

4 月に、作者は第 2 巻を出版できました。

 

第 2 巻の初版部数は、『第 1 巻の発刊部数と売れ行き』を基準にして決められます。

第 1 巻は重版も掛かり、計 2 万部が発刊されています。しかも、読者から好評を得ています。

そのことを考慮して、第 2 巻の初版部数は、初版部数より多めに 1 万 8000 部となりました。

第 2 巻初版の印税収入

600 × 0.08 × 18000 = 864,000 円 (+ 86 万 4000円)

 

 

第 1 巻、第 2 巻ともに、読者からは好評を得ています。

それが出版社に評価されて、それぞれ 5000 部の増刷が掛かりました。

第 1 巻・第 2 巻の増刷による印税収入

  • 第 1 巻の増刷: 600 × 0.08 × 5000 = 240,000 円 (+ 24 万円)
  • 第 2 巻の増刷: 600 × 0.08 × 5000 = 240,000 円 (+ 24 万円)

 

 

さらに 3 か月後の 7 月に、作者は第 3 巻を出版できました。

シリーズの売れ行きが好調なので、第 3 巻の初版部数は、いきなり 2 万部となりました。

第 3 巻初版の印税収入

600 × 0.08 × 20000 = 960,000 円 (+ 96 万円)

 

 

さらに 3 か月後の 10 月、作者は第 4 巻を出版できました。

第 4 巻が出版された時点で、作品に多くのファンが付き始めています。

そのことを考慮して、第 4 巻の初版部数は、 2 万 2000 部となりました。

さらに、作者に対する出版社からの評価が上がり、印税率を 10% に引き上げてもらえました。

第 4 巻初版の印税収入

600 × 0.1 × 22000 = 1,320,000 円 (+ 132 万円)

 

 

このシリーズが注目され始めて、第 1 巻~第 3 巻を買う新規読者も現れ始めています。

そこで、読まれやすい第 1 巻を重点的に、増刷が掛けられました。

第1~3巻の増刷による印税収入

  • 第 1 巻の増刷: 600 × 0.1 × 10000 = 600,000 円 (+ 60 万円)
  • 第 2 巻の増刷: 600 × 0.1 × 8000 = 480,000 円 (+ 48 万円)
  • 第 3 巻の増刷: 600 × 0.1 × 5000 = 300,000 円 (+ 30 万円)

 

 

出版社側には、この作者の作品を優遇する動きも見られ始めます。

さらに 2 か月後の 12 月、なんと第 5 巻も出版できました。 1 年に 5 冊も新刊を出せれば、それなりに早い執筆ペースです。

作品シリーズは、読者から大好評。ますます新規ファンを獲得していっています。もちろん、書籍の売り上げも順調に増えています。

 

第 5 巻の初版部数は、 2 万 5000 部に決まりました。

さらに、第 5 巻の初版に合わせて、第 1 ~ 4 巻の重版も掛かりました。

第 1 ~ 5 巻の印税収入

  • 第 1 巻の増刷: 600 × 0.1 × 12000 = 720,000 円 (+ 72 万円)
  • 第 2 巻の増刷: 600 × 0.1 × 10000 = 600,000 円 (+ 60 万円)
  • 第 3 巻の増刷: 600 × 0.1 × 8000 = 480,000 円 (+ 48 万円)
  • 第 4 巻の増刷: 600 × 0.1 × 5000 = 300,000 円 (+ 30 万円)
  • 第 5 巻の初版: 600 × 0.1 × 25000 = 1,500,000 円 (+ 150 万円)

 

 

成功した小説家・ラノベ作家の印税年収シミュレーション結果

 

1 年間で稼いだ金額を計算してみましょう。

『大賞獲得の賞金』と『第 1 ~ 5 巻の出版による印税収入』を合計すると、 1056.4 万円となります。

 

すでに大金となっていますが、さらに電子書籍からの印税収入を加算します。

クールジャパンマーケットの調査結果によると、ライトノベル市場において、電子書籍売り上げの割合は、約 2 割のようです。

単純に考えて、『電子書籍の売り上げ部数は、紙媒体の売り上げ部数の 2 割』と仮定しましょう。

 

紙媒体の発刊部数の 7 割が売れていたならば、販売部数は 121100 部です。

つまり、電子書籍の販売部数は、 24220 部となります。

 

電子書籍の価格は、一律 600 円とします。

電子書籍の印税率は、【作家の収支】を参考にして、 20% としましょう。

 

すると、電子書籍からの印税収入は、このようになります。

電子書籍の印税収入

600 × 0.2 × 24220= 2,906,400  (+ 290.6 万円)

 

 

電子書籍の印税を含めた最終的な年収は、約 1350 万円となります。

このシミュレーションは、本当にトントン拍子で上手くいったらの話ですね。大成功の部類です。

1 年目の新人作家で、どんどん重版がかかるなんて、めったにないことです。

かなり順調に売り上げを伸ばせたとしても、実際はひと回り少なめです。

 

成功した場合は、年収 1000 万円が目安と言ったところでしょう。

 

ふーちゃん

わずか 1 年目にして、年収 1000 万円超え!

夢がありますね。

ショウヘイ

所得税は、考慮していないけどね。

あと、シミュレーションだから甘めに設定しているけれど、たとえ新人賞の大賞作であっても、第 1 巻の初版 1 万 5000 部は無理なんじゃないかな。

昨今の出版社は不況だから、そんな冒険はしないと思う。

在庫リスクのある紙媒体の印刷は、なるべく減らしたいだろうし。

ふーちゃん

それなら……実際は、もう2回りは少ないという感じでしょうか。

ショウヘイ

おそらくは。

出版社側が公表していないから、具体的なことは言えないけれど……。

新人賞の大賞作であれば、第 1 巻の初版 5000 ~ 1 万部が現実的な数字なんじゃないかな。

 

 

 

失敗した小説家・ラノベ作家の印税年収シミュレーション

 

まずは、新人賞を取った賞金が支払われました。(+ 100 万円)

 

さて、出版準備が整い、 1 月に書籍が初出版されました。

初出版の印税収入

600 × 0.08 × 15000 = 720,000 円 (+ 72 万円)

 

 

第 1 巻の売り上げは、あまり伸びませんでした。

読者の反応は、ほどほどに好評と言った感じです。

オリコンランキング 100 位以内になれなかったので、重版は見送りとなりました。

 

 

第 1 巻が出版されてから、 3 か月後。

4 月に、作者は第 2 巻を出版できました。

 

第 1 巻の売り上げが微妙だったので、第 2 巻の初版部数は少なめにされて、 1 万部となりました。

第 2 巻初版の印税収入

600 × 0.08 × 10000 = 480,000 円 (+ 48 万円)

 

 

しかし、第 1 巻の売り上げ低調に続き、第 2 巻の売り上げも低調でした。

作者と編集者の次巻打ち合わせの空気は、どこか重苦しくなっています。

出版社側は、発刊に慎重になり、第 3 巻の初版部数は 5000 部としました。

第 3 巻初版の印税収入

600 × 0.08 × 5000 = 240,000 円 (+ 24 万円)

 

 

その後、第 3 巻の売れ行き低調の結果から、出版社から作者へ作品の打ち切りが宣告されました。

 

 

失敗した小説家・ラノベ作家の印税年収シミュレーション結果

 

1 年間で稼いだ金額を計算してみましょう。

 

『大賞獲得の賞金』と『第 1 ~ 3巻の出版による印税収入』を合計すると、 244 万円となります。

 

ここに、電子書籍からの印税収入も加えてみましょう。

電子書籍価格を 600 円、税率 20% とします。

紙書籍の出版部数のうち、実際に売れた数は 3 割だったとします。つまり、販売部数、 9000 部です。

電子書籍の方については、販売部数は 1800 部ですね。

 

電子書籍からの印税収入は、次の通りです。

電子書籍からの印税収入

600 × 0.2 × 1800 = 216,000  (+ 21 万 6000 円)

 

 

電子書籍の印税を含めた最終的な年収は、約 265 万円となります。

月収に換算すると、約 22 万円です。

 

ふーちゃん

大賞の賞金 100 万円を加えても、なお 300 万円を超えないとは……。

ショウヘイ

今回の失敗シミュレーションでは、 3 巻打ち切りにしたけれど…… 2 巻打ち切りの場合も多いそうだね。

しかも、発刊部数は、多めに見積もっている。

ショウヘイ

若手作家は、良い方で年収 150 万円……納得できそう。

 

 

打ち切り作家は、デビュー 2 年目から地獄

 

打ち切りに直面した作家には、再デビューまでの長い道のりが待っています。

 

今後は、新人賞の賞金による収入補強がありません。

さらに、新作を出版してもらうために、まずは企画書(簡易プロット)を作る段階から始めます。

つまり、印税収入が大幅に減るわけですね。

 

企画書を作って編集者に渡したからといっても、すぐに新作の執筆に取りかかれません。まずは、編集者から企画書の合格をもらう必要があります。

もちろん、売れる見込みの無い企画書と判断されたら、没となります。一から企画書の作り直しです。

 

編集者から企画書の合格をもらえたら、今度は編集者や幹部社員が集まる企画会議を突破する必要があります。

出版社によりますが、企画会議にかけてもらうまでに半年~ 1 年は待たされるという話です。

 

しかも、企画会議で合格をもらえるわけではありません。

出版社の資金を使うわけですから、商品価値があるかどうか、厳密に審査されます。

新人賞に受賞するくらい、狭き門と思いましょう。

 

もちろん、企画会議で落とされたら、また企画書を作る段階から再開です。

 

ふーちゃん

企画会議にかけてもらうだけでも大変なのに、そこで落とされたら……やる気が無くなっちゃいますね。

ショウヘイ

新人賞と比べて、本編を書きこむ必要が無いから、まだ楽な道のり……と考えるかだね。

 

 

ありがたいことに、企画会議でも合格をもらえました。

次にやることは、原稿の完成です。

本業の傍らで執筆を進めることになるでしょうから、原稿の完成まで、少なくとも 1 ヶ月はかかるでしょう。

 

ふーちゃん

原稿を書き上げるだけでも、かなりの重労働ですもんね。

ショウヘイ

原稿が出来ても、実際に出版されるまでには、まだまだ越えるべき工程は多いよ。

まずは、編集者に原稿を渡して、合格をもらう必要がある。

修正につぐ修正を終えて、編集者から合格をもらう。

次は、原稿の校正作業。校正者とゲラをやり取りして、校正を終わらる。

さらに、編集者の校閲段階。

あと、表紙や挿絵を描く絵師を見つける時間も必要。

絵師が見つかっても、絵を納品してもらう時間が必要。

印刷業者との打ち合わせ、見本の作成、出版の準備……。

ふーちゃん

な、長い……。

ショウヘイ

その間の収入は、ちびちびと売れる電子書籍の印税のみ。

そりゃ、出版社の編集者は、若手の作家に兼業をオススメするわけだ。

 

 

 

いきなり専業の小説家・ラノベ作家になるべきか、それとも兼業作家すべきか

 

はじめは兼業作家として活動すべきです。

いきなり専業作家になることは、人生設計として危険が大きすぎます。

 

作家業の最大の欠点は、一定以上の収入が保証されていないことです。

打ち切りやスランプに襲われたら、一気に収入額がガタ落ちしてしまいます。

 

雇われの身だったら、たとえ会社が経営不調であっても、ある程度の月収が保証されています。

会社の都合で退職するようなことがあっても、失業保険という救済措置があります。無職になっても、いきなり収入ゼロになりません。

 

しかし、専業の作家については、定期的に…… 3 か月に 1 作の調子で新刊を出版できたとしても、充分な収入を確保できない危険性があります。

新作の出版部数が平均 1 万部・販売価格が 600 円・印税率 10 %の場合でも、年間の印税収入は 240 万円です。

打ち切りやスランプ、失業保険金が得られない危険を抱えているのに、年収 240 万円では、とても割に合いません。

 

いつ頃に専業作家に転身してもいいかについての目安ですが、出版部数の印税だけで年収 500 万円超えが1つの目安でしょう。

あくまでも、出版部数の印税だけです。

 

出版部数の印税だけで年収 500 万円を超えているなら、売れっ子作家の部類です。

作品はマルチメディア化(漫画化・ドラマ化・アニメ化)されますし、グッズ販売からの権利収入が加わります。

作家の名前も売れるので、その後の作家活動を有利に進められる下地が出来上がります。

これくらいの足場固めが出来ているなら、専業作家に転身しても安定するでしょう。

 

念願の作家デビューが実現できても浮かれず、ひとまず最初の 3 年を兼業作家として活動してみましょう。

3年間も作家業を続けてみれば、自分が定期的に新作を生み出し続ける器量があるのかどうか、充分に見極められます。

それから専業作家になるか否かを決めても、決して遅くありません。

悩む

 

 

 

どれくらいの割合の新人作家が生き残るのか

 

たとえ華々しく作家デビューを飾れても、どれくらいの割合の新人作家が生き残り続けるのか、気になりますよね?

 

一般文芸(純文学や大衆小説)の作家の場合は、デビュー 5 年後に生き残っている割合は、たった 5 %以下という話です。

ライトノベル作家の場合は、デビュー 5 年後に生き残っている割合や、約 40 %です。ライトノベル作家の方が生き残りやすいようです。

 

小説家・ラノベ作家の生存率については、こちらの記事で情報をまとめています。

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この先も小説家・ラノベ作家として食べていけるのか

 

ショウヘイ

マジで無理だと思います。

ふーちゃん

バッサリと言い切った!

ショウヘイ

あなたが小説家・ラノベ作家として活動するための障害は、自分以外の小説家・ラノベ作家と競争することと思っているかもしれませんが……。

真の敵は、 YouTuber などが作り出す動画コンテンツであったり、任天堂などのゲーム会社が作り出すゲームコンテンツであったりします。

ふーちゃん

小説やライトノベルは、余暇を楽しむための娯楽コンテンツです。

小説やライトノベル以外の娯楽コンテンツは、全てが敵になります。

ショウヘイ

小説やライトノベルは、文字を主体とした娯楽コンテンツです。

文章は、表面的に得られる刺激に乏しいです。また、いちいち文章を目で追って、その内容を理解することには、ある程度の集中力を要します。

娯楽に乏しかった昔ならともかく、娯楽があふれ返っている現代においては、あまりにも娯楽コンテンツとして貧弱すぎます。

ふーちゃん

動画コンテンツは、映像と音を使って、視聴者さんを楽しませます。

ゲームコンテンツに至っては、キャラクター操作という面白さも備わっています。

娯楽コンテンツとしては、とても魅力的です……。

ショウヘイ

あなたではなく、あなた以外の家族・友人・知人の余暇の過ごし方を観察してみてください。

みんな、動画を見たり、ゲームで遊んだり、 SNS で誰かとチャットしたり、カラオケ店に行ったり、飲み屋で騒いでいたりしませんか?

それらが、小説家・ラノベ作家として、あなたが戦うべき娯楽コンテンツたちです。

勝てる見込みを感じますか?

ショウヘイ

小説家やラノベ作家が置かれている現状、そして未来の展望については、以下の2記事で取り上げています。

ただの憧れで小説家・ラノベ作家を目指す前に、自分がどこを目指そうとしているかについて、いったん冷静に考えてみてください。

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